(完結)伯爵令嬢に婚約破棄した男性は、お目当ての彼女が着ている服の価値も分からないようです

２４

多忙な両親が再び家を空けた頃。
オーロラが、調べていたことがまとまったから……と、マリアンヌに話を持ってきました。

「ロコというお方ですけれど。
おそらく、何も伝わっていないんじゃないかと思うんです」

「まあ、やっぱり」

「お家は確かにとても大きな商いを営んでいるお店みたいです。
貴族街の中にも系列……というか、親族で営んでいる店があると聞いて、少し覗いてみたのだけれど。
市街地の方のお店にも、そちらでも質の高いものが適切な値を付けられて並んでいました」

マリアンヌは妹の行動力に内心で驚きながら、頷きます。

「でも多分、そのお店の方もビート様の考え……というか、企みは通じてないんじゃないかしら」

少し探りを入れさせてみたけれど、ビートとロコの婚姻や婚約など、そのような話が持ち上がっているような気配はなく……
それどころか将来を誓った人物がいる、という話すら受けたそうです。

「そう……本当に、ビート様ご本人が一人でおっしゃっているだけかもしれないのね……」

ここまでしっかりと話を揃えられてしまうと、婚約者……もうすぐ、元婚約者となる関係性ですが。
ビートの考えなしが露呈するのを眺めているようで、頭が重たくなる思いです。

オーロラの調べてくれたことへとお礼を言い、各々の情報のすり合わせをして……
お話はこう締められました。

「お父様たちの承諾は降りたのですよね？お姉さま、早めにこちらでも地盤を固めていくことも考えましょう」