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「あ、あぁ……」

第二夫人カテリィナの勢いに押されたのか、促されて母の元へ向かうために歩いていくザウダ。
カテリィナはそれを見送ると、今度はルナリーにのみ聞こえるように声量を絞ります。

「余計なことを言わないでくださいますぅ?ご自分が出来ない妊娠を、わたくしが叶えたからってぇ……」

「……余計なことも何も、話しかけてきたのはあっちですけど」

(いいえ、それにしても……余計な事って、一体……?)

反射的に言葉を返してしまったルナリーですが、違うところも引っ掛かりました。
この女には何か暴かれたくないことがあるのだと、これはもう自白しているようなものですから。

「まぁ、だとしても?貴女の言葉なんて誰も気に留めないでしょうけどねぇ」

たっぷりした豊かな自分の髪を手で払いながらカテリィナが勝ち誇ります。

「第一夫人だって威張り散らしてたのに、ご愁傷様ねぇ?」

(わたしが、いつ、威張り散らして…………)

ルナリーには怒りを通り越して、もう脱力する気持ちしか残っていません。
あれがわざとなのか、義母か誰かにそう吹き込まれたのかは知りませんが……

この屋敷においてのルナリーの扱いを、見ていなかったわけではないだろうに……

「何か……勘違いをしているのでは……」

「あらぁ、勘違いしてたのはそっちの態度でしょぉ?もしかして自分が望まれて嫁いできたと思っていたのぉ?」

どういう意味だ、と問いたくなったルナリーだったが、続く言葉は分かっていました。
何度も何度も、この一年間に言われてきた言葉だったから。

「成金貴族が上手いことやって侯爵家に入り込んだって、もっぱらの噂だったのに」
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