1,334 / 1,370
第四十一章
1319 ジェンスター家
しおりを挟む
( ユーリス )
本来はこの様に全く違う系統の家同士、政略結婚する事はなのだが……。
俺は、よっしゃ~!!と拳を握って飛び上がる、ジェンスター家の当主であるドノバンさんへ視線を送る。
ジェンスター家が侯爵家まで昇りつめた理由はまさにそこにあり、他のある特定の血筋を確実に残してきた貴族とは正反対に、ジェンスター家は代々 ” 挑戦する事 ” に重きを置いてきた特殊な家系なのである。
変わり者代表ドノバンさんと、同じく系統の違う変わり者であるアルベルト団長が頭に浮かび、大いに納得して頷いた。
結婚相手に選ぶのも、その ” 挑戦 ” を元に選び、全く違った血筋のモノを入れては、新たな事業に取り組む。
それにより多様化していく能力により、現在手に入れているモノを新しいものへと進化していく事で、繁栄を極めてきた家、それがジェンスター侯爵家だ。
高位貴族の破天荒者。
時代の革命児。
そう囁かれるジェンスター家によって、これまで数々の常識は破られ、実は今の第二騎士団を創り上げたのもジェンスター家だ。
以前の第二騎士団は、貴族のみで構成されている第一騎士団により利用されるだけの便利な道具集団でしかなかったらしい。
囮、斥候、雑用……。
第一騎士団がやりたくない仕事を毎日押し付けられ、手柄は全て奪われる。
そんな中、ドノバンさんが団長になったその時点で、その待遇はガラリとが変わっていった。
その第二騎士団の境遇革命についての話は、今でも語り継がれている。
まず剣すらまともに振らせてもらえなかった団員達には、しっかりとした訓練カリキュラムを。
残飯の様な配食の食事改善。
それにより大幅に死亡率がダウンした第二騎士団だったが、勿論貴族達からの数々の妨害や嫌がらせを受けた。
しかし、正面からくる貴族達には全てドノバンさんが。
そして裏からくる貴族達は全てジョバンヌさんが華麗に反撃したのだ。
ドノバンさん自身の実力に加えて、ジョバンヌさんの実家であるカルロイド家を敵に回した事で、自分の家の事業に多大な損害を受けてしまい、如何に高名な貴族とて容易に手が出せなくなった。
そうして手をこまねいている間に、元々真っ先に問題を解決してきた第二騎士団は、あっという間に正当な評価を受けて名声は高まり、好きに扱う事ができなくなる。
更に他国との関係性が良いジェンスター家と、第二騎士団の関係性も親密になると、ますます手が出せない状態になってしまった。
よって現在は、完全に仕事内容が分断された独立状態でお互い仕事をしている。
……まぁ、第一騎士団に至っては、仕事という名のお飾り人形だが。
────ハァ……。
普段の第一騎士団の仕事っぷりを思い出し思わずため息が漏れる。
勿論それでも文句を言い続けた貴族達もいたらしいが、それにとどめを刺したのは、第二騎士団がアーサー様の管轄になった事だ。
そうなれば、実力主義の名の下、一つの小さな国家になった第二騎士団は、簡単に侵害する事ができない存在になった。
ドノバンさんが自身の息子であるアルベルトさんに団長の座を譲った後も、ジェンスター家とカルロイド家は第二騎士団のいい後ろ盾になってくれている。
しかし、まさかこんな総戦力を率いての参戦とは、流石に予想外だ……。
両家が共同所有している【 魔航飛帝 】は、空の最強兵器といっても過言ではない性能を持っているが────なんとジェンスター家の保持している戦力はこれだけではない。
────ガチャン!!ガチャン!!
【 魔航飛帝 】の下部に位置するハッチ部分が、大きな音をたてながら開き始め、特殊な足の防具を装備した人間達が次々と飛び出しては、空を鳥の様に飛び回り始めた。
両足に装備された防具からは六対の光る翼が生えており、空を飛ぶモンスターを軽々と倒していく。
「 す、すげぇ!! 」
「 あれはまさか……ジェンスター家の……! 」
ジェンスター家がカルロイド家の協力の元、保有している戦力の一つ。
【 飛空戦隊 】
空の戦闘に特化した部隊である【 飛空戦隊 】の装備している羽の生えた足の防具は、 ” 空足ブレード ” と呼ばれるスタンティン家と共同開発した戦闘用魔道具だ。
その空を華麗に飛び回る姿から ” 妖精戦士 ” などとも呼ばれている。
「 いいぞ─────!!! 」
「 空は頼んだ!! 」
ワッ!!とそこら中から声が上がったが、新たな援軍はこれだけに留まらず、更に開いたハッチの部分から今度は地上へと落ちてくる集団が見えた。
完全武装したその集団は、魔法を付与した武器を所持しており、ドノバンさんと同様に魔法と剣の両方を扱う地上戦の最強部隊────。
【 魔剣戦隊 】
第二騎士団に負けず劣らずの実力を持ち、魔法も剣も両刀で使ってくる確かな実力から ” 魔人戦士 ” などと言う輩達もいる。
「 す……すげぇ……この戦力、世界戦争かよ……。
流石は侯爵様。 」
「 これはちょっと……凄すぎませんか?
ちょっとした小国の総戦力並では? 」
ケンさんとマルクさんが呆然と呟くが、負けず劣らず俺も驚いているため、他にも周りでざわつく戦闘員達を鎮める事もできずポカンとしてしまった。
【 魔剣戦隊 】は、俺達の方へ片手を上げて挨拶すると、直ぐに戦闘配置につく。
その数は守備隊や騎士団に負けない程。
これなら……!
本来はこの様に全く違う系統の家同士、政略結婚する事はなのだが……。
俺は、よっしゃ~!!と拳を握って飛び上がる、ジェンスター家の当主であるドノバンさんへ視線を送る。
ジェンスター家が侯爵家まで昇りつめた理由はまさにそこにあり、他のある特定の血筋を確実に残してきた貴族とは正反対に、ジェンスター家は代々 ” 挑戦する事 ” に重きを置いてきた特殊な家系なのである。
変わり者代表ドノバンさんと、同じく系統の違う変わり者であるアルベルト団長が頭に浮かび、大いに納得して頷いた。
結婚相手に選ぶのも、その ” 挑戦 ” を元に選び、全く違った血筋のモノを入れては、新たな事業に取り組む。
それにより多様化していく能力により、現在手に入れているモノを新しいものへと進化していく事で、繁栄を極めてきた家、それがジェンスター侯爵家だ。
高位貴族の破天荒者。
時代の革命児。
そう囁かれるジェンスター家によって、これまで数々の常識は破られ、実は今の第二騎士団を創り上げたのもジェンスター家だ。
以前の第二騎士団は、貴族のみで構成されている第一騎士団により利用されるだけの便利な道具集団でしかなかったらしい。
囮、斥候、雑用……。
第一騎士団がやりたくない仕事を毎日押し付けられ、手柄は全て奪われる。
そんな中、ドノバンさんが団長になったその時点で、その待遇はガラリとが変わっていった。
その第二騎士団の境遇革命についての話は、今でも語り継がれている。
まず剣すらまともに振らせてもらえなかった団員達には、しっかりとした訓練カリキュラムを。
残飯の様な配食の食事改善。
それにより大幅に死亡率がダウンした第二騎士団だったが、勿論貴族達からの数々の妨害や嫌がらせを受けた。
しかし、正面からくる貴族達には全てドノバンさんが。
そして裏からくる貴族達は全てジョバンヌさんが華麗に反撃したのだ。
ドノバンさん自身の実力に加えて、ジョバンヌさんの実家であるカルロイド家を敵に回した事で、自分の家の事業に多大な損害を受けてしまい、如何に高名な貴族とて容易に手が出せなくなった。
そうして手をこまねいている間に、元々真っ先に問題を解決してきた第二騎士団は、あっという間に正当な評価を受けて名声は高まり、好きに扱う事ができなくなる。
更に他国との関係性が良いジェンスター家と、第二騎士団の関係性も親密になると、ますます手が出せない状態になってしまった。
よって現在は、完全に仕事内容が分断された独立状態でお互い仕事をしている。
……まぁ、第一騎士団に至っては、仕事という名のお飾り人形だが。
────ハァ……。
普段の第一騎士団の仕事っぷりを思い出し思わずため息が漏れる。
勿論それでも文句を言い続けた貴族達もいたらしいが、それにとどめを刺したのは、第二騎士団がアーサー様の管轄になった事だ。
そうなれば、実力主義の名の下、一つの小さな国家になった第二騎士団は、簡単に侵害する事ができない存在になった。
ドノバンさんが自身の息子であるアルベルトさんに団長の座を譲った後も、ジェンスター家とカルロイド家は第二騎士団のいい後ろ盾になってくれている。
しかし、まさかこんな総戦力を率いての参戦とは、流石に予想外だ……。
両家が共同所有している【 魔航飛帝 】は、空の最強兵器といっても過言ではない性能を持っているが────なんとジェンスター家の保持している戦力はこれだけではない。
────ガチャン!!ガチャン!!
【 魔航飛帝 】の下部に位置するハッチ部分が、大きな音をたてながら開き始め、特殊な足の防具を装備した人間達が次々と飛び出しては、空を鳥の様に飛び回り始めた。
両足に装備された防具からは六対の光る翼が生えており、空を飛ぶモンスターを軽々と倒していく。
「 す、すげぇ!! 」
「 あれはまさか……ジェンスター家の……! 」
ジェンスター家がカルロイド家の協力の元、保有している戦力の一つ。
【 飛空戦隊 】
空の戦闘に特化した部隊である【 飛空戦隊 】の装備している羽の生えた足の防具は、 ” 空足ブレード ” と呼ばれるスタンティン家と共同開発した戦闘用魔道具だ。
その空を華麗に飛び回る姿から ” 妖精戦士 ” などとも呼ばれている。
「 いいぞ─────!!! 」
「 空は頼んだ!! 」
ワッ!!とそこら中から声が上がったが、新たな援軍はこれだけに留まらず、更に開いたハッチの部分から今度は地上へと落ちてくる集団が見えた。
完全武装したその集団は、魔法を付与した武器を所持しており、ドノバンさんと同様に魔法と剣の両方を扱う地上戦の最強部隊────。
【 魔剣戦隊 】
第二騎士団に負けず劣らずの実力を持ち、魔法も剣も両刀で使ってくる確かな実力から ” 魔人戦士 ” などと言う輩達もいる。
「 す……すげぇ……この戦力、世界戦争かよ……。
流石は侯爵様。 」
「 これはちょっと……凄すぎませんか?
ちょっとした小国の総戦力並では? 」
ケンさんとマルクさんが呆然と呟くが、負けず劣らず俺も驚いているため、他にも周りでざわつく戦闘員達を鎮める事もできずポカンとしてしまった。
【 魔剣戦隊 】は、俺達の方へ片手を上げて挨拶すると、直ぐに戦闘配置につく。
その数は守備隊や騎士団に負けない程。
これなら……!
117
お気に入りに追加
2,014
あなたにおすすめの小説
僕がハーブティーを淹れたら、筆頭魔術師様(♂)にプロポーズされました
楠結衣
BL
貴族学園の中庭で、婚約破棄を告げられたエリオット伯爵令息。可愛らしい見た目に加え、ハーブと刺繍を愛する彼は、女よりも女の子らしいと言われていた。女騎士を目指す婚約者に「妹みたい」とバッサリ切り捨てられ、婚約解消されてしまう。
ショックのあまり実家のハーブガーデンに引きこもっていたところ、王宮魔術塔で働く兄から助手に誘われる。
喜ぶ家族を見たら断れなくなったエリオットは筆頭魔術師のジェラール様の執務室へ向かう。そこでエリオットがいつものようにハーブティーを淹れたところ、なぜかプロポーズされてしまい……。
「エリオット・ハワード――俺と結婚しよう」
契約結婚の打診からはじまる男同士の恋模様。
エリオットのハーブティーと刺繍に特別な力があることは、まだ秘密──。
BL世界に転生したけど主人公の弟で悪役だったのでほっといてください
わさび
BL
前世、妹から聞いていたBL世界に転生してしまった主人公。
まだ転生したのはいいとして、何故よりにもよって悪役である弟に転生してしまったのか…!?
悪役の弟が抱えていたであろう嫉妬に抗いつつ転生生活を過ごす物語。
もう人気者とは付き合っていられません
花果唯
BL
僕の恋人は頭も良くて、顔も良くておまけに優しい。
モテるのは当然だ。でも――。
『たまには二人だけで過ごしたい』
そう願うのは、贅沢なのだろうか。
いや、そんな人を好きになった僕の方が間違っていたのだ。
「好きなのは君だ」なんて言葉に縋って耐えてきたけど、それが間違いだったってことに、ようやく気がついた。さようなら。
ちょうど生徒会の補佐をしないかと誘われたし、そっちの方に専念します。
生徒会長が格好いいから見ていて癒やされるし、一石二鳥です。
※ライトBL学園モノ ※2024再公開・改稿中
主人公のライバルポジにいるようなので、主人公のカッコ可愛さを特等席で愛でたいと思います。
小鷹けい
BL
以前、なろうサイトさまに途中まであげて、結局書きかけのまま放置していたものになります(アカウントごと削除済み)タイトルさえもうろ覚え。
そのうち続きを書くぞ、の意気込みついでに数話分投稿させていただきます。
先輩×後輩
攻略キャラ×当て馬キャラ
総受けではありません。
嫌われ→からの溺愛。こちらも面倒くさい拗らせ攻めです。
ある日、目が覚めたら大好きだったBLゲームの当て馬キャラになっていた。死んだ覚えはないが、そのキャラクターとして生きてきた期間の記憶もある。
だけど、ここでひとつ問題が……。『おれ』の推し、『僕』が今まで嫌がらせし続けてきた、このゲームの主人公キャラなんだよね……。
え、イジめなきゃダメなの??死ぬほど嫌なんだけど。絶対嫌でしょ……。
でも、主人公が攻略キャラとBLしてるところはなんとしても見たい!!ひっそりと。なんなら近くで見たい!!
……って、なったライバルポジとして生きることになった『おれ(僕)』が、主人公と仲良くしつつ、攻略キャラを巻き込んでひっそり推し活する……みたいな話です。
本来なら当て馬キャラとして冷たくあしらわれ、手酷くフラれるはずの『ハルカ先輩』から、バグなのかなんなのか徐々に距離を詰めてこられて戸惑いまくる当て馬の話。
こちらは、ゆるゆる不定期更新になります。
お決まりの悪役令息は物語から消えることにします?
麻山おもと
BL
愛読していたblファンタジーものの漫画に転生した主人公は、最推しの悪役令息に転生する。今までとは打って変わって、誰にも興味を示さない主人公に周りが関心を向け始め、執着していく話を書くつもりです。
そばかす糸目はのんびりしたい
楢山幕府
BL
由緒ある名家の末っ子として生まれたユージン。
母親が後妻で、眉目秀麗な直系の遺伝を受け継がなかったことから、一族からは空気として扱われていた。
ただ一人、溺愛してくる老いた父親を除いて。
ユージンは、のんびりするのが好きだった。
いつでも、のんびりしたいと思っている。
でも何故か忙しい。
ひとたび出張へ出れば、冒険者に囲まれる始末。
いつになったら、のんびりできるのか。もう開き直って、のんびりしていいのか。
果たして、そばかす糸目はのんびりできるのか。
懐かれ体質が好きな方向けです。今のところ主人公は、のんびり重視の恋愛未満です。
全17話、約6万文字。
雫
ゆい
BL
涙が落ちる。
涙は彼に届くことはない。
彼を想うことは、これでやめよう。
何をどうしても、彼の気持ちは僕に向くことはない。
僕は、その場から音を立てずに立ち去った。
僕はアシェル=オルスト。
侯爵家の嫡男として生まれ、10歳の時にエドガー=ハルミトンと婚約した。
彼には、他に愛する人がいた。
世界観は、【夜空と暁と】と同じです。
アルサス達がでます。
【夜空と暁と】を知らなくても、これだけで読めます。
随時更新です。
悪役令息の死ぬ前に
やぬい
BL
「あんたら全員最高の馬鹿だ」
ある日、高貴な血筋に生まれた公爵令息であるラインハルト・ニーチェ・デ・サヴォイアが突如として婚約者によって破棄されるという衝撃的な出来事が起こった。
彼が愛し、心から信じていた相手の裏切りに、しかもその新たな相手が自分の義弟だということに彼の心は深く傷ついた。
さらに冤罪をかけられたラインハルトは公爵家の自室に幽閉され、数日後、シーツで作った縄で首を吊っているのを発見された。
青年たちは、ラインハルトの遺体を抱きしめる男からその話を聞いた。その青年たちこそ、マークの元婚約者と義弟とその友人である。
「真実も分からないクセに分かった風になっているガキがいたからラインは死んだんだ」
男によって過去に戻された青年たちは「真実」を見つけられるのか。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる