【 完結 】お嫁取りに行ったのにキラキラ幼馴染にお嫁に取られちゃった俺のお話

バナナ男さん

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8 開会式

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◇◇◇


「 それでは今年もやってまいりました。

聖なる神のイベント< 嫁取り >の儀式!


今年は、男女共に過去最多となる人数の参加になりました。

是非、これからの人生を共にするパートナーを見つけてくださる様、教会は全力で応援いたします。 」


教会の一番偉い人< 大神官様 >が開始の挨拶をし始め、周りは熱気に包まれる。


嫁取りはこれから三ヶ月間行われ、最終審判の日に女性側が人生を共にしたい男性を選ぶのだが、選ばれる為には死ぬほどきつい試練が待っているのだ。


────ぐっ!

奥歯を食いしばり、大神官様の話の続きを聞いた。


「 これから開始の合図と共に、参加者は街の外にある未開拓地へ向かってもらいます。

そこでまずは一から自分の家を建てる事!

将来のお嫁さんの事を考え、いかに素晴らしい家を建てるか……それが< 嫁取り >の第一歩です!

ちなみに手助けは禁止!

その行為をした時点で助けられた者は死罪になります。

弱き者に嫁を取る価値はありません。

そのため、くれぐれも手助けはせず、自分の力のみでこの三ヶ月を生き抜くことです。 」


スッ……と表情を消し、真剣な様子で説明する大神官様。

これは冗談ではなく、本気であることは……大神官様の近くに設置されている、首吊り用の処刑台が設置されている事で知っている。


────ヒュ~♬

風に煽られ、左右に小さく揺れる首吊り用ロープを見て、アレン以外の参加者の顔色は青ざめた。


そんな俺達を見て、ニッコリ♡と笑った大神官様は、続けて部下の神官様たちへ目で合図する。

すると、その神官達は、半径径1mくらいの大きさの平皿みたいなモノを次から次へと持ってきた。


「 これは皆様ご存知!< 聖なる神皿 >です。

特殊な魔法が掛かっているこの皿は、皿の上に乗っている ” 生きているモノ ” 以外の ” 物 ” の時を止めます。

自分の家を建てたら、今度はお嫁さんに捧げる貢物を、この皿に用意して下さい。

自分の力を見せつけるモノなら何でも良いです。

モンスターの肉や危険地帯に生えている花や果実、それに宝石などの鉱石なども大人気ですので、とにかく沢山集めましょう。

多ければ多い程、選んで貰えるチャンスも多くなりますからね。 」


< 聖なる神皿 >

これは言わゆる偉大なる女神様が作ったと言われる魔法のお皿で、上に乗っている物の時を止める事ができる凄いアイテムだ。

その上にお嫁さんに貢ぐモノを集めて入れておくんだが、これが自分で建てた家の次に大事なモノである。

参加者は、自分の毎日の食い扶持プラス狩りをしたり、危険地帯に採集しにいったりして、お嫁さんに貢ぐ素材を集めなければならない。


「 一番人気は肉と宝石……。

肉はモンスターを狩れば手に入るし、宝石は危険な火山地帯に行けば稀にあるけど……俺には無理だ……。 」


この国の外には、まず森地帯と呼ばれるスタンダードな広大な広い森が広がる土地があり、その周りには山地帯や海地帯、砂漠地帯や火山地帯などが存在する。

森地帯の周りの地帯に行くには、至る所に設置されている< 魔道路 >と呼ばれる、魔法の扉から行けるのだが、勿論モンスターも時々通ってきてしまうため、あまり近寄っては駄目だと教えられてきた。


その先にいけるのは、戦闘能力のあるやつだけ。


そんな過酷な土地だからこそ、そこの資源は非常に希少で、価値がある。


「 ……俺は戦う力がない。

だから、得意な農作物で勝負だ。

その為には……まず畑……あと森の素材の加工か……。

それに余力があれば、ちょっと大変な森素材の採集も……。 」


ブツブツとこれからの予定を妄想している間にも、大神官様の話は続く。


「 そして三ヶ月後はとうとうお目見えの日です。

その日は白い花嫁衣装を身につけた女性達が、参加者達の居住スペースに参ります。

そこからのアピールはそれぞれの強みを活かしたモノにして下さいね。

歌ってよし!踊ってよし!語ってよし!

とにかく選んでもらえる様に頑張りましょう! 」


そこで大神官様は、自身の嫁取りの際に成功した秘訣、お祈りの言葉を歌にして歌った思い出を語りニッコリ笑顔を見せた。

その時のアピール時間は、非常に個性が光るモノが多く、家や貢物で劣る参加者でも上手く女性の心を掴める可能性があるらしい。


つまり、実力で劣る者にも唯一チャンスがあるポイントなのだ!


────ゴッ!!


そこで俺のやる気の炎は燃え上がり、このチャンスは逃すものかと心に決める。

それで上手くアピールして、女性が家に入ってくれれば、そこで成婚が成立。

そのまま< 卵下ろし >という儀式を家の中で始めるそうだ。


それがどういう儀式なのかは…………実は俺は知らない。


────シュ~……。


燃え上がった炎は瞬く間に鎮火し、ムスッ!!と不機嫌全開な顔で黙り込んだ。


「 男性は必須の授業だったのに、毎回アレンに、眠り草を嗅がされて……。

────クソッ!アレンめぇぇぇ~!! 」


< 眠り草 >

嗅ぐと眠くなる草


ギラギラしながら< 卵下ろし >に関する授業を受けようと待機してるのに、後ろに座っているアレンが、必ず後ろから眠り草で俺の鼻をこちょこちょしてきて……そのまま気絶!!

そして目が覚めると授業が終わっている。

ボッチの俺に誰も何も教えてくれず、今まで知識なしで来てしまった……。


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