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「販売は商会との兼ね合いや販路の開拓でどうにかなるかもしれないけれど……問題は加工の方で……」

子爵家の緑地にて新しく見つかった鉱物の価値は高く、欲しいと手を挙げる人はいくらでもいました。
それも、今現在では他の地域で発見されたという報告がないため猶更のことです。

今は流通を滑らかなものにするために仲買人を挟むことが主ですが、それとは別に独自の販路を持つこととしても、思い当たる顧客は幾人も浮かぶことでしょう。

そして……優れた技術者は国の宝とも言い換えられます。
どの地域でも技術は独占したいと思うのが普通であり、後継者や弟子なども自国の内部で見つけたいと考えているのが常のこと。

そのため、マチルダとその両親は揃って方々へと出向いては話をする、ということを繰り返していたようです。
土地を巡りながら特産の鉱物に適した技術を求め、それを使いこなせる人物を探した結果……良い縁を見つけることが出来たようでした。

「それで探し出した人へ会いに行ったのよ。でもこの人がすごく偏屈で」

「まあ。それであなたはどうしたの」

「それはね、こちらの採掘人にも似たような人がいるでしょ……」

マチルダとルナリーはひとしきり、話をつけに行く際の難航した道中の話や、技術者によってもたらされた技術がどんなものであるかを話していましたが……
主目的はそこではなかったと、やがて話を元に戻しました。

「……というわけで、その書類に書いてあったことは、事実だけれどすべてではないの」

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