婚約者の義妹に結婚を大反対されています

泉花ゆき

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……式場に入った時から、最初に感じた違和感は視線だった。
誰もかれもちらっとルイスの方へと視線をやっては、まるで見てはならないものを見てしまったかのように……あるいは、最初から見なかったようにしてすぐに視線を逸らしてしまう。

ウィリアムが馴染みの貴族へ挨拶をしにいく、と席を外してから……それは顕著なものになっていたように、ルイスには感じられた。

(もう……何だっての!?ウィリアムお義兄様は帰ってこないし……フレンツ様も一体いつ来るのか……!)


式場へは日が沈み切る頃に到着した。
馬車から降りてウィリアムのエスコートに手を預け、彼が招待状を受付の人間へ渡すのを何をするでもなく見ているルイス。
そんなルイスを、受付の男はちらりと見たが、特に何も言わなかった。
……もちろん、雇われの人間である受付の人物に、招待された人間へ口を出す資格などありはしないのだけれど。

「――侯爵家のお二人ですね、どうぞ中へ」

家名を確かめられ、式場の大広間へと繋がる扉が二人を招くように開かれた。

大広間の中では流行りの音楽が演奏され、上流貴族と呼ばれる人々が落ち着いていながらも高級感のある服装に身を包み、あちらこちらで歓談をしていた。

(……はー、こーいう空気ってやっぱり苦手)

ルイスはウィリアムを盾にするように歩きながら、心の中でため息をつく。
穏やかに話をしている人々の側をいくつか通り過ぎていくが、そのどの話題もがルイスには何を言っているのかよく分からない。


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