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3 なにコレ??
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あああああああ~……!!
涙がブワッ!と溢れ出し、大きく体を震わせひたすら泣く。
ちなみに嫁なしの男たちが辿りつく場所、それが【 エデンフィールド 】だ。
ここはお嫁さんが取れなかった、もしくは最初から諦めた男たちの巨大コミュニティーで、 ” 俺達お嫁さんいないけど、趣味とかで楽しく生きていこうぜ! ” というコンセプトで、皆平和に暮らしている。
ここでは恋愛感情を持つ事は許されないが、普通に畑を耕したり、それぞれの特技を生かして商売をしたりと、自由に生きていく事が許されているのだが…………俺はどうしてもお嫁さんが欲しかった。
「 無駄でもやるだけやってみたいんだ。
俺はそのためにずっと努力はしてきたから。
もしかしてその努力を良いと言ってくれる人がいるかもしれないし……。 」
「 あ────……う~ん……。 」
「 そうねぇ~……。 」
涙でグチャグチャの顔で必死に訴える俺を見て、二人は気まずそうに目を逸らす。
俺はずっとずっと力がないなりに、自分でできる努力をしてきた。
力で劣るなら……と必死に農耕の勉強をして、野菜やキノコを危険な森へ取りに行くのではなく開発をして、自分で育てたり……。
力が弱い虫型モンスターに何度も挑んでは負け……それでも諦めず弱点を見つけては素材だけ剥いで逃げる事もたまにならできる様になった。
グッ!と力を入れて立ち上がると、暖炉の上に飾ってある小さな小さな角を手に取り、胸を張る。
この角は、< カブトミミズ >というウサギくらいの大きさのモンスターに生えている角で、俺がはぎ取れたモンスターの中で一番価値が高いモノだった。
ミミズの体にカブトムシの角の様なモノが生えている雑食性の大人しいモンスターだが、その逃げるスピードは早く、捕まえるのは至難の技。
しかし、俺はその進行方向を考えて考えて回り込み、見事にこのカブトの角をゲットした。
これは凄い事なのだ!
自慢気にそれを見せびらかす俺を見て、レアは「 ちっせっ! 」と悪口を言ったが、俺は気にしない。
とにかく俺だってやれる!
絶対にやれるんだ!……という事が言いたかった。
例え戦闘の才能さえあれば、三歳くらいの子供だってあっさり狩れるモンスターだとしても!
角を握りしめて鼻息を吹いた、その時────……突然家の外が騒がしくなる。
「 おーい!!狩りにいった若者達が帰ってきたぞ────!!
これまたスゲェ~のがきたから皆、出てこいよ! 」
「 ────えっ!!! 」
外から聞こえた声に、一番に反応したのはレア。
自分を売り込むチャンス!とばかりに、ササッ!と髪を整え、そのまま外へ飛び出す。
それを見て母はあらあら~……と困った様に笑ったが、自分も髪を手でとかしてニコニコと笑顔で外へ出ていった。
「 狩り……。 」
俺は複雑な気持ちを持て余しながら、ボソッ……と呟き、そのまま次々と不満は飛び出していく。
狩りは、力自慢な若い青年達でモンスターを討伐しに行く定期的に行われているイベント。
食用として使うのは勿論のこと、あっという間に増えてしまうモンスター達の間引きを目的としているため、街からはその仕留めたモンスターごとにお金まで貰えるのだ。
「 俺が必死に育てた野菜やキノコを売って、さらに薪割りや荷物運び、街の掃除、ドブさらい……毎日身を粉にして働いても、低ランクモンスター1匹分の値段に届かないんだもんな……。
くそ────……悔しい。
俺だって……俺だって……。」
グスンと鼻を啜った後、惨めな自分を奮い立たせて、俺も外に飛び出した。
外には街中の街民達と、狩りから帰ってきて自慢げに自分の倒したモンスターを見せびらかしている男達がいる。
女性達はキャーキャーと騒ぎ、他の街民達も口々に賞賛の言葉を口にした。
「 今年から随分強い奴らが嫁取りに参加しそうだな~。
こりゃ~去年からの既存組は更に厳しくなるぞ。 」
「 そうだよなぁ~。
だが、今年はそれでも嫁取りは無理かもな……。
根こそぎ持ってかれるんじゃないか?
……アイツにさ。 」
ヒソヒソと街の人達が囁く声が聞こえた瞬間────また遠くの方で声がする。
「 ────おおーい!
誰か力に余裕があるやつ手伝ってくれー!
こりゃー捌くのに徹夜だぞ────! 」
ガラガラという車輪の音と共に見えてきたのは、巨大なモンスターの山!山!山!
普段お目にかかることなどない、高ランクモンスターの死骸が荷台にごっそり乗せられ、素材回収屋が嬉しい悲鳴を上げながらそれを押している。
それを見た周りは絶叫に近い歓声を上げ、すぐにそれを手伝うべく飛び出した。
「 う、嘘だろう?
こんなの……一匹だって倒せねぇのに! 」
「 規格外過ぎるだろう……。
まぁ、昔から凄かったもんな。嫉妬する気も起きねぇよ。 」
街の人達は尊敬の眼差しで、荷台の後ろからダルそうに歩いてくる一人の男を見つめる。
キラキラと光り輝く白銀の髪。
切れ長でセクシーな目の奥に光るのは、まるで空の色の様な薄い青色で、そんな瞳に見つめられたら ” まるで空を飛んでいるみた~い! ” とよく女性達が言っている。
それに加えて長いまつ毛に高い鼻、それが完璧な位置で配置されている。
そんな恵まれすぎた顔面だけでも、文句を言ってやりたいと言うのに、体格だって神様レベル。
俺と同じ歳の18歳で、身長は平均身長175センチをゆうに超えて190センチ超えの高身長に、太すぎず細すぎず筋肉質な体、高い腰、長い足……。
思わず ” ナニコレ? ” と言いたくなるほど外見パーフェクトな男!
涙がブワッ!と溢れ出し、大きく体を震わせひたすら泣く。
ちなみに嫁なしの男たちが辿りつく場所、それが【 エデンフィールド 】だ。
ここはお嫁さんが取れなかった、もしくは最初から諦めた男たちの巨大コミュニティーで、 ” 俺達お嫁さんいないけど、趣味とかで楽しく生きていこうぜ! ” というコンセプトで、皆平和に暮らしている。
ここでは恋愛感情を持つ事は許されないが、普通に畑を耕したり、それぞれの特技を生かして商売をしたりと、自由に生きていく事が許されているのだが…………俺はどうしてもお嫁さんが欲しかった。
「 無駄でもやるだけやってみたいんだ。
俺はそのためにずっと努力はしてきたから。
もしかしてその努力を良いと言ってくれる人がいるかもしれないし……。 」
「 あ────……う~ん……。 」
「 そうねぇ~……。 」
涙でグチャグチャの顔で必死に訴える俺を見て、二人は気まずそうに目を逸らす。
俺はずっとずっと力がないなりに、自分でできる努力をしてきた。
力で劣るなら……と必死に農耕の勉強をして、野菜やキノコを危険な森へ取りに行くのではなく開発をして、自分で育てたり……。
力が弱い虫型モンスターに何度も挑んでは負け……それでも諦めず弱点を見つけては素材だけ剥いで逃げる事もたまにならできる様になった。
グッ!と力を入れて立ち上がると、暖炉の上に飾ってある小さな小さな角を手に取り、胸を張る。
この角は、< カブトミミズ >というウサギくらいの大きさのモンスターに生えている角で、俺がはぎ取れたモンスターの中で一番価値が高いモノだった。
ミミズの体にカブトムシの角の様なモノが生えている雑食性の大人しいモンスターだが、その逃げるスピードは早く、捕まえるのは至難の技。
しかし、俺はその進行方向を考えて考えて回り込み、見事にこのカブトの角をゲットした。
これは凄い事なのだ!
自慢気にそれを見せびらかす俺を見て、レアは「 ちっせっ! 」と悪口を言ったが、俺は気にしない。
とにかく俺だってやれる!
絶対にやれるんだ!……という事が言いたかった。
例え戦闘の才能さえあれば、三歳くらいの子供だってあっさり狩れるモンスターだとしても!
角を握りしめて鼻息を吹いた、その時────……突然家の外が騒がしくなる。
「 おーい!!狩りにいった若者達が帰ってきたぞ────!!
これまたスゲェ~のがきたから皆、出てこいよ! 」
「 ────えっ!!! 」
外から聞こえた声に、一番に反応したのはレア。
自分を売り込むチャンス!とばかりに、ササッ!と髪を整え、そのまま外へ飛び出す。
それを見て母はあらあら~……と困った様に笑ったが、自分も髪を手でとかしてニコニコと笑顔で外へ出ていった。
「 狩り……。 」
俺は複雑な気持ちを持て余しながら、ボソッ……と呟き、そのまま次々と不満は飛び出していく。
狩りは、力自慢な若い青年達でモンスターを討伐しに行く定期的に行われているイベント。
食用として使うのは勿論のこと、あっという間に増えてしまうモンスター達の間引きを目的としているため、街からはその仕留めたモンスターごとにお金まで貰えるのだ。
「 俺が必死に育てた野菜やキノコを売って、さらに薪割りや荷物運び、街の掃除、ドブさらい……毎日身を粉にして働いても、低ランクモンスター1匹分の値段に届かないんだもんな……。
くそ────……悔しい。
俺だって……俺だって……。」
グスンと鼻を啜った後、惨めな自分を奮い立たせて、俺も外に飛び出した。
外には街中の街民達と、狩りから帰ってきて自慢げに自分の倒したモンスターを見せびらかしている男達がいる。
女性達はキャーキャーと騒ぎ、他の街民達も口々に賞賛の言葉を口にした。
「 今年から随分強い奴らが嫁取りに参加しそうだな~。
こりゃ~去年からの既存組は更に厳しくなるぞ。 」
「 そうだよなぁ~。
だが、今年はそれでも嫁取りは無理かもな……。
根こそぎ持ってかれるんじゃないか?
……アイツにさ。 」
ヒソヒソと街の人達が囁く声が聞こえた瞬間────また遠くの方で声がする。
「 ────おおーい!
誰か力に余裕があるやつ手伝ってくれー!
こりゃー捌くのに徹夜だぞ────! 」
ガラガラという車輪の音と共に見えてきたのは、巨大なモンスターの山!山!山!
普段お目にかかることなどない、高ランクモンスターの死骸が荷台にごっそり乗せられ、素材回収屋が嬉しい悲鳴を上げながらそれを押している。
それを見た周りは絶叫に近い歓声を上げ、すぐにそれを手伝うべく飛び出した。
「 う、嘘だろう?
こんなの……一匹だって倒せねぇのに! 」
「 規格外過ぎるだろう……。
まぁ、昔から凄かったもんな。嫉妬する気も起きねぇよ。 」
街の人達は尊敬の眼差しで、荷台の後ろからダルそうに歩いてくる一人の男を見つめる。
キラキラと光り輝く白銀の髪。
切れ長でセクシーな目の奥に光るのは、まるで空の色の様な薄い青色で、そんな瞳に見つめられたら ” まるで空を飛んでいるみた~い! ” とよく女性達が言っている。
それに加えて長いまつ毛に高い鼻、それが完璧な位置で配置されている。
そんな恵まれすぎた顔面だけでも、文句を言ってやりたいと言うのに、体格だって神様レベル。
俺と同じ歳の18歳で、身長は平均身長175センチをゆうに超えて190センチ超えの高身長に、太すぎず細すぎず筋肉質な体、高い腰、長い足……。
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