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ビートはと言えば、マリアンヌがロコの服装を褒めたことで眉をひくっと上げました。

「は……お前のようなものに、ロコのドレスの良さが分かるのか?」

何ともトゲのある物言いです。

「……ええ」

少なくとも、あなたよりは。
そう伝える言葉を飲み込んで、唇で微笑むマリアンヌ。
ロコは、ビートの険のある言葉に少し驚いたようでした。

「ビート様?」

そう言って様子をうかがうロコに、咳ばらいをしてごまかそうとするビート。

「んんっ……いや、何でもない。その……二人は随分、身に着けるものの系統が違うだろう。それで……」

ロコは、ビートの言葉を、その言葉通りに受け取ったようでした。
掌を合わせて楽しそうに表情を明るくします。

「そうですね~、マリアンヌ様の装いもとっても素敵です。そのブローチも……」

「ありがとうございます、これは我が家に代々伝わるもので……」

柔らかな笑顔でにこにこと伝えられて、マリアンヌも素直な気持ちでロコの褒め言葉を受け取ります。
でも、話が弾みそうになったところを、ビートが不機嫌そうに遮りました。

「……もういいか?そろそろ出よう、ロコ」

「え?あ~、はい。分かりました……?」

ロコは少しだけ名残惜しそうにマリアンヌを見ましたが、元より目的も伝えられず連れて来られたのでしょう。
特に抵抗もなく頷いていました。
その時、ちょうど外では雲が多くなりだして……天気が変わってきそう、ということもあったのでしょう。

「雨が降りそうですね……お帰りにはお気をつけて。……ビート様、お話は後日、また」

「ふん、話など今日で済んだはずだが」

ロコが外の方へ気を取られている隙に、後半は密やかに、ビートの耳にのみ聞こえるよう呟きます。
マリアンヌの言葉に、ビートも声を抑えながら返事をしました。



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