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第三十八章

1232 居場所って……

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( ベリー )

「 リーフ様に< ビリビリまりも >がいる池に潜らされた時に比べれば、こんなの前菜っすね! 」


「 いや……俺はアレだな……。

< ヌメヌメ大根 >を取りに行かされた時が一番だと思う。 」



< ビリビリまりも >

体長20~30cm程の、池に生息するまりも型のGランクモンスター

普段は大人しいが、攻撃を加えると強烈な雷を発するため、うっかり池で使われると、感電死する事もある

しかし中身はとてもジューシーな肉が詰まっており、高級料理店では欠かせない食材の一つ



< ヌメヌメ大根 >

体長30m程のの森に生息する野菜型Gランクモンスター

身体はヌメヌメと粘着性のある粘液で湿っており普段は大人しく土に埋まっているが、攻撃されると判断すると粘液は強酸へと変化する

そしてそれを水鉄砲の様に敵認定したものに飛ばし、溶かしてしまう

しかし普通の大根の約1000倍は美味しく、高級料理店では欠かせない食材の一つ



この二つのモンスター達は、ランクが低い割に非常に入手危険度は高く、少なくとも新人レベルの戦闘員には担当させない隠れ危険ランクモンスターである。


それを取りに行かせる……?


状況から予想するに、もしかして二人は ” リーフ様 ” に虐められているのでは?

そんな心配がフッ……と過る。


「 もしかして ” リーフ様 ” っていじめっ子なのかな……? 」


「 う~ん……。

まぁ、そもそも友達に ” 様 ” はつけないよね……? 」


キュイちゃんとヒソヒソ言い合い、それとなくその事について聞いてみたのだが……なんと二人は爵位が一番下の男爵ではあるが、立派なお貴族様だった事が判明した。


慌てて今までの非礼を詫びようとしたが、商人に毛が生えた様なものだから……と、今まで通りの態度でいてほしいと頼まれてしまったので、お言葉に甘える事に。


まさか二人がお貴族様だったとは……。

それには非常に驚かされたが、その事で ” リーフ ” 様の正体も見えてくる。


少なくとも男爵以上の貴族の令息で、二人はその側近候補達。

そんな偉いお貴族様だから、奴隷のレオン君を所有し、更に試験会場へ連れてこれたということか……。


なるほど~!と納得するのと同時に、二人の苦労を妄想し目尻に涙が出てしまった。


貴族社会は平民の社会と比べてとても厳しい世界なのだそうで、ちょっとでも上の身分の者に逆らえば、一族極刑もあるのだとか。


しかも戦闘系ではない二人は、色々と風当たりもキツイに違いない!


キュイちゃんと二人でハンカチを目元に押さえて、二人の並々ならぬ努力と根性に涙した。


そのため微力ながらに応援したくなって、閉店間際に来る彼らにスタミナドリンクを作って飲ませたり、料理を沢山作って食べさせると、思った以上に喜んでくれたのだ。


それが嬉しくて、とうとう年パス( 5回分の料金で1年間入店し放題のパスポート )まで買ってくれた二人がご飯を食べに来るのが日常化した頃、いつもボロボロな二人に対し質問してみた。


” なんで二人はそんなボロボロで来るの? ” と。

するとなんと二人は部活が終わった後も二人で修行しているそうで、その最後にココにやってくるとの事だった。


────感動!!


戦闘系資質でない彼らの並々ならぬ努力に心が動かされ、マッサージやストレッチまで面倒みてあげる様になると、二人は大抵寝てしまうので、おんぶして寮に届けてあげるのも日課になる。


そんな日々を過ごすうちにフッ……と思った。



なんか、こういうのいいな!って。



隣にキュイちゃんがいて、変わっているけど優しい上司や陽気な傭兵仲間たちがいて、心を癒してくれるかわいいモノに囲まれて、冷遇しない温かな街の人たちがいて……。

楽しく笑い合える獣人のお客さん達とお話して、応援したい友達ができて、この今いる居場所って凄く良いところだなと思ったのだ。


あれ?

もしかしてココが探していた居場所なんじゃないの??


それに気づくと、この中の何か一つでも欠けると嫌だと思っている気持ちに気づき、更にボロボロなモルト君とニール君に対し、続けて尋ねた質問の答えを思い出す。



” じゃあ、なんでそんなボロボロになっても頑張るの? ”


今度はボロボロになるまで頑張る理由をモルト君とニール君に聞いてみると、二人は迷いなく答えた。


” 大事な居場所を守りたいから ”

それを聞いてハッとしたのだ。

              
守りたいと思う心って、きっとから来ているんだ……って。


モルト君とニール君が頑張り続ける事ができる理由はコレで、それは多分 ” リーフ様 ” が作ってくれたモノらしい。

それは二人が話してくれる会話の中からも良く分かっていた。


「 リーフ様に会ってみたいな……。 」


気がつけば、モルト君とニール君、その日はレイド君とメルちゃんも来てくれていた席でそう呟くと、途端に四人は難しい顔をする。


「 ────あ!別に連れてきてって事じゃないからね。 」


焦ってそう告げると、そうじゃないと言わんばかりに四人は一斉に首を振った。

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