婚約者の義妹に結婚を大反対されています

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「ルイス……」

フレンツは、何かを諦めるような声を出した。それは、ルイスがそう感じただけだったかもしれないけれど……
ルイスにはその声は、まるで突き放されているように聞こえたのだった。

「もし、君が……本当に公爵家へ嫁いでくることを考えているのだったら、もう少し身の振り方を考えてみるべきだと思う」

それでもその内容は、ルイスには信じられないようなことだった。二人は間違いなく、家同士が定めた婚約者ではなかったのか？

「えっ……本当にって、どーいうことです……？ルイスとフレンツ様は、婚約者同士ですよね……？」

「……そうだね。けれど、それは今の段階でそうなっている、ということだ」

……つまり、つまりフレンツは、この先の状況次第では婚約の解消を考えているのだと……
そう、ルイスに告げたと同然の言葉を発した。

もちろん、ルイスはそれを承諾するわけにはかなかった。声を震わせながらドレスの布を掴んで抗議をする。

「そんなっ、そんなこと急に言われても、おかしーですよ……！」

ついにはすがりつくようにフレンツへ抱きつこうとしたのだけれど、彼はその手を取らず、そっとルイスの肩を抑える。
フレンツは子供に言い聞かせるような声になった。甘やかすわけでも怒鳴るわけでもなく、ただ淡々と難しい言葉を使わないでルイスへと伝える。

「……ルイス、何も今すぐ婚約をどうこうしようと伝えたわけじゃないんだ。今日はもう、本当にこれで失礼させて頂くけれど……よく考えておくといい」