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第四十章

1289 頼もしい援軍

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( マービン )

突如現れた ” 人 ” らしき集団の頭上に ” 目 ” を出現させ、キョロキョロと目を動かして、情報を集めた。

すると、下では戦闘用に訓練された馬に乗り、周囲のモンスター達を蹴散らしながら、街に到着した兵士達の姿が……。


兵士達は直ぐに近くで仲間たちが交戦中の< ブラック・ミノタロス >を発見し、完璧な布陣で戦いを始める。

動きからしてかなりの実力を持つ兵達の様だが……。

一体彼らは……??


直ぐに目を動かし、その兵たちの鎧に刻まれた家紋を確認すると、その正体が判明した。


「 ストリング家とダックス家の私兵たちか!! 」


「「 ────えっ? 」」


突然自分たちの家の事を言われたグリムとスワンは驚いた様子を見せる。


ゴツくてしっかりした鎧を着た方の兵がスワンの家である< ダックス家 >が抱える戦力。


【 ダックス防衛団 】


そして魔導ローブに簡素な鎧を着ている方の兵はグリムの家である< ストリング家 >の抱える戦力。


【 ストリング魔術団 】


【 ダックス防衛団 】はその名の通り防衛戦に特化した部隊であり、他国との小競り合いなどでは必ず参加し、境界線を守り通してきた強者集団である。

一方【 ストリング魔術団 】は、主にデバフに特化した集団で、魔法や薬剤を使った幻影、感覚阻害系の攻撃に優れたスペシャリスト。

モンスターの討伐や捕獲の際の、戦闘員の死亡率を大幅に下げる重要な要因の一つと言われている。


どちらもそれぞれの家にとっては要ともいえる最高戦力。

それがなぜグリモアに?


疑問を持ったのは俺だけではなく二人も同時にそう思った様で全員で首を傾げると、それを見計らった様に一匹の伝電鳥が飛んできて、スワンの肩に止まった。


《 若様っ!!ご無事でしたか!! 》


「 < リンドウ >か!! 」


野太い男性の声が伝電鳥から聞こえて、スワンがその名を呼ぶ。

すると伝電鳥からは、ホッ……とした雰囲気が漂い、今の状況について説明しだした。


《 はい、< リンドウ >でございます!

現在我ら【 ダックス防衛団 】は、戦闘力に特に優れた約100名程が先行してグリモアへ到着いたしました。

私共は当主の命を受け、三ヶ月程前から近くの街に潜伏してたのです。

そのため、異変を感じた直後にそこから直ぐに駆け付けたのですが……モンスター共に進行を阻まれてしまい、こうして到着が遅れてしまい申し訳ありません。 》


リンドウは【 ダックス防衛団 】の団長を務める男だったはず。

どうやら、団長自ら隊を率いてここへやって来たらしい。


「 父様が……?一体なぜ……? 」


呆然とするスワンに対し、リンドウは静かに口を開く。


《 ご当主様も奥様も、そして我々も薄々気づいていました。

きっと何か良くない事が起きるだろうと……。

そしてそれに表立って逆らえば我々は全員消される事も……。


しかし、やはり見てみぬフリはできなかったという事です。

” 何か有事の際は、できる限りの人を助けよ。 ” 

我々はそう命じられました。 》


「 …………。 」


言葉もないスワンに、リンドウは間を開けてから続きを話す。


《 元々の計画では秘密裏に動くはずだったのですが……先ほど当主様より別の命が伝えられ、我々【 ダックス防衛団 】も心を決めました。 》


「 命令……?一体なんの命令を伝えられたんだ? 」


スワンが不思議そうに尋ねると、伝電鳥の向こう側から大きく息を吸う音が聞こえた。


《 ” 我々< ダックス家 >は、これよりハッピーエンドを目指し前に進む!!

命を掛けて足掻け! ” と。

それに従い、我々はグリモアの守備に入ります。

何人たりとも中に入れさせませんので、ココはお任せ下さい。

< ダックス家 >に変わらぬ忠誠を!! 》


するとリンドウの掛け声に反応したかの様に、沢山の伝言シャボンが飛んできて、一斉に空で弾ける。


『『『 変わらぬ忠誠を!!! 』』』


その場に何十にも重なる ” 声 ” が聞こえ、それを見届けた伝電鳥はバサッ!と飛び立っていった。

スワンはというと、耐えていたらしい涙をボロボロと流しながら「 良かった……良かったよ……。 」と何度も呟いている。


自分の両親が、こんなクソみたいな計画に協力したわけではなかった。

それがスワンにとっては救いとなった様だ。


俺もグリムももらい泣きしそうになって、それに耐えていると、一匹の伝電鳥がスィ~……と降りてきて、俺達三人を見回す。


《 ……あ、あの~……。

ちょっとタイミング悪そうなので……俺はこれで……。 》


気まずそうに、また飛び立とうとする伝電鳥をグリムが鷲掴んだ。


《 グエッ!!! 》


「 その声は< クロロ >だな? 」

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