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第四十二章

1338 役に立てる!

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( ライキー )

「 …………やっぱり僕は駄目なんだ……。

役立たずなままだよ、あーちゃん……。 」


目立たない様端っこで、皆が頑張っているのをただ眺めている自分が情けなくてグスグス泣いていると、少し経った頃に、正門に繋がっているらしい魔道路から緊迫した様子の兵達が沢山出てきた。

その尋常じゃない様子に驚いていると、回りの人たちは直ぐに治療に取り掛かるが、状態は思わしくない様で、周りからは重苦しい空気が伝わる。


「 【 天の涙雨 】………。

────………。


< 女神のフリル >────。


────……────。

……正直……助かるのは……厳しいです。 」


司教のヨセフさんが話している話が断片的に聞こえ、僕はハッ!!とした。


< 女神のフリル >……僕はそれを最近見たことがある!!


脳裏にはつい最近、この身に起きた出来事が過った。



リーフ君の家族であるポッポ鳥のあげ玉君と、黒いスライムである黒みつ君。

二人は森で何か正体不明のキノコを発見すると、僕を拉致してその現場に連れて行く。


その日も森のかなり奥まであげ玉君に咥えられて連れてかれたのだが……その場で物凄く強そうなモンスターとエンカウント!

なんとその場であげ玉君と黒みつ君は戦い始めたのだ!


「 ひ、ひぃぃぃぃ~!!! 」


勿論非戦闘職の僕は直ちに物陰に隠れ、ドッカン!ドッカン!と戦うその場から逃げる。


僕死んだ────!!!

絶対死んだ────!!


ガタガタと震えながら塞ぎ込んだ、その時────……目の前にやたらと綺麗で美しいキノコが生えているのを発見した。


「 …………?………。

────……!!!!????えっ!!??


えええええぇぇぇぇぇぇ────────っ!!!?? 」


その正体を知り、びっくりした僕は、死への恐怖などあっという間に吹き飛んでしまった。。


め、め、め、< 女神のフリル >!!!???


生涯お目にかかりたいナンバー入りのウルトラレアキノコ!!

それが目の前にあったため、僕は直ぐにクンクン!と匂いを嗅ぎ、ジロジロ眺め、優しくなで上げて、耳を当て音を聞く!

そして極めつけがペロペロと舐めてみて、その味を確認しジ~~ン……!!と感動に打ちひしがれた。

全てにおいて素晴らしい!!

そのままうっとりとその姿を眺めていると────その直後。


────ドシーン!!!


なんとあげ玉君達によって倒されたモンスターが上から落ちてきて、< 女神のフリル >は下敷き……木っ端微塵に。


「 ^%$PK)&$W@────っ────っっ!!!!???? 」


目と口を限界まで開けて固まっている僕の元へ、あげ玉君達は何事もなかったかの様に戻ってきて、また僕をクチバシで咥えるとそのまま見せたかったキノコの群生地へと連れてかれる。

そうしてその後は呆然としたままそのキノコを収穫し、キノコ畑に植えてあげたのだが……もしもあの時、僕が直ぐに< 女神のフリル >を収穫していたら……!!と後悔と絶望に打ちひしがれた。


そうしたら今この場で沢山の人を助けられたかもしれないのに……!!


ショックで動けない僕の前で、突然魔道路を通ってやってきた聖職者の男性?が、苦しむ兵達からその毒を吸い取り瀕死状態になったのを見て、更にその想いは重く伸し掛かる。


地面に自分の頭を打ち付け、情けなさに涙を流した。


やっぱり優しさだけじゃ、何の役にも立たないじゃないか!

僕は何もできない、何も変えられない。

いつもただ一人皆が頑張っているのを見ているだけ。


この役立たず!!!


もう一度地面に頭を打ち付けると、突然フッ!!と視界が真っ暗になり、慌てて頭を上げると、その場は────────ただの真っ暗な空間になっていた。


「 …………えっ??

皆は……? 」


誰もいない。

神官さんも街の皆も怪我人も。


ただ黒いだけの空間にいて、絶望は物凄い早さで心を覆っていく。


「 ……もう駄目なのかな。 」


ボソッと呟く声も黒い色に消されてしまい、僕はそのまま力を失い眠ってしまおうかと思った瞬間────────……。



” 諦めるな!! ”



あの時聞こえたおじさんの声が聞こえて、ハッ!!と目を覚ます。


その声は眠ろうとしていた僕の頭を殴りつける様に大きく聞こえて、更に何度もその言葉が黒い空間の中で僕の全身を殴りつけた。


” 諦めるな!! ”


人を救いたいと想う心も、大好きな人に会いたいと想う心も。


” 諦めるな!! ”


” 諦めるな!! ”


何度も何度もその声が聞こえると、その声は次第に若返っていき……リーフ君の声に完全に変わる。



「 全部全部!諦めるな────っ!! 」



その声はドンッ!!という大きな音と共に、黒い空間を割り巨大な亀裂を創り出すと、そこから光が漏れ始め────その光の先に、あーちゃんの背中が見えた。



” 俺がこの世界を綺麗だと思えたのはライのお陰 ”



” ありがとう ”



” 世界一優しくて、俺の大好きな人。

最後は絶対に幸せになれよな。 ”



そう言って、光の中であーちゃんは振り向き────────懐かしい笑顔を見せてくれた。




────ハッ!!


気がつけば目の前には地面が。

慌てて顔を上げると、そこはさっきまでいた教会で……多分一分、いや一秒足りとも時が経っていない様であった。


僕は……?


ボロボロと流れ出す涙を見て、直ぐにそれを乱暴に拭き取ると、勢いよく立ち上がって走った。


自分の中に新たな力を感じる。


これはきっと……カッコ悪い僕にあーちゃんがくれた力だ。


手を前に出し、スキルを発動すれば、地面から一斉に< 女神のフリル >が顔を出す。



「 これならいくらでも出せるよ!


僕だって……役に立てる! 」



<菌生者の資質>(ユニーク固有スキル)

< 創造菌主 >

視覚、嗅覚、視覚、味覚の全ての感覚を体験した菌類に関し、その種を新たに創り出す事ができる創造系特殊スキル

菌類への愛情度、育てた経験値によりその創造できる菌類のレベルが決定する

(発現条件) 

一定以上の菌類に対する愛情度と育てた経験値、愛情、勇気、希望、優しさ、自己肯定感を持つこと

一定回数以上の善行経験値と他を愛した記憶を持つ事

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