18 / 59
真実の表側
17 サンのギフトは?
しおりを挟む
「 おいおい、俺の唯一の【 ギフトスキル 】知ってんだろう?
だから今回も大丈夫大丈夫。 」
【 ギフトスキル 】とは、元々自分が持っている才能、【 神様のギフト 】に備わっている特殊な力の事。
例えば【 神様のギフト 】の中で、剣の扱いに長ける< 剣士 >には、剣の威力を上げる《 強剣 》や、剣の範囲攻撃ができる《 薙ぎ払い 》などなど、その才能に相応しい必殺技があるのだが、それこそが【 ギフトスキル 】
それこそがこの世界の ” 力 ” を決定する、とても大事なモノなのだ。
しかし、実は【 ギフトスキル 】にはまだまだ分かっていない事が沢山あって、まず同じ 【 神様のギフト 】でも身につくスキルは全て同じではない。
これにはそれを取得するのに何か条件の様なモノがあるのでは?と言われているが、詳細は不明。
そのため、まずは持っている【 神様のギフト 】
次いで現在持っている【 ギフトスキル 】の数と質。
それで身分が低い者たちの価値が決まるというわけだ。
フッ……と俺が余裕の笑みを浮かべると、ラルフは「 そうだったな。 」と言って、頭をポリポリと掻いた。
俺の唯一といっていい役に立つ【 ギフトスキル 】
それが────【 危険察知(微)】である!
【 危険察知(微)】
自分の生命の危機をギリギリのタイミングで察知し、それを回避する事ができる行動を瞬時に頭の中で思いつく事ができる頭脳系スキル
随分情けない感じのスキルではあるが、俺がここまで生き延びる事ができたのはこのスキルのお陰。
ただし、あくまで(微)のせいなのか、発動するのが助かるギリギリのタイミング。
命からがら死ぬ気で逃げて、やっと助かったよ!という……正直もうちょっとどうにかならない?と文句を言いたくなる程度の能力である。
そっけなく手を振ったラルフに手を振り返し、さぁ、帰るか!とサンの方を向くと……何故かサンはムスッ!としている。
「 どうした?疲れたのか? 」
それとも身体が痛むのだろうか……。
心配になって聞いたのだが、サンは俺の首周りを丁寧に手で払い、ギルドの受付の方をジトッ……と睨みながら「 別に……。 」と言って頬を膨らました。
「 ???? 」
どうやら痛いわけではないみたいなので ” お腹が減ったのかも ” と考え、気にするのを止めると、サンはオズオズと俺の横にくっつく。
「 ……申し訳ありません……あのギルド職員とくっついているのが不快でした。 」
「 ……あ~……なるほど。 」
確かに、みすぼらしい三十路おっさんの俺と、剥げたアラフォーくらいのおっさんが顔を近づけ合ってくっつく絵は、地獄絵と言っても過言ではない。
サンはそんな地獄絵を特等席で見て不快であったと……そう言っている!
「 すまんすまん。二度としないから大丈夫だ。 」
遠い目でそう誓うと、サンはパァ!と嬉しそうな雰囲気を滲ませ、安心した様だ。
その後は直ぐにいつもの薬屋に寄って、サンを外に待機させ薬をこっそりと買うと、ヒュード達のご飯の用意をするために、俺達は急いでハウスへと帰宅した。
「 おせぇんだよっ!!!早く酒!!飯!! 」
お風呂を終えて、既に綺麗なオネェさんを呼んでいたヒュードは、いつも通り!
直ぐにイライラしながら怒鳴りだしたので、既に下ごしらえを終えている即座に出すだけのツマミをサンと共にテーブルに並べていく。
ここに入る前に外の井戸で水浴びをしたため、ちょっと寒かったが、忙しなく動き回っている内に暖かくなってきた。
「 サンは肉料理を頼む。俺は野菜を洗って出すから。 」
「 うん、任せて。 」
俺達は素晴らしいチームワークで仕事を終わらせていき、お祭り騒ぎするヒュード達を他所に、キッチンで一休み。
暖かいお茶を二つ入れて、一つをサンに渡してやった。
「 よし、今のうちに明日の仕込みだ。
その後はヒュード達が食い終わった皿を順番に下げてくぞ。
その際は────……。 」
「 音を立てずに気配を殺す……でしょう?
大丈夫です。 」
サンはそう言い終わると、パッ!とじゃがいもが入っている樽を上に投げ、そのまま落ちてくるじゃがいも達に向かい、包丁を振る。
するとじゃがいもの皮は一瞬で剥けてしまい、それをサンは先に落下した樽を掴んで空中で全てキャッチ!
皮むきじゃがいもで一杯になった樽を静かに床に置いた。
「 おぉ~!!相変わらずお見事!! 」
その鮮やかな動きに俺が拍手をすると、サンは照れた様に顔を赤くした後、パッパッパッ!と神の領域と言っても過言でない程のスピードと精度で他の野菜や肉、魚を捌いていく。
俺が夜中までかかるくらいの作業もサンにやらせれば5分も掛からない。
随分と楽になってしまった生活に多少戸惑いもあったが、今はこれ幸いとサンにやらせて、俺は高みの見物をする生活だ。
「 本当に何の神様ギフトなんだろうな?
料理人……いや、洗濯人、お掃除人、解体名人……いや、頭脳系の可能性も……? 」
ブツブツとつぶやきながら、サンの可能性について考える。
サンは最初から随分器用だとは思っていたのだが、それがどんどんと神がかりになっていき、更にそれが何かに特化しているというわけではなく、全てのモノに適応していることに気がついた。
料理、洗濯、掃除などの雑用は勿論の事、先ほど担当してもらった赤身肉の解体も、本来は非常に難しく時間が掛かる作業だ。
それをサンは、俺の十分の……いや、千分の一くらいのスピードで一瞬で終わらせてしまう程の実力があった。
解体に至っては、以前それに特化したギフト持ちのヤツを見た事があるが、サンの方がその上位互換であると断言できる。
それに……。
俺はこの間、素材を売るために寄った冒険者ギルドでたまたま当たってしまった嫌~なヤツとの事を思い出し、顔を大きく顰めた。
だから今回も大丈夫大丈夫。 」
【 ギフトスキル 】とは、元々自分が持っている才能、【 神様のギフト 】に備わっている特殊な力の事。
例えば【 神様のギフト 】の中で、剣の扱いに長ける< 剣士 >には、剣の威力を上げる《 強剣 》や、剣の範囲攻撃ができる《 薙ぎ払い 》などなど、その才能に相応しい必殺技があるのだが、それこそが【 ギフトスキル 】
それこそがこの世界の ” 力 ” を決定する、とても大事なモノなのだ。
しかし、実は【 ギフトスキル 】にはまだまだ分かっていない事が沢山あって、まず同じ 【 神様のギフト 】でも身につくスキルは全て同じではない。
これにはそれを取得するのに何か条件の様なモノがあるのでは?と言われているが、詳細は不明。
そのため、まずは持っている【 神様のギフト 】
次いで現在持っている【 ギフトスキル 】の数と質。
それで身分が低い者たちの価値が決まるというわけだ。
フッ……と俺が余裕の笑みを浮かべると、ラルフは「 そうだったな。 」と言って、頭をポリポリと掻いた。
俺の唯一といっていい役に立つ【 ギフトスキル 】
それが────【 危険察知(微)】である!
【 危険察知(微)】
自分の生命の危機をギリギリのタイミングで察知し、それを回避する事ができる行動を瞬時に頭の中で思いつく事ができる頭脳系スキル
随分情けない感じのスキルではあるが、俺がここまで生き延びる事ができたのはこのスキルのお陰。
ただし、あくまで(微)のせいなのか、発動するのが助かるギリギリのタイミング。
命からがら死ぬ気で逃げて、やっと助かったよ!という……正直もうちょっとどうにかならない?と文句を言いたくなる程度の能力である。
そっけなく手を振ったラルフに手を振り返し、さぁ、帰るか!とサンの方を向くと……何故かサンはムスッ!としている。
「 どうした?疲れたのか? 」
それとも身体が痛むのだろうか……。
心配になって聞いたのだが、サンは俺の首周りを丁寧に手で払い、ギルドの受付の方をジトッ……と睨みながら「 別に……。 」と言って頬を膨らました。
「 ???? 」
どうやら痛いわけではないみたいなので ” お腹が減ったのかも ” と考え、気にするのを止めると、サンはオズオズと俺の横にくっつく。
「 ……申し訳ありません……あのギルド職員とくっついているのが不快でした。 」
「 ……あ~……なるほど。 」
確かに、みすぼらしい三十路おっさんの俺と、剥げたアラフォーくらいのおっさんが顔を近づけ合ってくっつく絵は、地獄絵と言っても過言ではない。
サンはそんな地獄絵を特等席で見て不快であったと……そう言っている!
「 すまんすまん。二度としないから大丈夫だ。 」
遠い目でそう誓うと、サンはパァ!と嬉しそうな雰囲気を滲ませ、安心した様だ。
その後は直ぐにいつもの薬屋に寄って、サンを外に待機させ薬をこっそりと買うと、ヒュード達のご飯の用意をするために、俺達は急いでハウスへと帰宅した。
「 おせぇんだよっ!!!早く酒!!飯!! 」
お風呂を終えて、既に綺麗なオネェさんを呼んでいたヒュードは、いつも通り!
直ぐにイライラしながら怒鳴りだしたので、既に下ごしらえを終えている即座に出すだけのツマミをサンと共にテーブルに並べていく。
ここに入る前に外の井戸で水浴びをしたため、ちょっと寒かったが、忙しなく動き回っている内に暖かくなってきた。
「 サンは肉料理を頼む。俺は野菜を洗って出すから。 」
「 うん、任せて。 」
俺達は素晴らしいチームワークで仕事を終わらせていき、お祭り騒ぎするヒュード達を他所に、キッチンで一休み。
暖かいお茶を二つ入れて、一つをサンに渡してやった。
「 よし、今のうちに明日の仕込みだ。
その後はヒュード達が食い終わった皿を順番に下げてくぞ。
その際は────……。 」
「 音を立てずに気配を殺す……でしょう?
大丈夫です。 」
サンはそう言い終わると、パッ!とじゃがいもが入っている樽を上に投げ、そのまま落ちてくるじゃがいも達に向かい、包丁を振る。
するとじゃがいもの皮は一瞬で剥けてしまい、それをサンは先に落下した樽を掴んで空中で全てキャッチ!
皮むきじゃがいもで一杯になった樽を静かに床に置いた。
「 おぉ~!!相変わらずお見事!! 」
その鮮やかな動きに俺が拍手をすると、サンは照れた様に顔を赤くした後、パッパッパッ!と神の領域と言っても過言でない程のスピードと精度で他の野菜や肉、魚を捌いていく。
俺が夜中までかかるくらいの作業もサンにやらせれば5分も掛からない。
随分と楽になってしまった生活に多少戸惑いもあったが、今はこれ幸いとサンにやらせて、俺は高みの見物をする生活だ。
「 本当に何の神様ギフトなんだろうな?
料理人……いや、洗濯人、お掃除人、解体名人……いや、頭脳系の可能性も……? 」
ブツブツとつぶやきながら、サンの可能性について考える。
サンは最初から随分器用だとは思っていたのだが、それがどんどんと神がかりになっていき、更にそれが何かに特化しているというわけではなく、全てのモノに適応していることに気がついた。
料理、洗濯、掃除などの雑用は勿論の事、先ほど担当してもらった赤身肉の解体も、本来は非常に難しく時間が掛かる作業だ。
それをサンは、俺の十分の……いや、千分の一くらいのスピードで一瞬で終わらせてしまう程の実力があった。
解体に至っては、以前それに特化したギフト持ちのヤツを見た事があるが、サンの方がその上位互換であると断言できる。
それに……。
俺はこの間、素材を売るために寄った冒険者ギルドでたまたま当たってしまった嫌~なヤツとの事を思い出し、顔を大きく顰めた。
54
お気に入りに追加
300
あなたにおすすめの小説
エロゲ世界のモブに転生したオレの一生のお願い!
たまむし
BL
大学受験に失敗して引きこもりニートになっていた湯島秋央は、二階の自室から転落して死んだ……はずが、直前までプレイしていたR18ゲームの世界に転移してしまった!
せっかくの異世界なのに、アキオは主人公のイケメン騎士でもヒロインでもなく、ゲーム序盤で退場するモブになっていて、いきなり投獄されてしまう。
失意の中、アキオは自分の身体から大事なもの(ち●ちん)がなくなっていることに気付く。
「オレは大事なものを取り戻して、エロゲの世界で女の子とエッチなことをする!」
アキオは固い決意を胸に、獄中で知り合った男と協力して牢を抜け出し、冒険の旅に出る。
でも、なぜかお色気イベントは全部男相手に発生するし、モブのはずが世界の命運を変えるアイテムを手にしてしまう。
ちん●んと世界、男と女、どっちを選ぶ? どうする、アキオ!?
完結済み番外編、連載中続編があります。「ファタリタ物語」でタグ検索していただければ出てきますので、そちらもどうぞ!
※同一内容をムーンライトノベルズにも投稿しています※
pixivリクエストボックスでイメージイラストを依頼して描いていただきました。
https://www.pixiv.net/artworks/105819552
勇者パーティーハーレム!…の荷物番の俺の話
バナナ男さん
BL
突然異世界に召喚された普通の平凡アラサーおじさん< 山野 石郎 >改め【 イシ 】
世界を救う勇者とそれを支えし美少女戦士達の勇者パーティーの中・・俺の能力、ゼロ!あるのは訳の分からない< 覗く >という能力だけ。
これは、ちょっとしたおじさんイジメを受けながらもマイペースに旅に同行する荷物番のおじさんと、世界最強の力を持った勇者様のお話。
無気力、性格破綻勇者様 ✕ 平凡荷物番のおじさんのBLです。
不憫受けが書きたくて書いてみたのですが、少々意地悪な場面がありますので、どうかそういった表現が苦手なお方はご注意ください_○/|_ 土下座!
ヤンデレ化していた幼稚園ぶりの友人に食べられました
ミルク珈琲
BL
幼稚園の頃ずっと後ろを着いてきて、泣き虫だった男の子がいた。
「優ちゃんは絶対に僕のものにする♡」
ストーリーを分かりやすくするために少しだけ変更させて頂きましたm(_ _)m
・洸sideも投稿させて頂く予定です
【R18】元騎士団長(32)、弟子として育てていた第三王子(20)をヤンデレにしてしまう
夏琳トウ(明石唯加)
BL
かつて第三王子ヴィクトールの剣術の師をしていたラードルフはヴィクトールの20歳を祝うパーティーに招待された。
訳あって王都から足を遠ざけていたラードルフは知らない。
この日がヴィクトールの花嫁を選ぶ日であるということを。ヴィクトールが自身に重すぎる恋慕を向けているということを――。
ヤンデレ王子(20)×訳あり元騎士団長(32)の歪んだ師弟ラブ。
■掲載先→アルファポリス、ムーンライトノベルズ
SODOM7日間─異世界性奴隷快楽調教─
槇木 五泉(Maki Izumi)
BL
冴えないサラリーマンが、異世界最高の愛玩奴隷として幸せを掴む話。
第11回BL小説大賞51位を頂きました!!
お礼の「番外編」スタートいたしました。今しばらくお付き合いくださいませ。(本編シナリオは完結済みです)
上司に無視され、後輩たちにいじめられながら、毎日終電までのブラック労働に明け暮れる気弱な会社員・真治32歳。とある寒い夜、思い余ってプラットホームから回送電車に飛び込んだ真治は、大昔に人間界から切り離された堕落と退廃の街、ソドムへと転送されてしまう。
魔族が支配し、全ての人間は魔族に管理される奴隷であるというソドムの街で偶然にも真治を拾ったのは、絶世の美貌を持つ淫魔の青年・ザラキアだった。
異世界からの貴重な迷い人(ワンダラー)である真治は、最高位性奴隷調教師のザラキアに淫乱の素質を見出され、ソドム最高の『最高級愛玩奴隷・シンジ』になるため、調教されることになる。
7日間で性感帯の全てを開発され、立派な性奴隷(セクシズ)として生まれ変わることになった冴えないサラリーマンは、果たしてこの退廃した異世界で、最高の地位と愛と幸福を掴めるのか…?
美貌攻め×平凡受け。調教・異種姦・前立腺責め・尿道責め・ドライオーガズム多イキ等で最後は溺愛イチャラブ含むハピエン。(ラストにほんの軽度の流血描写あり。)
【キャラ設定】
●シンジ 165/56/32
人間。お人好しで出世コースから外れ、童顔と気弱な性格から、後輩からも「新人さん」と陰口を叩かれている。押し付けられた仕事を断れないせいで社畜労働に明け暮れ、思い余って回送電車に身を投げたところソドムに異世界転移した。彼女ナシ童貞。
●ザラキア 195/80/外見年齢25才程度
淫魔。褐色肌で、横に突き出た15センチ位の長い耳と、山羊のようゆるくにカーブした象牙色の角を持ち、藍色の眼に藍色の長髪を後ろで一つに縛っている。絶世の美貌の持ち主。ソドムの街で一番の奴隷調教師。飴と鞭を使い分ける、陽気な性格。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる