(完結)伯爵令嬢に婚約破棄した男性は、お目当ての彼女が着ている服の価値も分からないようです

泉花ゆき

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ビートがマリアンヌへ婚約破棄を告げ、しばらく経ったころです。
あれからも、マリアンヌの妹であるオーロラは、何度かロコの身辺をそれとなく探ることをしていました。

そのうちに、ビートがロコへ近づいた話も入ってきます。
ただ、それもビートの望むような形にはならなかった……という、ところまでオーロラの耳には入ってきました。

(お姉さまに聞いたお話では、ロコという女性が身に着けていたお洋服はとても価値の高そうな代物だということ……
それにも関わらず、ビート様の扱いはぞんざいであった、と……)

ビートのことだ、値打ちが高いことを知っていてなお雑なそぶりをみせているという豪気さとは異なり……
ただ単純に、見た目のシンプルさに惑わされて、布地や縫製の真価を見抜けなかった……
そんなところだろう、とオーロラは検討をつけました。

姉の婚約相手も新しく選定をし直す中で、また別な情報が入ってきます。
公爵家はロコの両親が会長を務める商会にて、多額の借金をしている、ということ。
ビートはそれを知らずにロコのところで無礼な態度を繰り返し、とうとう父親である公爵の逆鱗に触れた、ということ。

(……なんというか、こりないというか……)

標的を失ったビートが、かつての婚約相手である姉のところに話を持ってくる確率は高い。
そう思ってオーロラは、重たい溜息を吐きました。
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