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第四十章

1280 違和感

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( クルト )

まず、高い物理と魔法耐性を持っているため攻撃自体通りにくい上に、ごっちゃりとついている内蔵などのパーツごとに弱点の属性が違うため、大人数での討伐が必須となっている。


果たして今ある戦力で足りるか……?


ゴクリっ……と唾を飲み込みながら、セリナの方へ目配せすると、セリナは汗を掻きながら舌打ちをした。

ゾッとする程静かな魔力を纏っている< ナイト・カゲロウ >。

その実力は如何程のものか……。

とりあえず攻撃パターンが全く不明であるため、先に前衛職である俺が先制攻撃を仕掛けようと、セリナにサポートをしてもらう様、目で合図を送る。

そして続けて他の攻撃班には ” いけそうだったら追加攻撃を。 ” 

盾班には ” 攻撃に備えよ。 ” と指示を出し、俺は剣を後ろに大きく引いた。


「 先制パンチだ!くらえっ化け物っ!!! 」


俺は後ろに引いていた剣をそのまま思い切り振りかぶる。



< 剣力士の資質 >( ユニーク固有スキル )

< ぶつかり風の稽古 >

風属性を剣に纏わせ、その風圧で敵を切り裂く強力な攻撃スキル

その威力は体力値、攻撃値に加えて、自身の努力、根性、度胸によってUPする

また感情ゲージが高まる程その威力は上がる


(発現条件) 

一定以上の体力、攻撃値、努力、根性、度胸を持つこと

風属性魔力を持つこと

一定以上自身の感情ゲージがある一定を越えた経験値がある事、かつ他者の持つ価値観とのぶつかり合いを経験すること



打ち出した事で発生する、横一文字に繰り出される剣の衝撃波。

それがヤツの紙ペラみらいな胴体へとクリーン・ヒットすると、ブチブチブチ────っ!!!と嫌な音を立てて、くっついていた臓器の様な者が周辺に飛び散った。


少しはダメージが与えられたか……?


歓声を上げる生徒たちに、油断するなと伝えようとすると、それより先に切羽詰まった様な声が解析班から上がる。


「 モンスター反応、周囲に分散っ!!

各所、攻撃に備えてください! 」


一気にその場は緊迫し、即座に全員が警戒態勢をとると、いち早く反応したのは獣人のレイドだ。


「 ────へっ!気配垂れ流しすぎなんだよ! 」


レイドは不敵に笑うと、手に持つ武器を一瞬で二丁の長銃に変えると、やや右上の空に向かって攻撃を繰り出した。



<重工戦士の資質>(ユニーク固有スキル)

< 蒼竜の花吹雪 >

武器指定【 銃 】

二丁の銃から打ち出される強力な打撃属性の攻撃スキル

その威力は体力、力により決定し、命中率は器用さが高い程上昇する

扱いが難しい分、威力と体力コストが非常に良い

(発現条件) 

一定以上の体力、攻撃力、命中率、集中、好奇心、興味、冒険心を持つこと

一定回数以上銃での戦闘経験と勝利経験を持つこと




ガインっ!!ガインッ!!!


レイドの立て続けに放たれた衝撃波は、何もない空間を打ち抜き、何かに当たった音がする。

するとグチャグチャ!!という肉が潰れる様な音と共に、< ナイト・カゲロウ >の肉片の様なモノが次々と地面に落ちていった。


「 ちったぁ~効いたかよ、この化け物。 」


レイドが鼻で笑った瞬間────その後ろにボンヤリとした気配がしたので「 レイドっ!!! 」と叫ぶ。


「 ??なんだよ、クルト先────……。 」


レイドが俺の名を呼び、後ろを振り返ろうとしたその時、横からサイモンが飛び出した。


「 み~つけたっ! 」


サイモンは、そのまま両手のタガーを、そのボンヤリした気配に向かって振る。



<盗賊猫の資質>(ユニーク固有スキル)

< 暴れる猫の爪 >

武器指定【 両手タガー 】

まるで猫がひっかく様な素早い動きで繰り出されるスピード特化型の攻撃スキル

スピード、器用さが高いほどに威力は増していき、命中率も上がる

(発現条件) 

一定以上のスピード、器用さ、タガーの武器熟練度を持つこと

一定以上の猫からの好感度と過ごした時間がある事



ボンヤリした気配にサイモンの攻撃はヒットした様で、先程のレイドの時同様、肉片が現れボトボトと地上へと落ちた。

レイドはそれを見て、ふ~……と安堵の息を吐き、サイモンに手を振る。


「 わりぃ~わりぃ!助かったぜ、サイモン。

でも全然気配を感じなかった……。

一体どうなってるんだ? 」


「 もぉ~、油断しないでよねぇ~────と言いたい所だけど……僕はレイドが攻撃した方の気配は全然感じられなかったよ。

今のはハッキリ感じたのに……。 」


俺は二人の会話を耳に入れつつ、全体的にボンヤリしている気配に向かって負けじと攻撃してみた。

すると、確実なヒットを逃してしまう事があるが、とりあえずは何かにヒットし肉片が落ちてくるのを見届け、冷静に周りの様子を伺う。


するとその場の全員が、レイドとサイモン同様に気配を感じられない時と感じ取れる時の両方がある様で……違和感を感じながらも、感じ取れる気配のモノに攻撃を仕掛けている様だ。

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