(完結)伯爵令嬢に婚約破棄した男性は、お目当ての彼女が着ている服の価値も分からないようです

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一方で。
伝令により侯爵である父から早急の帰宅を伝えられたビートです。
道中の馬車の中で伝令者へと詰め寄りますが、命じられただけなのだと、その回答は要領を得ません。

苛立ちながら屋敷へと帰り、出迎えた父の専属使用人へと詰め寄りました。
結果、分かったのは背筋の凍るような事実です。

「取り潰し！？どういうことだ！」

二人は連れ立って早足で、侯爵の自室へと赴いていたのですが……
信じられないような事実を告げられて、ビートの足が止まりました。
使用人は流れる汗を額から拭きながら、足を止めてしまったビートと侯爵の部屋の方の合間へと視線を泳がせます。

「どうもこうも……」

「ええい、吐け！」

伯爵家ではフラストレーションが溜まるばかりでした。
その折に自分の行動を制限されて、帰ってきて早々告げられたのが取り潰し……
ビートは乱暴に使用人の胸倉を掴み、苛立ちをぶつけるように白状を迫ります。

使用人は苦しさにその顔を歪めながら、呻き交じりに話し始めました。

「うっ、うぅ……！
と、当主様がご商売でつながりを持った人物たちが……！
他国のごろつきとの……交流があると……！」

「何だと！？」

ビートは目つきを険しくしながら、今度は使用人を突き飛ばすように手を放します。
ごろつきと交流がある。しかし、それが何だと言うのでしょう。