婚約者の義妹に結婚を大反対されています

泉花ゆき

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「ウィリアム様、私共が見て参りますので……」

「いや、いいさ。そんなに見つからないなら人手も必要だろ?」

聞こえてくる会話からするとおそらく、侯爵家の使用人と……心配してこちらへと戻ってきてくれたウィリアム様……ということなんでしょう。
……そういえば、忘れ物をしたとか何とかでルイスさんはわたしを連れてこちらへ来たのでした。

そのルイスさんと言えば、普段の可愛らしい様子はどこへやら、憎々しげにわたしを睨みつけながら多くの罵詈雑言を放っていたのですけれど……
わたしと同じように二人の声が聞こえたらしく、舌打ちせんばかりの形相でわたしから視線を逸らしました。
そして中庭に植わっている木の根元……こんもりと土の被さっている場所へ爪先を下ろし……

「……そういうことだからさぁ、さっさとアンタからも婚約解消に同意しといてよ……ねっ!」

「あっ……!?」

勢いよく入り込んだ靴の先は土と泥をバサッと飛び散らせて……わたしの来ているドレスの裾をたっぷりと汚します。
会話をしているだけ、ではなくなった雰囲気を感じ取って伯爵家の使用人たちがこちらへ駆け寄って来ますが、ルイスさんは何も気にせずにくるりと方向を変えると、門の方へと軽やかに走り出しました。

「お義兄様~、こっちです~」

いつもの甘い声が響いているのを聞きながら、わたしは木の陰になっている場所で、やられた……と、自分の着ている服を見下ろします。
駆け寄ってきた使用人たちも心配そうに声を上げて……

「お、お嬢様……!ご無事ですか」
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