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第三十七章

1179 リゼルの選択

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( リゼル )

俺はセイ父さんと違い好戦的な性格をしていて、そのせいか資質の開花は早く、更に負けず嫌いな俺はひたすら努力、努力、努力!!の日々を過ごす。


そうしてそんな日々は、俺に自分の道を決める選択肢と力を与え、道を進む事に自信までくれた。

すると自分という存在の形がハッキリしていく様な気がして、いつしか正体不明のイライラは消え、ヨセフや兄に対するコンプレックスもいつの間にか消えている事に気づく。


俺は俺。


俺は俺なりのやり方で、死という《 点 》までの《 線 》を目一杯楽しもう。

それが俺に初めて道を示してくれた、セイ父さんへの恩返しだ。




俺は槍で肩をポンポンと軽く叩いた後、クルッと回して、ご立腹な様子のピエロ野郎に向かって静かに槍を構えた。


自分にとっての ” 邪魔 ” を全て消そうとするエドワードのクソ野郎と、それに協力するクソ貴族共。

そいつらの思い通りのシナリオなんざ描きたくねぇ。


だからこいつはここで仕留める。


そうしないと、俺は《 線 》が楽しめないから。



「 わりぃな。俺が人生を目一杯楽しむにはお前は邪魔だ。

全力で迎え撃つ。

覚悟しろよ。 」



やりを持つ手に力を入れて、俺はスキルを発動した。




<聖闘人の資質>(シークレット固有スキル)

< 聖王の破刃 >

聖属性魔力を自身の武器に付与する事ができる武器の強化系スキル

更に自身の努力、根性、好戦、闘争心の値を攻撃値と属性値に上乗せする事ができる

死霊系などの無体型モンスターには全て有利属性を取れて、全ての攻撃がクリティカルになる。

また、感情ゲージ値の最大値が高い程、クリティカルダメージ率が極UPし、ノーマル攻撃でも非常に強力な一撃となる

(発現条件)

スキル< 聖人の刃 >を持つこと 

一定以上の努力した経験値、それに伴う変化と精神的強度、精神攻撃に対する耐性値、現状突破経験を持つこと




<聖闘人の資質>(ユニーク固有スキル)

< 闘志者のフィールド >

一定以上の戦闘力、闘志を持つものに限り、全ステータスをUPさせ、闘志の強さにより更にステータスUPする

またその場にいる敵の全ステータスをDOWNさせ、更に聖属性、光属性魔力の耐性値を大幅にDOWNさせる

(発現条件) 

一定以上の攻撃力、聖属性魔力値、闘争心、闘志、決断力、カリスマを持つこと

一定回数以上、一定上の絆値を持つ仲間との戦いを経験し、それに勝利すること

一定以下の精神汚染度である事



バチバチと先程より強い光に包まれた槍を構え、俺は不敵に笑う。


俺は戦う事が大好きだ。

相手にぶつかって、勝って負けて……その時に生まれた感情は、俺を更に上へ上へと押し上げる原動力になってくれる。


そして一番俺にその原動力をくれるのは、 ” 悪 ” と呼ばれる者たちだ。


俺にとって ” 悪 ” は、俺を上に上げてくれる最高の踏み台で、好きに扱っても何の罪悪感も感じない最高のおもちゃなのだ。


だから、俺は自分の人生を楽しむために、今日も ” 悪 ” を断罪する。


グッと足に力を入れると、俺はピエロ野郎に向かって走る。

近づいてくる俺にピエロ野郎は雷の魔法を放ち、空からはいくつも雷が落ちてくるが────俺はそれを全て避けて間合いに入ると、そのまま槍のラッシュを繰り出した。

奴は4本の腕に握られている剣で応戦してきたが、大きく横に振った剣の一本を俺は姿勢を低くして避けると、そのままヤツの足を槍で薙ぎ払う。


『 ────ギッ!!ギギギギッ!!!!?? 』


グラッ!!とバランスを崩したピエロ野郎を睨みつけながら、ニヤリと笑ってヤツの胴体目掛けて槍を突き刺した!



<聖闘人の資質>(ユニーク固有スキル)

< 断罪の聖槍 >

聖属性魔力を纏った槍で相手を貫く、一点集中型超火力攻撃スキル

自身の力、体力、魔力、スピードをその威力に上乗せし、更に努力、根性、闘争心によりその威力は極UPする

(発現条件)

一定以上のステータス値を持ち、努力、根性、闘争心、そして精神耐性値と ” 悪 ” に対する罪悪の感情値が一定以下である事

一定回数以上 ” 悪 ” に対し、断罪をすること

ただし ” 悪 ” に対する価値観は本人の持つ独自の価値観によるモノ



俺のスキルが直撃したヤツの腹の大部分は派手に吹き飛び、そこには大きな穴が空く。

そしてその衝撃で、後方へと飛ばされたヤツの体は宙を舞い、地面に叩きつけられた後はゴロゴロと転がっていった。


団員達は歓声を上げたが、依然兄の表情だけは硬いまま。

俺もこの程度でSランクモンスターが倒せるとは思えず、直ぐに兄の隣に飛び、再度槍を構える。


「 ちったぁ~ダメージ、通ったと思うか? 」


「 そうだといいけど……。何と言っても未知の実力を持つSランクだ。

とんでもない隠しダネを持っているはず。

油断しないでね。 」


兄の返答に、ヘイヘイと軽く返事を返した、その時────ヤツの横たわっていた体が突如ドロリ……と溶けて消えてしまった。

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