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(……それにしても、こんな資料まで用意して入念ですこと)
ばらまかれ、拾えと命じられて形だけでも従うために拾わされた一枚を手にしながら、ルナリーは考えます。
確かに書類へ書いてあったのは、ここ数年の業績の結果を表しているものでした。
年月による推移を見ると、ちょうどルナリーが侯爵家に嫁いで来ていくらもしない内に、急激に売り上げが下がっているようにも見えます。
ルナリーが侯爵家に嫁いで来てからは、様々な難癖をつけて実家と連絡を取ることを許されないでいました。
それが、こんな数字ばかりの結果を今さら知らされて……
(何かあったのでなければいいけれど……)
すんなりと離縁に合意したのは、侯爵家に居ることがうんざりしていたこともありましたが……
それ以上に、実家への心配が胸を占めていることもありました。
口車に乗せられてルナリーをこの侯爵家に送り出してしまったことからしても、また妙な話などを受けてはしないかと……
もしそうだとしたら、何か自分に出来ることがありはしないかと。
そう、考えていたためです。
(向こうから持ち掛けて来た離縁ですもの。このままハイと返事をして、なるべく早く帰してもらおう……)
しかし、アルコールの入った義母の嫌味は長く、ルナリーのことだけではなく子爵家のことまで持ち出されて貶され。
数日前では抑えることの出来た感情が、今ではもう、そう出来なくなっていることを感じました。
「……お言葉ですけれど」
ばらまかれ、拾えと命じられて形だけでも従うために拾わされた一枚を手にしながら、ルナリーは考えます。
確かに書類へ書いてあったのは、ここ数年の業績の結果を表しているものでした。
年月による推移を見ると、ちょうどルナリーが侯爵家に嫁いで来ていくらもしない内に、急激に売り上げが下がっているようにも見えます。
ルナリーが侯爵家に嫁いで来てからは、様々な難癖をつけて実家と連絡を取ることを許されないでいました。
それが、こんな数字ばかりの結果を今さら知らされて……
(何かあったのでなければいいけれど……)
すんなりと離縁に合意したのは、侯爵家に居ることがうんざりしていたこともありましたが……
それ以上に、実家への心配が胸を占めていることもありました。
口車に乗せられてルナリーをこの侯爵家に送り出してしまったことからしても、また妙な話などを受けてはしないかと……
もしそうだとしたら、何か自分に出来ることがありはしないかと。
そう、考えていたためです。
(向こうから持ち掛けて来た離縁ですもの。このままハイと返事をして、なるべく早く帰してもらおう……)
しかし、アルコールの入った義母の嫌味は長く、ルナリーのことだけではなく子爵家のことまで持ち出されて貶され。
数日前では抑えることの出来た感情が、今ではもう、そう出来なくなっていることを感じました。
「……お言葉ですけれど」
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