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「……何してるです?」

そう声を掛けてきたのは……こちらは、顔を見なくても分かります。
ルイスさん……

いつもよりふんわりとしたドレスを着ていて、それはどことなくフレンツ様の雰囲気と合わせたような色味のドレスでした。
おそらくは今日のために用意されたものだったのでしょう。

……彼女の口元は笑っているようでしたが、もうそれも気のせいなのかもしれません。
可憐な服装からは想像できないような怒気が、近付かなくても分かるように全身からあふれて感じられたので……

「……」

「ルイス……これは一体……」

何を言ったものかと黙っていると、口を開いたのはフレンツ様でした。
けれど彼女はその質問には答えないで、わたしとフレンツ様の間に入るよう、ぐいっと身体を割り込ませます。
肩を掴まれて、無理やり引きはがされて……力の籠った指が……爪が、食い込んで肌に痛みが走りました。

「いたっ……」

「あれぇぇ?ケリーティアさんじゃないですかぁ?さっき帰るって言ってたのにどうしたです」

小さな悲鳴に被せるようにルイスさんが言います。目が全く、笑っていないような。
……そしてそんな風に言った覚えはないけれど、彼女の中ではそういう話になっているのでしょう。
それに帰りたいのは実際、そうですし……というか早く、体を休めたい……

「なんか不注意で水被ったから帰りたいそうですよ?ねぇ?」

さりげなく壁にわたしの体を突き飛ばすように退かしてから、彼女はフレンツ様へ笑いかけます。

「引き止めたりなんかしたらかわいそうですー」

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