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第四十二章

1340 光の雨

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( ヨセフ )

( 合体スキル )

< 深生元素の創生 >

調合系スキルを持つ者達30人以上がいる事で発動できる解析系調合合体スキル

素材の成分を分析、分解し、その薬効を抽出する事ができる

その成功率は術者達の合計魔力、魔力操作、器用さ、知力、調合成功経験、集中、努力値によって決定する

素材ランクが高いモノ程、その成功率は低い



Sランク素材という高ランク素材。

やはり難易度はかなり高く、だいぶ苦戦しているのか調合班全員の顔に焦りが浮かぶ。


その様子を全員が固唾をのんで見守っていたのだが、突然その中から────「 ……頑張れ……。 」というエールがポツリと呟かれた。


すると、まるでそれが合図であったかの様に、次々と周囲に声援は伝わっていく。


「 頑張れ────!!! 」


「 頑張れ!!調合班────!!!! 」


「 頑張れ!!頑張れ────!!! 」


全員が泣き叫ぶ様に大声で声援を送り始めると、突然その者達の心の扉がバンッ!と勢いよく開いた。

それにハッ!として声援を送り続ける皆を見渡せば、全員の扉の向こう側から眩しい程の光が溢れ、光の線が飛び出す。

そしてそれはあっという間に、お互いの心と心を繋ぎ────新たな力となってその場に光が降り注いだ。



( 合体スキル )

< 大声援の大嵐 >

【 一般人 】や【 村人 】【 町民 】など、多数の者達が集まる事で能力を発揮できる資質を持った者達50人以上が同じ感情を共有する事で発動できる特殊系合体スキル

攻撃、防御、回復、調合、錬合などのスキルに必要な全コストを全て大幅に下げ、命中率や合計攻撃力、防御力や全調合の成功率などを大幅に上げる事ができる

更に敵サイドの全抵抗率を大幅に下げ、全ステータ値、全耐性全てを大幅に下げる事ができる

一度発動すれば、感情値が落ち着くまでその場に発動し続けるパッシブスキル



( 合体スキル )

< 豪運のサイコロ >

【 勝負士 】【 賭け師 】【 引きこもり人 】【 ゲーム師 】などの運要素に関する資質の者30人以上の感情値がある一定以上に達した時に発動する特殊系合体スキル

調合、錬合などの運要素があるスキルの成功率を大幅に上げ、運、器用さを術者の合計値分UPする

一度発動すれば、感情値が落ち着くまでその場に発動し続けるパッシブスキル



( 合体スキル )

< 縁の下の剛力持ち >

【 介助人 】【 看護人 】【 従事人 】などのサポート系に関する資質の者30人以上の感情値がある一定以上に達した時に発動する特殊系合体スキル

何かをサポートする系統の全スキルの威力を大幅に上げる

一度発動すれば、感情値が落ち着くまでその場に発動し続けるパッシブスキル



あり得ない出来事を目の前に、私はその場に立ち尽くし人々の心を繋いでいく美しい光をボンヤリと眺めていた。

そしてその光は次々とその場の全員の心を繋いでは空に上っていき、雨のようにこの地に降り注ぐ。

それはただただ美しいと思う光景であった。


「 ……綺麗だ。 」


同じ光景が見えているグレスターは、空を見上げポロッと一筋の涙を流す。

己が壊そうとしてしまったモノを間近で見て、グレスターはさらなる罪悪と後悔の念を持ったのだと思う。


「 ……そうだな。 」


私はグレスターの涙に気づかないフリをして、同じく光輝く空をジッと見つめた。


きっとこんな景色こそが、この世界でもっとも守らなければならないモノだと……私は改めてそう思った。


身分も強さも人種も何も関係ない。

純粋に ” 他 ” を思う気持ちこそ、この世界を最も輝かせるモノだから。


「 で、で、で、できましたぁぁぁぁぁぁ────────!!!!! 」


突然調合班の者が、少量のキラキラ光る透明な液体が入ったフラスコを掲げ、大声で叫ぶ。

するとその場は ” わぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!! ” と大地が割れる程の歓声に包まれたが、調合班の者は直ぐにダッ!!とグレスターの方へ走り寄り、そのフラスコを手渡した。


「 どうぞ!これで毒は消えます!! 」


「 …………。 」


調合班が差し出すソレを、グレスターは戸惑いながら見下ろし手を出そうとしないため、私が手に取りグレスターに押し付ける。


「 まだ【 天の涙雨 】の魔法陣は消えていない。

連続して打って来ない所を見ると、恐らく二発目を打つまでのクールタイムが存在しているはずだ。

だからそれを飲め。

今は君しかその攻撃を受け止められる者はいない。

そして一人でも多く救うんだ。 」


「 ────っ!!! 」


グレスターはギュッと眉を寄せ何かに耐える様な表情を浮かべると、震える手でその薬を受け取り、そのままごくごくと一気に飲み干した。

するとグレスターの身体はまばゆい光に包まれ、黒い鎖文字はまるで苦しんでいるかの様にモゾモゾと蠢いた後、黒い煙となって消える。

それにワッ!!!とまた大きな歓声が上がり、全員がお互いの健闘を称え合うと、グレスターはボロボロと涙を流した。


「 ありがとう……っ。 」


すると同じく泣いていたジェニファーが抱きつき、二人揃って泣き出した姿を見て笑いを漏らす。


違う道を歩き出した二人の道は、どうやら気がつけば同じ道だったらしい。

元々とても似ている気質を持っている二人だったから、これからもお互い引っ張り合いながら一緒に光の道を歩いて行けるだろうと思う。

それにとても喜んだが……それはあくまで、今回の事が解決してからの話になる。


私は直ぐに笑いを引っ込め、調合班の者に尋ねた。
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