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第四十一章
1325 現実はこういうモノ
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( ジェニファー )
「 この場所が何なのかは正確には分からないんだ。
でも……きっとココは ” 心 ” の入口なんだと思うよ。
そしてこの世界も、現実の世界も何かの ” 大きな力 ” によって決められた動きをして
いる事も知っている。 」
「 心の入口……??この扉がですか?
そもそも ” 大きな力 ” とは一体……。 」
私が混乱したまま質問すれば、ヨセフ司教は困った顔で首を横に振る。
「 ……さぁ?
でもきっとそれは ” 神様のルール ” の一つだろうね。
だから私達 ” 人 ” ごときでは到底理解できるモノではない。
ただ確実なのは、この世界に突然 ” 何か ” が起きている事。
そしてそれが奇跡を起こそうとしている事は分かる。
きっとそれ以上の事が分かってしまえば、言葉も記憶も取られてしまうんじゃないかな?。 」
言葉を失くした私に、ヨセフ司教は内緒だよと言わんばかりに人差し指を口に当て ” シーッ…… ” と囁いた。
そして突然また景色は変わり、元の教会の治療院へ。
白昼夢の様な出来事についていけずに、ポカンとしながらヨセフ司教を見上げると────ヨセフ司教はニコッと笑顔を浮かべながら、先程の場所でやったのと同じ様に人差し指を口元へ当てた。
<心導師の資質>(特殊先天スキル)
< 渡り人 >
知性ある生物が持つ特有の感情の発生源である ” 心 ” が集合した^%#@UOOに辿り着く事ができる
一定以上の孤独、怒り、憎しみを抱きながら、一定以上の愛、希望を経験し、更にそれを失くしてなお一定以上の感情値を持ったまま正気を保っている事で発動可能となる特殊先天スキル
あれは夢じゃない!
現実に存在する世界なんだ!
人如きが世界の真理とも呼べる存在を垣間見てしまった事にゾッ……と背筋を凍らせたが、同時に父の心もあの場所にあったのだろうか?と気になった。
私は最後の最後で父に背を向けた。
きっと……もう、父の心は……。
「 ……私は捨てる事を選びました。
もう父は手が届かない遠い所へ行ってしまったでしょう。
そうなるとあの扉も消えてしまうのですか? 」
ギュッ……と手が白くなるくらい強く握りしめると、ヨセフ司教は予想外の表情を浮かべた。
ワクワクしている様な……何かを期待している顔だ。
「 それはどうでしょうか?
・・・・
確かにアチラ側に行ってしまえば、その扉はそこから消えてしまう様ですが……先ほど見た通り、どの扉もハッキリと存在していて、更に全て開こうとさえしている。
そもそもあんなに全ての扉がハッキリ見えるなんて初めてで……私も何が起こるか分からないんです。
でもきっとすごい事が起きますよ!
だって全員がたった一つの場所に辿りつくために大行進を始めたから。 」
「 一体何処へ向かおうとしているのですか? 」
キラキラと目を輝かせるヨセフ司教に尋ねると、ヨセフ司教は ” 上 ” を指差す。
「 ” ハッピーエンド ” へです。
誰に言われるわけもなく、それぞれがそれぞれの行き方で、それを目指し始めました。
勿論、私も。
そして君も……。 」
” ハッピーエンド ”
希望の神様が目指している場所へ。
沈みそうになった心は浮上し、目に力が宿ったのに気づいたヨセフ司教は満足そうに微笑んだ。
「 いい言葉ですよね!
まさに希望の集大成とも言えるすごい言葉だ。
しかし……それは簡単に手に入るものではない。
そこに辿り着くためには、沢山の努力と勇気、悲しみ、憎しみ、怒りなどの負の感情全てを乗り越えなければ手にする事はできない。
” 絶望 ” は強大で先が見えないくらい高い壁となって前を塞ぐからね。
一人では到底それを打ち壊す事はできません。
まさに絶対究極難易度の結末なのですよ! 」
グッ!と拳を握って力説するヨセフを見て、クスッと笑いが漏れる。
この無情で残酷な世の中でそれを叶える事の難しさは、流される事しかできなかった自分はよく知っているつもりだ。
どんなに願っても、現実はアッサリと大切なモノを奪っては、心を酷く傷つけてくる。
それに対し一個人がどんなに努力したって何も変わらない。
だって現実は沢山の人たちが集合して作られているモノだから。
でも────……。
私の背後から突然フッ……と風が通り過ぎ、それに乗って走っていく少年の姿が見えると、その後を追いかける様に沢山の人たちが各々のペースで走っていった。
その沢山の人たちが全員動けば……現実はひっくり返る。
自分でも驚くくらいワクワクする気持ちが溢れ出し、今直ぐ私も走り出したい衝動に駆られた。
「 一番先に走り始めた神様は、結末なんてどうでもいいんだと思います。
ただ、この瞬間を全力で生きようとしているだけなんじゃないかって、そんな気がします。 」
” 現実はこういうモノだから。 ”
そんな考えに捉えられず気がつけば走り出しているその姿に、私は惹かれずにはいられない。
結果に縛られず現実を楽しむその姿を見てしまえば……居心地がいいと思っていた今いる場所が酷い場所だと気づかされてしまった。
「 この場所が何なのかは正確には分からないんだ。
でも……きっとココは ” 心 ” の入口なんだと思うよ。
そしてこの世界も、現実の世界も何かの ” 大きな力 ” によって決められた動きをして
いる事も知っている。 」
「 心の入口……??この扉がですか?
そもそも ” 大きな力 ” とは一体……。 」
私が混乱したまま質問すれば、ヨセフ司教は困った顔で首を横に振る。
「 ……さぁ?
でもきっとそれは ” 神様のルール ” の一つだろうね。
だから私達 ” 人 ” ごときでは到底理解できるモノではない。
ただ確実なのは、この世界に突然 ” 何か ” が起きている事。
そしてそれが奇跡を起こそうとしている事は分かる。
きっとそれ以上の事が分かってしまえば、言葉も記憶も取られてしまうんじゃないかな?。 」
言葉を失くした私に、ヨセフ司教は内緒だよと言わんばかりに人差し指を口に当て ” シーッ…… ” と囁いた。
そして突然また景色は変わり、元の教会の治療院へ。
白昼夢の様な出来事についていけずに、ポカンとしながらヨセフ司教を見上げると────ヨセフ司教はニコッと笑顔を浮かべながら、先程の場所でやったのと同じ様に人差し指を口元へ当てた。
<心導師の資質>(特殊先天スキル)
< 渡り人 >
知性ある生物が持つ特有の感情の発生源である ” 心 ” が集合した^%#@UOOに辿り着く事ができる
一定以上の孤独、怒り、憎しみを抱きながら、一定以上の愛、希望を経験し、更にそれを失くしてなお一定以上の感情値を持ったまま正気を保っている事で発動可能となる特殊先天スキル
あれは夢じゃない!
現実に存在する世界なんだ!
人如きが世界の真理とも呼べる存在を垣間見てしまった事にゾッ……と背筋を凍らせたが、同時に父の心もあの場所にあったのだろうか?と気になった。
私は最後の最後で父に背を向けた。
きっと……もう、父の心は……。
「 ……私は捨てる事を選びました。
もう父は手が届かない遠い所へ行ってしまったでしょう。
そうなるとあの扉も消えてしまうのですか? 」
ギュッ……と手が白くなるくらい強く握りしめると、ヨセフ司教は予想外の表情を浮かべた。
ワクワクしている様な……何かを期待している顔だ。
「 それはどうでしょうか?
・・・・
確かにアチラ側に行ってしまえば、その扉はそこから消えてしまう様ですが……先ほど見た通り、どの扉もハッキリと存在していて、更に全て開こうとさえしている。
そもそもあんなに全ての扉がハッキリ見えるなんて初めてで……私も何が起こるか分からないんです。
でもきっとすごい事が起きますよ!
だって全員がたった一つの場所に辿りつくために大行進を始めたから。 」
「 一体何処へ向かおうとしているのですか? 」
キラキラと目を輝かせるヨセフ司教に尋ねると、ヨセフ司教は ” 上 ” を指差す。
「 ” ハッピーエンド ” へです。
誰に言われるわけもなく、それぞれがそれぞれの行き方で、それを目指し始めました。
勿論、私も。
そして君も……。 」
” ハッピーエンド ”
希望の神様が目指している場所へ。
沈みそうになった心は浮上し、目に力が宿ったのに気づいたヨセフ司教は満足そうに微笑んだ。
「 いい言葉ですよね!
まさに希望の集大成とも言えるすごい言葉だ。
しかし……それは簡単に手に入るものではない。
そこに辿り着くためには、沢山の努力と勇気、悲しみ、憎しみ、怒りなどの負の感情全てを乗り越えなければ手にする事はできない。
” 絶望 ” は強大で先が見えないくらい高い壁となって前を塞ぐからね。
一人では到底それを打ち壊す事はできません。
まさに絶対究極難易度の結末なのですよ! 」
グッ!と拳を握って力説するヨセフを見て、クスッと笑いが漏れる。
この無情で残酷な世の中でそれを叶える事の難しさは、流される事しかできなかった自分はよく知っているつもりだ。
どんなに願っても、現実はアッサリと大切なモノを奪っては、心を酷く傷つけてくる。
それに対し一個人がどんなに努力したって何も変わらない。
だって現実は沢山の人たちが集合して作られているモノだから。
でも────……。
私の背後から突然フッ……と風が通り過ぎ、それに乗って走っていく少年の姿が見えると、その後を追いかける様に沢山の人たちが各々のペースで走っていった。
その沢山の人たちが全員動けば……現実はひっくり返る。
自分でも驚くくらいワクワクする気持ちが溢れ出し、今直ぐ私も走り出したい衝動に駆られた。
「 一番先に走り始めた神様は、結末なんてどうでもいいんだと思います。
ただ、この瞬間を全力で生きようとしているだけなんじゃないかって、そんな気がします。 」
” 現実はこういうモノだから。 ”
そんな考えに捉えられず気がつけば走り出しているその姿に、私は惹かれずにはいられない。
結果に縛られず現実を楽しむその姿を見てしまえば……居心地がいいと思っていた今いる場所が酷い場所だと気づかされてしまった。
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