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第三十七章
1177 人生を楽しもう
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( リゼル )
「 なるほどね~。確かに ” 結果が分かっているのに努力する。”
その事に虚しさを感じる事はあるね。 」
” 自分より大人のセイ父さんを負かしてやったぞ! ”
肯定する姿勢を見せるセイ父さんに……今想えば恥ずかしさしかない優越感を抱き、俺はフフンっ!と胸を張る。
そして得意げになっていると、そんな事はお見通しなセイ父さんは続けて言った。
「 そうだなぁ……あくまで私の考えになってしまうけど、私にとっては死ぬ事も含めて、全ての ” 結果 ” は《 点 》なんだ。
そして《 点 》である ” 結果 ” に向かっていく過程が《 線 》。
つまり人生をそれに例えると、世に生まれた瞬間と死を迎える時が《 点 》
《 点 》と《 点 》を繋ぐ《 線 》がその人の人生という事になる。
そこまで分かるかな? 」
「 ?……う、うん。なんとなく……。 」
スイスイと手のジェスチャー付きで説明されて、何となく理解した俺が頷くと、セイ父さんは、そのまま右手と左手の間を目一杯横に伸ばす。
「 でね、それを図にすると、《 線 》が主体で、《 点 》はほんの一部だ。
私としては《 点 》を気にしすぎて大部分の《 線 》を楽しめないと勿体ないと思うんだよ。
生まれが~とか、どうせ死ぬんだから~とか、そう言わずに《 線 》を目一杯楽しむために、目一杯努力して目一杯沢山の事を経験して、良いも悪いも味わっておいた方がお得な感じがするんだ。
どうかな? 」
確かにそうかもしれない……。
そう思い、うっ……!と言葉に詰まってしまったが、それを認めたらセイ父さんに負けると感じた俺はキッ!!とセイ父さんを睨みつけた。
「 だ、だったら努力はいらないじゃん!
楽して楽しい事だけ《 線 》の中でしてた方が得って事だろ?
辛い努力をしている間が一番無駄な時間って事かよ。 」
「 ふ~む……確かに人生は楽しい方がいいかもね。
でもきっと毎日楽しいと楽しいって思えなくなっちゃうと思うよ。
心ってどんどん強欲になっちゃうからさ。 」
「 ────フンッ!俺みたいに外見も才能もそこそこのヤツは、目一杯人生楽しむ事はできねぇって言いたいんだろ!?
そうだよな~外見良くて顔が良くて頭がいいヤツは、毎日楽しいだけの得した人生送れるもんな!!
何が平等だよ、馬鹿らしい。
何の悩みも不満もない楽し~い人生送っているから、兄さんって何も言わないんだ。
何で兄さんばっかり……。
本当に兄さんは嫌なヤツだ!! 」
人が羨むモノを全て持ち、人生ハッピーに過ごす兄を思い出すと、ムカムカと怒りが再燃し始めた。
昔から兄さんは言われなくても何でもできたし、失敗したのを見たことがない。
ただ黙って淡々とやるべきことを要領よく終わらせ、人との不和もない兄は同世代の男にも女にも、年上にも年下にも尊敬されていて、ヨセフやセイ父さんに怒られた姿も見たことがなかった。
何かあれば泣いて怒鳴って感情を爆発させる俺とは違い、ただ静かに物事の解決を目指し、それを達成してしまう兄さんにどうしようもないコンプレックスが育っていく。
それって兄が恵まれているいい人生を送っているから、何も不満を漏らしたりとか怒りを現したりしないのだ。
そう確信しブチブチ文句を言ったが、セイ父さんは何とも困った顔を見せた。
「 ……その辺は何とも言えないなぁ。
モールはモールなりに悩みや苦しみがあって、でもそれをリゼルと違って表に出せないんだ。
モールは辛い時は一人で閉じこもりたい子だから……。
だから何も言わずにフラッとどこかへ行って帰ってこない時もあるだろう?
孤独でしか自分の心を癒せないのも個性だから受け入れるけど……親目線からみたらとても心配だ。
けど、ソッとしておくしかないからなぁ……。 」
う~ん……と考え込んでしまったセイ父さんを見て、俺はカッ!怒りの沸点が頂点に達してしまった。
” 父さんが兄さんを庇った! ”
” やっぱりセイ父さんも兄さんの方が大事なんだっ!! ”
兄さんを一緒に否定してくれないセイ父さんに、なんだか裏切られた様な気持ちになって、グルグルと怒りの感情が頭の中をぐるぐると回る。
こんなにも毎日八つ当たりの様な事をしているのに、セイ父さんはどこか100%俺の意見に賛同してくれると思っていた。
それなのに、兄さんが間違っている!と言ってくれない事にとても傷つき、俺は感情のままセイ父さんに怒鳴り散らす。
「 セイ父さんに兄さんの気持ちなんて分かるわけねぇじゃん!!
だってセイ父さんって、全然かっこよくない近所のオジさんみたいだし、凄い資質持ってるのに、全然戦えない弱虫だしさ!
人生を楽しめる様な様子ゼロのおっさんが偉そうに語るなよ!
セイ父さんにできるのは、俺の愚痴を聞くくらいだもんな~?
あ~良かった!!俺より格下の身内がいて!!
こんなカッコ悪い事、下のヤツにしか言えねぇもんな~! 」
「 なるほどね~。確かに ” 結果が分かっているのに努力する。”
その事に虚しさを感じる事はあるね。 」
” 自分より大人のセイ父さんを負かしてやったぞ! ”
肯定する姿勢を見せるセイ父さんに……今想えば恥ずかしさしかない優越感を抱き、俺はフフンっ!と胸を張る。
そして得意げになっていると、そんな事はお見通しなセイ父さんは続けて言った。
「 そうだなぁ……あくまで私の考えになってしまうけど、私にとっては死ぬ事も含めて、全ての ” 結果 ” は《 点 》なんだ。
そして《 点 》である ” 結果 ” に向かっていく過程が《 線 》。
つまり人生をそれに例えると、世に生まれた瞬間と死を迎える時が《 点 》
《 点 》と《 点 》を繋ぐ《 線 》がその人の人生という事になる。
そこまで分かるかな? 」
「 ?……う、うん。なんとなく……。 」
スイスイと手のジェスチャー付きで説明されて、何となく理解した俺が頷くと、セイ父さんは、そのまま右手と左手の間を目一杯横に伸ばす。
「 でね、それを図にすると、《 線 》が主体で、《 点 》はほんの一部だ。
私としては《 点 》を気にしすぎて大部分の《 線 》を楽しめないと勿体ないと思うんだよ。
生まれが~とか、どうせ死ぬんだから~とか、そう言わずに《 線 》を目一杯楽しむために、目一杯努力して目一杯沢山の事を経験して、良いも悪いも味わっておいた方がお得な感じがするんだ。
どうかな? 」
確かにそうかもしれない……。
そう思い、うっ……!と言葉に詰まってしまったが、それを認めたらセイ父さんに負けると感じた俺はキッ!!とセイ父さんを睨みつけた。
「 だ、だったら努力はいらないじゃん!
楽して楽しい事だけ《 線 》の中でしてた方が得って事だろ?
辛い努力をしている間が一番無駄な時間って事かよ。 」
「 ふ~む……確かに人生は楽しい方がいいかもね。
でもきっと毎日楽しいと楽しいって思えなくなっちゃうと思うよ。
心ってどんどん強欲になっちゃうからさ。 」
「 ────フンッ!俺みたいに外見も才能もそこそこのヤツは、目一杯人生楽しむ事はできねぇって言いたいんだろ!?
そうだよな~外見良くて顔が良くて頭がいいヤツは、毎日楽しいだけの得した人生送れるもんな!!
何が平等だよ、馬鹿らしい。
何の悩みも不満もない楽し~い人生送っているから、兄さんって何も言わないんだ。
何で兄さんばっかり……。
本当に兄さんは嫌なヤツだ!! 」
人が羨むモノを全て持ち、人生ハッピーに過ごす兄を思い出すと、ムカムカと怒りが再燃し始めた。
昔から兄さんは言われなくても何でもできたし、失敗したのを見たことがない。
ただ黙って淡々とやるべきことを要領よく終わらせ、人との不和もない兄は同世代の男にも女にも、年上にも年下にも尊敬されていて、ヨセフやセイ父さんに怒られた姿も見たことがなかった。
何かあれば泣いて怒鳴って感情を爆発させる俺とは違い、ただ静かに物事の解決を目指し、それを達成してしまう兄さんにどうしようもないコンプレックスが育っていく。
それって兄が恵まれているいい人生を送っているから、何も不満を漏らしたりとか怒りを現したりしないのだ。
そう確信しブチブチ文句を言ったが、セイ父さんは何とも困った顔を見せた。
「 ……その辺は何とも言えないなぁ。
モールはモールなりに悩みや苦しみがあって、でもそれをリゼルと違って表に出せないんだ。
モールは辛い時は一人で閉じこもりたい子だから……。
だから何も言わずにフラッとどこかへ行って帰ってこない時もあるだろう?
孤独でしか自分の心を癒せないのも個性だから受け入れるけど……親目線からみたらとても心配だ。
けど、ソッとしておくしかないからなぁ……。 」
う~ん……と考え込んでしまったセイ父さんを見て、俺はカッ!怒りの沸点が頂点に達してしまった。
” 父さんが兄さんを庇った! ”
” やっぱりセイ父さんも兄さんの方が大事なんだっ!! ”
兄さんを一緒に否定してくれないセイ父さんに、なんだか裏切られた様な気持ちになって、グルグルと怒りの感情が頭の中をぐるぐると回る。
こんなにも毎日八つ当たりの様な事をしているのに、セイ父さんはどこか100%俺の意見に賛同してくれると思っていた。
それなのに、兄さんが間違っている!と言ってくれない事にとても傷つき、俺は感情のままセイ父さんに怒鳴り散らす。
「 セイ父さんに兄さんの気持ちなんて分かるわけねぇじゃん!!
だってセイ父さんって、全然かっこよくない近所のオジさんみたいだし、凄い資質持ってるのに、全然戦えない弱虫だしさ!
人生を楽しめる様な様子ゼロのおっさんが偉そうに語るなよ!
セイ父さんにできるのは、俺の愚痴を聞くくらいだもんな~?
あ~良かった!!俺より格下の身内がいて!!
こんなカッコ悪い事、下のヤツにしか言えねぇもんな~! 」
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