【第一部完結】天寿を全うした俺は呪われた英雄のため悪役に転生します

バナナ男さん

文字の大きさ
1,460 / 1,649
第四十六章

1444 獣

しおりを挟む
( オリビア )

そのままきっと事態は良くなっていく。

そんな希望を胸に ” 辛い ” に耐えて爪を研ぐ日々。


ガラリと変えた世界の姿は、私にとって希望であり ”  辛い ”  は努力するために必要な源へと変わっていた。


” 辛い ” をぶっ飛ばす。

だからそれを与えてくる両親をいつかは……叩き潰してやる。


そんな確固たる目標の元、努力を続けていたのだが────そんな生半可な希望は、悪にとっては簡単に潰せる程度のモノだったらしい。


◇◇◇◇

父と母、そして同じ様な気質を持った仲間たちで結成した組織は、いわゆる金貸しで、当時は一強と言っていいほどの巨大な組織であった。


その名も【 ロスウェル商会 】


そしていかに父と母が強いとは言え、どうしてその【 ロスウェル商会 】がここまで一強になれるほど成長したのかというと……そのバックに貴族の存在があったからだ。


邪魔だと思うライバルや面倒な存在は、全て物理的な力で排除。

そしてその後の後始末は貴族にしてもらい、お互い発生した莫大な利益を貪り食っていた。


貴族としては、金を払えばダークゾーンも平気で踏み越えてくれる父と母の組織はとても都合がよく、あれよあれよとそれを利用したい貴族達は増えていき、いつしか正攻法では解体できないくらいの巨大な商会にまで成長してしまったというわけだ。


お互いが最も望む ” 金 ” は、人同士の結びつきを強くする。


仮に実力で父と母をねじ伏せたとしても、結局はそのバックについている存在が一斉に襲ってきて、また元通りの巨大な組織へと戻ってしまうだろう。


だからこそアイツラに勝つのは難しい。


ましてや大事な者を多く抱えている状態で、アチラ側は本人以外をターゲットにして襲ってくるため、動けないというわけだ。


どうしたら、アイツラを叩き潰せる?


そんな事を考え続けていたある日の事……。

突然父と母が、沢山のお仲間を連れて家に帰ってきたと思ったら、私を殴りつけた。

最初の一撃でかなりのダメージを負った私を、他のお仲間達が一斉に殴りかかってきたため、なすすべもなくボコボコにされてしまう。


「 ……ぐ……っ……。  」


「 ふざけやがってよぉ~。クソどもが。

上に逆らった虫けらがどうなるのか……これは教育が必要だよなぁ~? 」


ブツブツと呟きながら、父は痛みにうめき声を上げる私の髪を鷲掴み、そのまま外へと引きずって行った。

そうして血だらけの私を引きずりながら街の中央にやってきた父と母、そして沢山のお仲間たちを見て、街の人たちは青ざめてこちらを呆然としながら見つめる。

一斉に注目されている中、父は私を投げ捨てると、うつ伏せに倒れた私の頭をダンッ!!と踏みつけた。


「 まさかこ~んなふざけた事をする奴らがいるとはな~。

よくもこの俺様を上に告発しようとしやがったな。

んん~♬どうしようかな~? 」


んん~♬んんんん~~♬


いつも私を殴って遊ぶ時と同じ様に、上機嫌で鼻歌を歌う父に反吐が出そうだ。

どこからか分からないが、教会に告発しようとしていた事がバレたのは間違いない。

そのため父は、それをした人物達はおろか、連帯責任とばかりにこの街の人々全員を血祭りに上げようとしているらしかった。


「 ……く……そ……。 」


踏みつけられた足すらどかす事ができずに無様に転がっている私。

その踏みつける強さからも、父が相当怒っている事が分かった。


痛みに歪む私の顔を見て、街の守備隊が一斉に武器を持って父に攻撃を仕掛けたが……結果、一瞬で全員がふっ飛ばされる。


勝負にならない。


それを全員が痛感し、ガタガタと体は震えた。


父はその街の人々の恐怖する姿を見て、多少は機嫌が良くなったのか……笑みを浮かべながら倒れている守備隊員達に向かって唾を吐く。

そして追加とばかりに蹴り飛ばして大声で笑う姿は……獣そのものだ。


それを見て周りで笑っている母や他の仲間たちも……。


「 弱ぇ奴がイキんなよ、ば~か。

こんな弱くて、一体何と戦えるっていうんだぁぁ~?

正義のヒーロー様♡ 」


まだ立ち上がろうとしていた守備隊の一人を思い切り蹴り飛ばし、父はニヤニヤ笑う。


「 よ~し♬

そんな役に立たねぇクソゴミヒーロー達は、今から全員街の門に吊りま~す♡

実はもう外に待機させているんだよなぁ~< 貪食・アナコンダ >♡

さぁ~吊った餌が食い尽くされるまで、一体何人の街の奴らが逃げられるのかな~? 」



< 貪食・アナコンダ >

体長20mを超えるヘビ型Bランクモンスター

様々な毒を体内で作り出す事ができ、毒攻撃と物理攻撃がメイン

そのコンボ攻撃は強烈で、動けなくなった獲物は片っ端から丸呑みにして、そのまま体内の消化酵素で溶かして栄養にする

特殊な油分を体表から分泌し、物理耐性と魔法耐性も持つ



< 貪食・アナコンダ >は食に関してはとても貪欲で、街に侵入されてしまえば全滅だ。

誰一人逃げられない!


それを可能にしているのは……。


私はニヤニヤと楽しそうに笑っている母を睨みつけた。

しおりを挟む
感想 274

あなたにおすすめの小説

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2巻決定しました! 【書籍版 大ヒット御礼!オリコン18位&続刊決定!】 皆様の熱狂的な応援のおかげで、書籍版『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』が、オリコン週間ライトノベルランキング18位、そしてアルファポリス様の書店売上ランキングでトップ10入りを記録しました! 本当に、本当にありがとうございます! 皆様の応援が、最高の形で「続刊(2巻)」へと繋がりました。 市丸きすけ先生による、素晴らしい書影も必見です! 【作品紹介】 欲望に取りつかれた権力者が企んだ「スキル強奪」のための勇者召喚。 だが、その儀式に巻き込まれたのは、どこにでもいる普通のサラリーマン――白河小次郎、45歳。 彼に与えられたのは、派手な攻撃魔法ではない。 【鑑定】【いんたーねっと?】【異世界売買】【テイマー】…etc. その一つ一つが、世界の理すら書き換えかねない、規格外の「便利スキル」だった。 欲望者から逃げ切るか、それとも、サラリーマンとして培った「知識」と、チート級のスキルを武器に、反撃の狼煙を上げるか。 気のいいおっさんの、優しくて、ずる賢い、まったり異世界サバイバルが、今、始まる! 【書誌情報】 タイトル: 『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』 著者: よっしぃ イラスト: 市丸きすけ 先生 出版社: アルファポリス ご購入はこちらから: Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/4434364235/ 楽天ブックス: https://books.rakuten.co.jp/rb/18361791/ 【作者より、感謝を込めて】 この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。 そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。 本当に、ありがとうございます。 【これまでの主な実績】 アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得 小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得 アルファポリス 第16回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞 第6回カクヨムWeb小説コンテスト 中間選考通過 復活の大カクヨムチャレンジカップ 9位入賞 ファミ通文庫大賞 一次選考通過

悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?

  *  ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。 悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう! せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー? ユィリと皆の動画をつくりました! インスタ @yuruyu0 絵も動画もあがります。ほぼ毎日更新! Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。動画を作ったときに更新! プロフのWebサイトから、両方に飛べるので、もしよかったら! 名前が  *   ゆるゆ  になりましたー! 中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー! ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまい(笑)ネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください!

売れ残りオメガの従僕なる日々

灰鷹
BL
王弟騎士α(23才)× 地方貴族庶子Ω(18才) ※ 第12回BL大賞では、たくさんの応援をありがとうございました!  ユリウスが暮らすシャマラーン帝国では、平民のオメガは18才になると、宮廷で開かれる選定の儀に参加することが義務付けられている。王族の妾となるオメガを選ぶためのその儀式に参加し、誰にも選ばれずに売れ残ったユリウスは、国王陛下から「第3王弟に謀反の疑いがあるため、身辺を探るように」という密命を受け、オメガ嫌いと噂される第3王弟ラインハルトの従僕になった。  無口で無愛想な彼の優しい一面を知り、任務とは裏腹にラインハルトに惹かれていくユリウスであったが、働き始めて3カ月が過ぎたところで第3王弟殿下が辺境伯令嬢の婿養子になるという噂を聞き、従僕も解雇される。

【完結】悪役令嬢モノのバカ王子に転生してしまったんだが、なぜかヒーローがイチャラブを求めてくる

路地裏乃猫
BL
ひょんなことから悪役令嬢モノと思しき異世界に転生した〝俺〟。それも、よりにもよって破滅が確定した〝バカ王子〟にだと?説明しよう。ここで言うバカ王子とは、いわゆる悪役令嬢モノで冒頭から理不尽な婚約破棄を主人公に告げ、最後はざまぁ要素によって何やかんやと破滅させられる例のアンポンタンのことであり――とにかく、俺はこの異世界でそのバカ王子として生き延びにゃならんのだ。つーわけで、脱☆バカ王子!を目指し、真っ当な王子としての道を歩き始めた俺だが、そんな俺になぜか、この世界ではヒロインとイチャコラをキメるはずのヒーローがぐいぐい迫ってくる!一方、俺の命を狙う謎の暗殺集団!果たして俺は、この破滅ルート満載の世界で生き延びることができるのか? いや、その前に……何だって悪役令嬢モノの世界でバカ王子の俺がヒーローに惚れられてんだ? 2025年10月に全面改稿を行ないました。 2025年10月28日・BLランキング35位ありがとうございます。 2025年10月29日・BLランキング27位ありがとうございます。 2025年10月30日・BLランキング15位ありがとうございます。 2025年11月1日 ・BLランキング13位ありがとうございます。 第13回BL大賞で奨励賞をいただきました。これもひとえに皆様の応援のおかげです。本当にありがとうございました。

転生したら、主人公の宿敵(でも俺の推し)の側近でした

リリーブルー
BL
「しごとより、いのち」厚労省の過労死等防止対策のスローガンです。過労死をゼロにし、健康で充実して働き続けることのできる社会へ。この小説の主人公は、仕事依存で過労死し異世界転生します。  仕事依存だった主人公(20代社畜)は、過労で倒れた拍子に異世界へ転生。目を覚ますと、そこは剣と魔法の世界——。愛読していた小説のラスボス貴族、すなわち原作主人公の宿敵(ライバル)レオナルト公爵に仕える側近の美青年貴族・シリル(20代)になっていた!  原作小説では悪役のレオナルト公爵。でも主人公はレオナルトに感情移入して読んでおり彼が推しだった! なので嬉しい!  だが問題は、そのラスボス貴族・レオナルト公爵(30代)が、物語の中では原作主人公にとっての宿敵ゆえに、原作小説では彼の冷酷な策略によって国家間の戦争へと突き進み、最終的にレオナルトと側近のシリルは処刑される運命だったことだ。 「俺、このままだと死ぬやつじゃん……」  死を回避するために、主人公、すなわち転生先の新しいシリルは、レオナルト公爵の信頼を得て歴史を変えようと決意。しかし、レオナルトは原作とは違い、どこか寂しげで孤独を抱えている様子。さらに、主人公が意外な才覚を発揮するたびに、公爵の態度が甘くなり、なぜか距離が近くなっていく。主人公は気づく。レオナルト公爵が悪に染まる原因は、彼の孤独と裏切られ続けた過去にあるのではないかと。そして彼を救おうと奔走するが、それは同時に、公爵からの執着を招くことになり——!?  原作主人公ラセル王太子も出てきて話は複雑に! 見どころ ・転生 ・主従  ・推しである原作悪役に溺愛される ・前世の経験と知識を活かす ・政治的な駆け引きとバトル要素(少し) ・ダークヒーロー(攻め)の変化(冷酷な公爵が愛を知り、主人公に執着・溺愛する過程) ・黒猫もふもふ 番外編では。 ・もふもふ獣人化 ・切ない裏側 ・少年時代 などなど 最初は、推しの信頼を得るために、ほのぼの日常スローライフ、かわいい黒猫が出てきます。中盤にバトルがあって、解決、という流れ。後日譚は、ほのぼのに戻るかも。本編は完結しましたが、後日譚や番外編、ifルートなど、続々更新中。

有能すぎる親友の隣が辛いので、平凡男爵令息の僕は消えたいと思います

緑虫
BL
第三王子の十歳の生誕パーティーで、王子に気に入られないようお城の花園に避難した、貧乏男爵令息のルカ・グリューベル。 知り合った宮廷庭師から、『ネムリバナ』という水に浮かべるとよく寝られる香りを放つ花びらをもらう。 花園からの帰り道、噴水で泣いている少年に遭遇。目の下に酷いクマのある少年を慰めたルカは、もらったばかりの花びらを男の子に渡して立ち去った。 十二歳になり、ルカは寄宿学校に入学する。 寮の同室になった子は、まさかのその時の男の子、アルフレート(アリ)・ユーネル侯爵令息だった。 見目麗しく文武両道のアリ。だが二年前と変わらず睡眠障害を抱えていて、目の下のクマは健在。 宮廷庭師と親交を続けていたルカには、『ネムリバナ』を第三王子の為に学校の温室で育てる役割を与えられていた。アリは花びらを王子の元まで運ぶ役目を負っている。育てる見返りに少量の花びらを入手できるようになったルカは、早速アリに使ってみることに。 やがて問題なく眠れるようになったアリはめきめきと頭角を表し、しがない男爵令息にすぎない平凡なルカには手の届かない存在になっていく。 次第にアリに対する恋心に気づくルカ。だが、男の自分はアリとは不釣り合いだと、卒業を機に離れることを決意する。 アリを見ない為に地方に移ったルカ。実はここは、アリの叔父が経営する領地。そこでたった半年の間に朗らかで輝いていたアリの変わり果てた姿を見てしまい――。 ハイスペ不眠攻めxお人好し平凡受けのファンタジーBLです。ハピエン。

異世界で孵化したので全力で推しを守ります

のぶしげ
BL
ある日、聞いていたシチュエーションCDの世界に転生してしまった主人公。推しの幼少期に出会い、魔王化へのルートを回避して健やかな成長をサポートしよう!と奮闘していく異世界転生BL 執着最強×人外美人BL

BL世界に転生したけど主人公の弟で悪役だったのでほっといてください

わさび
BL
前世、妹から聞いていたBL世界に転生してしまった主人公。 まだ転生したのはいいとして、何故よりにもよって悪役である弟に転生してしまったのか…!? 悪役の弟が抱えていたであろう嫉妬に抗いつつ転生生活を過ごす物語。

処理中です...