婚約者の義妹に結婚を大反対されています

泉花ゆき

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……そうよ、この先侯爵家を通して親族になるかもしれないとは言え……滅多にある機会ではないのだから。
挨拶と言うのがどれほどの席を示すのかはまだ分からないけど、そういったことをお話するのを楽しみにするのも良いかもしれないわ。

……実際は、ルイスさんのいる席でフレンツ様とまともにお話が行えるかは分からないけれど……
全てに悲観して赴くよりは、何か些細なことでも目を向けていけばいいのかもしれない。……そう考えていると、少し気分が明るくなったような気がしてきました。

「フレンツ様の留学先は……確かこの辺りだったはず」

旅行誌の棚からはずれて、外国の風土や民俗学を記した書籍の棚を覗きます。
いくつか興味を引いたものを棚から出して、ページを捲り……古いものと新しいものをそれぞれ一冊ずつ選びます。

こうして時代の異なる本を複数選ぶと、その本が発行されるまでの間に起こった出来事などで新しい本では内容が変わって……一冊だけ選んで読むよりも興味深い知識を得ることが出来ると……以前教わったことがありました。

そうしている内に、使いに出した使用人が戻ってきて……

「お嬢様、お待たせいたしました。駅逓にて手紙をお送りして参りました」

「ありがとう。それじゃ、そろそろ戻りましょう」

「手続きをしてくるのは、こちらの書籍でよろしいですか?」

「ええ、そうよ。お願いね」

使用人はわたしが選り分けておいた本を数冊、まとめて抱えます。階下にある専用の窓口で貸出しの手続きをする為に、そちらへと二人で向かいました。
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