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カテリィナの方では侯爵に取り入らなければならないという目的を持っていますので、普段よりもよほど気合を入れて着飾っていたのも確かです。
侯爵家に嫁いでから覚えた贅沢は無残にもほとんどが侯爵夫人の手でよって取り上げられてしまっていたのですが、それでも隠し持っていたネックレスやイヤリングなどをバラバラにして、小さな金や石をいくつか持ち……
監視の隙を見て、それらを使用人に握らせることで、いろいろと用事を外の商人などに取り次いでもらうように仕向けていたのでした。
カテリィナは自分の魅力が、特に年配の異性へ効果的であるということへの自負がありました。
(令息であるザウダ様ってちょっと頼りないっていいうか、思ってたのと大分違ったけどぉ……当主様だったらそんなこともないでしょ?向こうだって若い女の方がいいに決まってるもの!)
そうして、様々な思惑を抱えたそれぞれの人間が……侯爵家総出とも言えるような人数をそろえて侯爵の乗った馬車を待っていました。
馬車は定刻通りに、門へ繋がる道の向こう側に小さく見えます。
けれど、侯爵家の紋を携えた伝統のある馬車が、人々の前に止まるより早く……
馬車の横を、不敬にも早馬が駆けてくるところが、大勢の目に映りました。
馬に乗っているのは一人の男で、酷く焦っているように手綱を握っています。
集った使用人たちの合間に、ざわざわと戸惑いが走りました。
「おい、あれは何だ……」
「無礼だろう、侯爵様の乗った馬車が通っているというのに……!」
侯爵家に嫁いでから覚えた贅沢は無残にもほとんどが侯爵夫人の手でよって取り上げられてしまっていたのですが、それでも隠し持っていたネックレスやイヤリングなどをバラバラにして、小さな金や石をいくつか持ち……
監視の隙を見て、それらを使用人に握らせることで、いろいろと用事を外の商人などに取り次いでもらうように仕向けていたのでした。
カテリィナは自分の魅力が、特に年配の異性へ効果的であるということへの自負がありました。
(令息であるザウダ様ってちょっと頼りないっていいうか、思ってたのと大分違ったけどぉ……当主様だったらそんなこともないでしょ?向こうだって若い女の方がいいに決まってるもの!)
そうして、様々な思惑を抱えたそれぞれの人間が……侯爵家総出とも言えるような人数をそろえて侯爵の乗った馬車を待っていました。
馬車は定刻通りに、門へ繋がる道の向こう側に小さく見えます。
けれど、侯爵家の紋を携えた伝統のある馬車が、人々の前に止まるより早く……
馬車の横を、不敬にも早馬が駆けてくるところが、大勢の目に映りました。
馬に乗っているのは一人の男で、酷く焦っているように手綱を握っています。
集った使用人たちの合間に、ざわざわと戸惑いが走りました。
「おい、あれは何だ……」
「無礼だろう、侯爵様の乗った馬車が通っているというのに……!」
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