婚約者の義妹に結婚を大反対されています

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「も、申し訳ございませんっ！」

上階から聞こえる謝罪の声は、わたしの耳にはほとんど悲鳴のように聞こえました。
家の使用人が、仮にも客人に無礼なことを加えたのにも関わらず……ルイスさんは楽しそうな声を隠そうともしません。

「ね？こっちで怒っておくです。……それとも、ケリーティアさんが自分で怒るですか？」

ルイスさんが隠し切れないほどに……というか隠すそぶりもなく楽しそうにしていることや、花瓶の水をかけたらしい使用人が真っ青になっている事から大体の事情は読めました。
大方ここで待機するように言いつけて、わたしが姿を現したら……もしくは、何らかの合図で水を階下に捨てるよう指示を出されていたのでしょう。
……脚を震わせながらもそこに留まっているのは、動くなとも指示をされているのかそれとも動けなくなっているのか。

使用人の方がその命令を断り切れなかったのか、それともただ水を二階から下へ捨てるだけだと言い含められて……つまり、このようなことになるとは分かっていなかったのか。そのどちらかは分かりませんが。
……とにかくルイスさんは、この前のお茶会のことをずいぶんしっかりと記憶しているようです。
わたしが使用人を思って強く言いつけはしないことを見越して、こんなことを……

……それに、もう一つ。
近寄ってきたルイスさんは、ひっそりと、わたしにのみ届くような声で囁きました。

「お洋服が汚れてしまったら、人前には出られないんですよね？」