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第三十七章
1196 戦いに参加する者たち
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( ザップル )
「 流石はザップルさん!!お見事っすー!! 」
「 いいぞいいぞ~!!!よっ!俺達のリーダー!! 」
ヒューヒューと野次まで飛ばす仲間たちに汗を掻きながら「 真面目に戦え。 」と注意したが、全員聞いているのだが、いないんだか……。
鼻歌まで聞こえそうなくらいご機嫌で戦っている。
しかもパウロや真面目でクールなクロエや冷静沈着なサロまで同じ様に戦っているモノだから、強く注意もできない。
単純で喧嘩っ早いが、情に厚く涙もろい。
そんな俺の仲間たちは今の状況が嬉しくて堪らないらしい。
まぁ、それは俺もか……。
自分もいつもよりご機嫌で戦っている自覚があり、そのまま大きくモンスター達を押し戻していったが────────……そんな俺達に、次なる悪の手は迫る。
かなりの数を倒したにも関わらず、モンスター達は減るどころか増えていく様にさえ見え、俺はその原因であろう物質を睨みつけた。
宙に浮かぶドロドロした黒い水の塊達。
アレからモンスター達が次々と出てきている。
呪災の卵の非常に厄介な能力。
” モンスターを生み出し増殖する能力 ”
あの黒い水の塊から、黒い雫がポタポタと森に落下しては水溜りを形成し、モンスター達がそこから無限に増殖している様だ。
「 あの黒い水はどうにか消すことができないのか? 」
「 解析班曰く、あの黒い水の塊達は呪い属性のようです。
もし飛び散ってこちらに飛んで来てしまえば、何が起こるか……。 」
俺がエイミに尋ねると、エイミはそう答えて首を横に振る。
” 呪い ” に感染でもしてしまえばあっという間に全滅する恐れがあるため、やはり俺達はここで踏ん張る以外できないらしい。
歯がゆい想いにギリッと奥歯を噛み締めたが、フッとある事を思いつき、顔から血の気が引いていった。
「 ……まてよ、もしかしてそれではグリモアの周辺にある街や村は大丈夫なのか?
守備隊も満足に在中してない所もあったはず! 」
ゾッとしながら叫んだが、ヘンドリク様がチッチッチッ~と指を振って余裕そうな表情を見せる。
「 ” 神様の眷属達に守らせるから問題ない。 ” とカルパス殿から連絡があったから大丈夫じゃろう。 」
「 ??神様の眷属……? 」
「 よく分かりませんが、多分カルパスさんなら安心して任せて大丈夫です。 」
サッパリ意味不明な表現の言葉に訝しげな目でヘンドリク様を見てしまったが、続けてエイミが自信満々でそう言うので、” カルパス ” という名の男について思い出した。
確かエイミから ” 諜報ギルド ” には伝説とも言えるくらい凄腕の諜報ギルド員がいた────という話を聞いたことがある。
確かその人物の名がそれだった様な……?
しかし、そんな人物までこの戦いに参加しているなど、またしても驚かされてしまった。
更に────……
「 おいっ!見ろよ!!すげぇ沢山の飛行型魔道具がこっちに! 」
「 !!特殊輸送便に【 スターホース隊 】じゃねぇか?!なんでこんな所に……! 」
「 【 護衛騎士団 】!?それに家紋持ちの私兵団達まで??! 」
続々と到着する援助物資に、それぞれの所属を告げて戦いに参加してくれる頼もしい援軍達にこれまた驚かされる事になる。
「 い、一体どれ程の人間達がこの戦いに参加しているんだ……? 」
呆然と呟いた俺の横から、パウロ達がバッ!と飛び出す。
その顔には揃いも揃って笑顔が浮かんでいて、どうやらワクワクした気持ちを抑えられずに、飛び出していったらしい。
俺もそれに釣られて笑顔になって飛び出す。
何が何だか、一般平民の俺には分からないが、とにかくこんな凄い事になっているなら、自分もそれに便乗して大騒ぎしてやる。
そうしないと勿体無い!
ワクワクする気持ちで、負けじと次々とモンスターを倒していった。
リーフがあの呪いの化け物を倒すまで持ちこたえる。
俺達は全力で ” 仕方ない ” を目指すぞ!
テンションが上がった仲間達と、駆けつけてくれた援軍のおかげで、前線の戦況は見事に安定した。
それを確認した俺は、一旦全体の状況を確認するため後ろに下がる。
「 よし、戦況は完全に安定したな。
このまま、交代制で休憩を挟みながら耐えるぞ。 」
「 えぇ、先ほど前衛班にそれを伝えました。 」
モンスター達の数はあの化け物が倒されない限りは無限。
それに対し、人は有限であるため、上手くペース配分をしなければ死人が出てしまう。
それを考えながら、怪我を直して教会から戻った仲間たちが持って帰ってきた小麦ボールを口に放り込んだ、その瞬間────。
ドドドドド────ンッ!!!!!
地を揺らす程の大きな爆発がモンスター達の後方で起こり、爆風が俺達を襲った。
パチパチと顔に当たる小石達を片手で顔を覆いながら防ぎ、爆発がした方向を睨みつける。
「 何だ……? 」
砂埃によって視界が悪く、視覚で情報を得ることはできなかったが……。
────────ゾワッ!!!!
突然現れた何かの魔力気配に全身に悪寒が広がった。
信じられない程強大で、ドロリとした粘着性のある魔力気配……。
こんなの今まで感じた事がない!!
慌ててヘンドリク様の方へ視線を向ければ、ヘンドリク様は余裕がない様子で前方を睨みつけている。
その存在に気付いた仲間たちも全員緊張しながら前方を睨みつけていたのだが、突然風に乗って耐え難い腐敗臭が漂い、俺達は揃って顔を顰めた。
「 流石はザップルさん!!お見事っすー!! 」
「 いいぞいいぞ~!!!よっ!俺達のリーダー!! 」
ヒューヒューと野次まで飛ばす仲間たちに汗を掻きながら「 真面目に戦え。 」と注意したが、全員聞いているのだが、いないんだか……。
鼻歌まで聞こえそうなくらいご機嫌で戦っている。
しかもパウロや真面目でクールなクロエや冷静沈着なサロまで同じ様に戦っているモノだから、強く注意もできない。
単純で喧嘩っ早いが、情に厚く涙もろい。
そんな俺の仲間たちは今の状況が嬉しくて堪らないらしい。
まぁ、それは俺もか……。
自分もいつもよりご機嫌で戦っている自覚があり、そのまま大きくモンスター達を押し戻していったが────────……そんな俺達に、次なる悪の手は迫る。
かなりの数を倒したにも関わらず、モンスター達は減るどころか増えていく様にさえ見え、俺はその原因であろう物質を睨みつけた。
宙に浮かぶドロドロした黒い水の塊達。
アレからモンスター達が次々と出てきている。
呪災の卵の非常に厄介な能力。
” モンスターを生み出し増殖する能力 ”
あの黒い水の塊から、黒い雫がポタポタと森に落下しては水溜りを形成し、モンスター達がそこから無限に増殖している様だ。
「 あの黒い水はどうにか消すことができないのか? 」
「 解析班曰く、あの黒い水の塊達は呪い属性のようです。
もし飛び散ってこちらに飛んで来てしまえば、何が起こるか……。 」
俺がエイミに尋ねると、エイミはそう答えて首を横に振る。
” 呪い ” に感染でもしてしまえばあっという間に全滅する恐れがあるため、やはり俺達はここで踏ん張る以外できないらしい。
歯がゆい想いにギリッと奥歯を噛み締めたが、フッとある事を思いつき、顔から血の気が引いていった。
「 ……まてよ、もしかしてそれではグリモアの周辺にある街や村は大丈夫なのか?
守備隊も満足に在中してない所もあったはず! 」
ゾッとしながら叫んだが、ヘンドリク様がチッチッチッ~と指を振って余裕そうな表情を見せる。
「 ” 神様の眷属達に守らせるから問題ない。 ” とカルパス殿から連絡があったから大丈夫じゃろう。 」
「 ??神様の眷属……? 」
「 よく分かりませんが、多分カルパスさんなら安心して任せて大丈夫です。 」
サッパリ意味不明な表現の言葉に訝しげな目でヘンドリク様を見てしまったが、続けてエイミが自信満々でそう言うので、” カルパス ” という名の男について思い出した。
確かエイミから ” 諜報ギルド ” には伝説とも言えるくらい凄腕の諜報ギルド員がいた────という話を聞いたことがある。
確かその人物の名がそれだった様な……?
しかし、そんな人物までこの戦いに参加しているなど、またしても驚かされてしまった。
更に────……
「 おいっ!見ろよ!!すげぇ沢山の飛行型魔道具がこっちに! 」
「 !!特殊輸送便に【 スターホース隊 】じゃねぇか?!なんでこんな所に……! 」
「 【 護衛騎士団 】!?それに家紋持ちの私兵団達まで??! 」
続々と到着する援助物資に、それぞれの所属を告げて戦いに参加してくれる頼もしい援軍達にこれまた驚かされる事になる。
「 い、一体どれ程の人間達がこの戦いに参加しているんだ……? 」
呆然と呟いた俺の横から、パウロ達がバッ!と飛び出す。
その顔には揃いも揃って笑顔が浮かんでいて、どうやらワクワクした気持ちを抑えられずに、飛び出していったらしい。
俺もそれに釣られて笑顔になって飛び出す。
何が何だか、一般平民の俺には分からないが、とにかくこんな凄い事になっているなら、自分もそれに便乗して大騒ぎしてやる。
そうしないと勿体無い!
ワクワクする気持ちで、負けじと次々とモンスターを倒していった。
リーフがあの呪いの化け物を倒すまで持ちこたえる。
俺達は全力で ” 仕方ない ” を目指すぞ!
テンションが上がった仲間達と、駆けつけてくれた援軍のおかげで、前線の戦況は見事に安定した。
それを確認した俺は、一旦全体の状況を確認するため後ろに下がる。
「 よし、戦況は完全に安定したな。
このまま、交代制で休憩を挟みながら耐えるぞ。 」
「 えぇ、先ほど前衛班にそれを伝えました。 」
モンスター達の数はあの化け物が倒されない限りは無限。
それに対し、人は有限であるため、上手くペース配分をしなければ死人が出てしまう。
それを考えながら、怪我を直して教会から戻った仲間たちが持って帰ってきた小麦ボールを口に放り込んだ、その瞬間────。
ドドドドド────ンッ!!!!!
地を揺らす程の大きな爆発がモンスター達の後方で起こり、爆風が俺達を襲った。
パチパチと顔に当たる小石達を片手で顔を覆いながら防ぎ、爆発がした方向を睨みつける。
「 何だ……? 」
砂埃によって視界が悪く、視覚で情報を得ることはできなかったが……。
────────ゾワッ!!!!
突然現れた何かの魔力気配に全身に悪寒が広がった。
信じられない程強大で、ドロリとした粘着性のある魔力気配……。
こんなの今まで感じた事がない!!
慌ててヘンドリク様の方へ視線を向ければ、ヘンドリク様は余裕がない様子で前方を睨みつけている。
その存在に気付いた仲間たちも全員緊張しながら前方を睨みつけていたのだが、突然風に乗って耐え難い腐敗臭が漂い、俺達は揃って顔を顰めた。
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