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ロコは店を休んでいる……そう言われて、ビートは少し考えるそぶりを見せましたが。
少ししてから、当然のように若い店員へと言いつけます。
「それじゃあ、呼んでくれないか」
「え?」
「ロコをだよ、店に呼んでくれ。
侯爵家のビートが来た、と言えば分かる。
もし君がここを離れられないなら、僕が呼びに行っても構わないし」
若い男の店員は、この人は何を言い出したのか……と言うように、一瞬目を瞬かせます。
けれど、教育された店員らしく……動揺する姿は見せませんでした。
「生憎ですが、ロコお嬢さんはしばらく街を離れているものですから」
「何?さっきと言ってることが違うじゃないか」
「いいえ……申し訳ありません。お休みを頂いて、離れているのです」
そう言って、頭を下げる若い店員。
ビートは不快感をあらわにして眉を寄せました。
やはりこの男は、自分とロコを会わせないようにしてるのではないか。
自分とロコが近付くのを恐れて、引き離そうとしてるのではないか……?
そんな不信感でいっぱいになります。
つい数日前に会った時、次の約束を取り付けた……と、ビートは考えているため。
その約束をした自分に何も言わず、ロコが店を空けるなどおかしい……そう考えているのです。
(きっと、このことは彼女の本意ではないに違いない……)
少ししてから、当然のように若い店員へと言いつけます。
「それじゃあ、呼んでくれないか」
「え?」
「ロコをだよ、店に呼んでくれ。
侯爵家のビートが来た、と言えば分かる。
もし君がここを離れられないなら、僕が呼びに行っても構わないし」
若い男の店員は、この人は何を言い出したのか……と言うように、一瞬目を瞬かせます。
けれど、教育された店員らしく……動揺する姿は見せませんでした。
「生憎ですが、ロコお嬢さんはしばらく街を離れているものですから」
「何?さっきと言ってることが違うじゃないか」
「いいえ……申し訳ありません。お休みを頂いて、離れているのです」
そう言って、頭を下げる若い店員。
ビートは不快感をあらわにして眉を寄せました。
やはりこの男は、自分とロコを会わせないようにしてるのではないか。
自分とロコが近付くのを恐れて、引き離そうとしてるのではないか……?
そんな不信感でいっぱいになります。
つい数日前に会った時、次の約束を取り付けた……と、ビートは考えているため。
その約束をした自分に何も言わず、ロコが店を空けるなどおかしい……そう考えているのです。
(きっと、このことは彼女の本意ではないに違いない……)
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