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近付いていくルイスに、何人かはぎょっとした様子でその場から身体ごとそっぽを向くようにしたが……
1人だけ、ルイスの方をチラッと確認したきりそこから動かない人物がいた。

よく見るとその動かなかった少女は、周りよりも一段上等なものを身に付けているようにも見える……
ルイスはその少女の近くへ立ち止まると、にっこりした笑みを向けた。

すると、逃げるように顔を背けていた……別の子女が、慌ててその少女を庇うようにルイスへと声を掛ける。

「あのっ……何か御用ですの……!?」

「御用?」

まるでルイスを危険人物と見なして、一人を後ろへ庇いながら尋ねてくるその様子に、彼女はゆっくりと小首を傾げた。

「用はないけど……何かぁ、ルイスの方をじっと見ているような気がしたです。用があるのはそっちじゃないです?」

「そのような口の聞き方を……っ」

明け透けなルイスの言い方は、迂遠なことを美徳とするこういった場所では一際目立った。どこか焦りを見せながら尚も言い募ろうとするその子女を、静かな声が遮る。

「……構いません」

そうして、庇う仕草をした子女の後ろから少女が現れる。この場にいるからには、どちらもそれなりに上流な家から来ているのだろうが……その現れた少女からは、どこか別格な程の空気があった。

同時にルイスはとても苛立たしげな気持ちになる。
それは、その少女の纏う空気がどこか……彼女の大嫌いな、義兄の婚約者であるケリーティアに似ているからだった。
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