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しおりを挟むそして、そんなことがあった数日後のこと……
ルナリーは、義母の部屋へと呼び出されることとなったのです。
ルナリーやカテリィナの姑であり、ザウダの母である侯爵夫人は豪奢な椅子へ腰かけていました。
片手に何枚かの書類を持って、それを冷めた視線で眺めています。
そこへ、使用人からの声がかかりました。
「ルナリー様をお連れいたしました」
「入ってちょうだい」
義母の応答を受けて重厚な扉は開かれ、年若く美しい第一夫人の姿が見えました。
彼女の、抑揚のない挨拶が耳に届きます。
「……失礼いたします」
ルナリーはほとんど無表情で入室しました。それを見た義母は、心の中へイライラを渦巻かせます。
(まったく……愛想はないし子は産まないし、本当に厄介な子……金払いがいいから嫁に貰ってやったけど、本来だったらこの侯爵家に入れるのも嫌な存在だわ)
息子可愛さか嫁憎さか、義母はすっかり、ルナリーの顔を見るだけで嫌な気持ちになるようになっていたのです。
(ま、それも今日でおしまいだよ……)
義母は知らず知らずの内に口元へ笑みを浮かべ、招いたルナリーへ椅子をすすめることもせずに一方的に言い渡しました。
「ルナリー。ここへ呼ばれたことが何か分かってるだろう?」
「……いいえ、お義母様」
立ちすくんだまま両手を前へと組むように揃え、無感動に自分のことを呼ぶルナリーの表情。義母は、その顔の歪んだ様が見たくてたまらないのです。
「ザウダと離縁してもらうわ。これはもう、決定事項だから」
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