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第四十章

1292 まさか……

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( マービン )

俺の顔色も多分酷い色になっているだろうなと思いながら、俺は続けて言った。


「 もしも王が援軍を送り、モンスター達が全て倒されてしまったとする。

その後に致し方なく< 聖令浄化 >を行えば……国民の中には ” 沢山の犠牲者を出したが、ニコラ王は出来うる限りの事をしてくれた。 ” という評価をする者達も多く現れるはずだ。

その余裕が、万が一モンスターボックスに似たこの謎のスキルを解明する手がかりへ導くかもしれない。

そう考えた ” 悪 ” の次に考える手はコレだ。


” だったら全てを消してしまおう ”  」


その思考に吐き気がして、最後は吐き捨てる様に言い放つ。

計画が崩れる事を想定した奴らは、証拠全てを根こそぎ消し去る様な圧倒的な ” 力 ” を用意しているはず。


それこそなにもかもを消し去ってくれる様な恐ろしい ” 力 ” を────……。


「 …………。 」


点と点が繋がりそうになり、その恐ろしい可能性の話が一気に現実味を帯びた時、突如……ドンッ!!ドンッ!!ドドドンッ!!!!という大きな爆発音と共に大地が揺れる。


その瞬間、俺のスキル< パーフェクト・マップ >に、初めて聞く様な、ビーッ!!ビーッ!!という大きな警戒音の様なモノが聞こえた。


「 なっ!!なんですか!?この爆発は!! 」


「 もしや、また新たなモンスターボックスですか’?! 」


グリムとスワンが叫ぶのを横で聞きながら、俺は< パーフェクト・マップ > に突如浮かんだ、8つの大きな魔力反応を確認し、サァァァ……と血の気が引いていく。


以前、何故かSランクモンスターが頻繁に姿を現した事件。

人的な要素も考えられていたが、結局はそんな事をしても誰一人として得をしないため、調査はそうそうに打ち切られたという。


その事件が頭の中にフッと浮かび ” まさか。 ” と思いたかったが……。


自分の最悪な予想が当たってしまった。


ソフィア様の能力で半分以上能力DOWNしているにも関わらず、初めて感じる禍々しい強大な魔力反応……間違いない。


「 Sランクモンスター……っ! 」


俺の声が聞こえた同志達は「 Sランク……? 」「 う、嘘だろう……? 」と動揺した声が聞こえたが、直ぐに全員が声を合わせて叫んだ。


「「「「 マービン様っ!!ご指示を!! 」」」」


勿論言われるまでもなく、既に俺はありとあらゆる戦略を練っているが……とてもではないが、今の戦力ではSランクと戦えない。


足止めすらも難しい……!!


現在この場所から最も近い場所に二体いて、恐らく一体はスタンティン家の子息がいるであろう方へ向かうはず。

そしてもう一体は……。


「 こっちに来る。

戦力を集めたくとも、ここに集結させてしまえば、防壁の守りが維持できずに街は壊滅する。

どうすれば……! 」


” 絶体絶命 ”

それを嫌というほど感じながらも、生存ルートを必死に模索していると……突然ここに近い場所にいるSランクの気配が小さく別れ始め、地下に一気に広がっていくのに気づいた。

一体……?


そこでハッ!!とした俺は、急いで同志達に指示を出す。


「 全員地下に向かって攻撃しろ────っ!!!! 」


「「「「 ────っ?!!は、はいっ!!! 」」」」


直ぐにスワンとグリムを始めとする、他の同志達が、全力の攻撃を地下に向かって放ち、俺も勿論地下に向かって魔法を叩き込んだ。


すると、地面からは火柱の様なモノが至る所で上がり、何か小さなモノが大量に地上へと飛び出してくるではないか!


《 ピ、ピギィィィィ────っ!!!! 》


その小さいモノはなんと小さな黒い子蜘蛛達で……地下への攻撃により、鳴き声をあげて散っていった。


それに安心したのも束の間。

今度はあり得ない程早いスピードで地下を移動する気配を感じ、更にソレは俺達の方へまっすぐに向かってくるのを感知する。

ゾッ!!としながら、俺はグリムに向かって叫んだ。


「 上へ!!急げっ!!! 」


「 承知しました!! 」


グリムは俺の指示を受け直ぐに虹色の風船を作り出す。



< 毒膳士の資質 > ( ユニーク固有スキル )

< レインボー気球 >

ガム型武器専用スキル

様々な属性を練り込んだ虹色の風船を作り出し、自在に空を飛ぶことができる

ただし、長距離移動には相当な実力が必要

(発現条件) 

四種類以上の属性魔法の適正がある事

一定回数以上ガム型魔道具を使用した制作経験があること

一定以上の好奇心、無邪気、純粋がある事



虹色の風船を掴んだグリムに俺とスワンが飛びつくと、風船は一気に上空へと上昇したその瞬間────────!


────ガキンッ!!!!!


突然巨大な蜘蛛の手の様なモノが二本、地面から伸びてきて、俺達がいた場所を挟み込む。


「「「 ……っ!!! 」」」


上空からその様子を見て息を飲むと、その足はいたはずの俺達がいない事が不思議だった様で、何度かガチガチとその足を動かしていたが、突然二本の足に沢山の目が出現し、一斉にそれがパチッ!!と目を開けた。


ギョロ!!

ギョロギョロ!!


音が聞こえそうなくらい激しく目を動かしていたが、その一つが上空にいる俺達を見つけると、全ての目が俺達を睨んでくる。
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