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真実の表側

41 家には入れない!

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「 は、ははっ……。いい……。こんなに……興奮したの、初めてだ……。

このまま大人しく受け入れてね?


そうしたら……少しは大切に扱ってあげるよ。 」


神王は一旦口を外すと、熱に浮かされた様にドロッとした目で俺を見つめた。

そしてそのままチュッチュと顔や首にキスしながら、胸や腹をペタペタと触ったり舐めたりして、自分の快感を追い始めた姿を見て────俺はボソッと呟く。


「 い……やだ……。 」


「 …………。 」


気に障ったのか、神王は動きを止めて、俺の真正面に顔をもってくる。

そしてフッ……と馬鹿にする様に笑った。


「 何?────あ、もしかしてそういう "   設定 "  でも作った?

めんどくさいな。

もうそういうのいいから、ちゃんと俺が喜ぶ反応返してくれない? 」


さもめんどくさそうに俺の顔に手を伸ばしてきたので、俺は弱々しくその手を掴む。


「 あんたが何を言ってるのかわからない。
                 
でも俺は────自分のに触れられるのは嫌だ。

だったら殴られて殺された方がいい。 」


思わず本音を漏らし、俺は自分の二度目の死を覚悟した。


俺は人に媚びて媚びて、媚びまくって生きていた。

どんなに馬鹿にされても、殴られても、ペコペコ喜んで土下座して、ヘラヘラして……他人から見れば、プライドないんだなって思われていると思う。


でも、俺はそうして自分の中身を守ってきたんだ。


外側なんて好きに殴ればいいし、怒鳴っても馬鹿にしても構わない。


俺の脳裏には、今までの人生の中で俺を馬鹿にして使ってきたヒュード達や、憂さ晴らしで俺を殺した暴力貴族、そして他の沢山の自分を踏みつけてきたクソ野郎共を思い浮かべた。
                                 
俺はお前らみたいな暴力や権力で人を支配しようとするゴミ野郎共を、絶対に自分のに入れたりするもんか!


多分それが……俺の唯一のプライドってヤツだ。


自分の家の中に入れるのは大切な人だけ。

だから大切な人を自分の心の中に入れるこの行為を、こんなクソ野郎にされるだなんてどうしても我慢できない。


あ~……俺、男娼館に受け入れて貰えてたら……ぶっ壊れてたかもしれねぇな~。

イケメンじゃなくて良かった!


最後の最後にそんな事を思い、ハハッ……と乾いた笑いを漏らした。


俺、今度こそ本当に死ぬ~溶けるか虫に食われるか分かんないけど……。

──あ、でもあの世に行けばサンに会えっかな?


諦めて目をつぶったが……一向に何も起きなかったので、ソロ~と目を開けると、そこには何かに耐える様な神王の顔があった。


「 ……?? 」


「 ……飽きた。 」


神王は突然フイッと顔を背けると、そのままベッドから降り部屋を出ていってしまった。

俺はそれを呆然と見ながら、扉がパタンと閉じたのを見届けると────遅れて身体が大きく震え出す。


こ。こ、怖かったぁぁぁ~……。

ホントにホントに怖かった……!!!


安堵して身体の力は抜けたのか、力が入らず……続いて襲ってくるのは、殴られた両頬の痛みだ。


ジンジンと痛み、口の中が切れたのか酷く染みる。


「 く、くそ~……いてぇよぉ~……。

思いっきり殴り……いや、それだったら首ごと吹っ飛んでただろうから、これでもすげぇ手加減したんだろうけど……。

────でも、なんでアイツ諦めてくれたんだろう? 」


ブルブル震える手で頬を擦りながら、考えてみたが、答えは明白だ。


そりゃ~何かの気まぐれにやる気満々になったっていうのに、こんなおっさんがイヤイヤ~ン!なんて言ったら……ねぇ?

面倒くさいと思ったに違いない。


自分が乳首を隠しながら恥じらっている姿を想像すると、サァ~と血の気が引いた。


俺の体にそこまでの価値はない。

そこで一気に目が覚めたんだろう。


ほぉ~……と安堵の息を吐き出すと、すぐに体の自由が戻ってきた。

俺は神王が消えたドアの方を警戒して見つめながら、ゴキブリの様な素早さで破れてしまった服を集めた。


上着は前が破れているが、辛うじて形をキープしてる。

しかしズボンは形を失うくらいはビリビリで駄目そうだ。


仕方ない……。


俺は上着を腰に巻きつけ、上半身は諦める事にした。

しかし、先ほど胸をペタペタと触られた感触を思い出しゾッとしたので、肩から破れたズボンを掛けて胸辺りを隠す。


一昔前の原住民みたいになってしまったが、これが一番肌を隠せるスタイルだし、仕方ない!


自分の間抜けな姿に悲しくなったが、スッパリ諦める事にしてベッドの上に……は、フカフカ過ぎて落ち着かないので地べたに転がった。


「 ……う~ん……。カーペットもふわふわ過ぎて寝にくいな。

もう少し端に行こうか……。 」


ベッドの周辺のカーペットエリアから出て、窓近くの地べたに行けば、一番馴染のある感触に出会えた。


この硬さ、寒さ……。

こここそが俺の場所!


安心したのと、さっきの恐ろしい体験を忘れたかったのもあって、俺はそのままぐっすりと眠ってしまった。

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