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『持参金と月々の支援がなければあなたなんて何の価値もないのよ』

『ちょっと生家に財産が出来たからって、それは偶然のことで何も誇れることじゃないって分かってる?』

『ああ本当に、あんたなんかと縁を繋がらなきゃならない侯爵家うちはなんて不幸だったのかしら……』

すれ違う度に、あるいは面と向かって。
義母から言われた言葉がルナリーの頭の中を流れて行って……

暗い気持ちになって黙ってしまったルナリーへ、カテリィナはフッと笑って尚も続けます。


「でもぉ、もうそういうのも出来なくなるみたいですしぃ」

「そういうの……とは……」

「あらぁ、ご存じなんでしょぉ?」

先ほどザウダと話していた時は可愛らしく保っていた表情が、今は品のない感情で歪んだ笑顔になってしまっているカテリィナ。

「ご実家の事業、ずいぶん傾き始めてるんですってぇ?」

「……」

それは確かに、ルナリーの耳にも届いている噂で……
実家と細々やり取りしている手紙ではそんなことは知らされていません。けれど、人々の噂話で……
あそこの領地では鉱脈が尽きたのでは……というような話が回って来ているのでした。

「ご心配なさらないでくださいねぇ、あなたのところなんかの支援がなくても、侯爵家で立ち上げた事業が上手くやってるみたいですよぉ?お義母様がおっしゃってたもの」

「……そうですか」

元より、そんなことは心配していなかったけれど……

「ですから、あなたは用済みなんですのよぉ。安心して、実家に帰ってくださいね」

甘い囁きのようにねっとりと言葉を残して、カテリィナはその場を去っていきました。

                                              
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