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第三十七章
1174 Sランク登場
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( リゼル )
「 ドロティア帝国だったら、Sランク襲撃のタイミングで一気に国に攻め込んでくるだろうから、多分違うと思うんだ。
だからこそ訳が分からないんだよね~。
だってSランクって討伐できずに基本は追い払うだけだろう?
だから素材は手に入らないし、本当にただ兵を失うだけだから。
アーサー陣営の主要戦力を削るにしては犠牲がランダム過ぎるし……現にエドワード派閥の者たちも沢山犠牲になったでしょ?
結局、調査も本格的に行えなかったから現在もその目的は不明のまま。
でも俺は、どうもそれが嵐の前の静けさのような気がしてさ……何だか嫌な予感がするんだ。 」
「 おい……止めろよ。
前から兄さんがそう言うと、大抵あんまり良くない事が起こる──── 」
────ドドド────ンッ!!!!!
俺の言葉を遮る様に、突然街中で響き渡る大きな爆発音。
それと同時に……頭の中には強大な魔力反応達と警告音の様な者が鳴り響いた。
「 ────こ……この反応は……っ!!! 」
ハッ!!と慌てて兄の方を見ると、兄は今まで見たことがないくらい青ざめた顔色をしていて、大量の汗を掻く。
「 ……本当に ” 悪 ” は常識に当てはまらないね。
────最悪のシナリオだ。 」
覚えがある団員達も俺達同様に、青ざめてゴクリと喉を鳴らした。
この気配はSランクモンスター!!
しかも複数体同時だと……!!??
俺は直ぐにその正確な位置を捉えようと、魔力感知の精度を上げる。
するとここから近い場所に一体、そして正門の方に近い場所にも一体。
そいつらは人を食うため、確実にこの教会を襲ってくるはずだ。
ゾッとしたその時、兄が怒り滲ませた様子で俺達に指示を出す。
「 Sランクモンスターが多数出現した!
恐らくはモンスターボックスか、それに類似したスキルによるものと推測される。
まず俺達はこちらへまっすぐ向かってくる一匹を確実に倒す!
……クソっ!他の場所が、何とかもてばいいが……。 」
「「「「 ────────はっ!!! 」」」」
いくらソフィア様のスキルで弱体化しているとはいえ、相手はSランク。
現在この場にいる聖兵士団員だけで一匹でも追い払うのは難しいというのに、それが複数体など正直絶望的だ。
それを知っている団員たちの顔色は全員青ざめているが、流石は数々の戦場を経験してきた戦闘のプロ。
全員覚悟を決めた者の目をして正面を睨みつける。
「 クラーク、アゼリア……なんとか持たせてくれよ。
援軍も到着したみたいだし、何とか時間稼ぎを……頼むぞ。
全くよぉ……本当に何でもありだな。
そんなに欲しいもんかね、権力ってやつが。 」
「 ” 悪 ” にとってはたまらなく魅力的なモノなんだろうね。
失った心を埋めるためには必要なモノらしい。 」
兄の軽口にフッ……と笑い、精一杯冷静なフリを見せた。
「 ハハッ。俺なんて安いエールでも飲みながら、ナイスバディなねぇちゃんに微笑んでもらうだけで十分だけどな。
お可哀そうな事で。 」
「 そうそう。結局心が満たされるか否かは、受け取る側の問題だからね。
俺はパン作りをしている時が一番満たされるかな。
生き残れたら、嫌というほどパン生地をこねてやる。 」
エイエイっ!と生地をこねる様にレイピアをくるくる回す兄を見て、団員たちも次々と声を上げる。
「 じゃあ、俺は釣りします。 」
「 私は欲しかったイヤリングを一括購入します。 」
「 山登りする。 」
ワイワイとこんな時だというのに、団員達はそれぞれの願望を口にする。
そのお陰で多少緊張が和らいだが、徐々に近づいてくるゾッとする様な魔力と、見えてきた姿に再びその場は緊張に包まれた。
体長は約3~4m程。
漆黒の鎧を身に纏い、ボロボロの黒いマントをつけている人間?の様な何か。
遠目から見れば人に見えなくもないが、人ではありえぬ真っ黒でミイラの様な手が6本生えており、それぞれ剣や魔導書、魔法の杖などを装備している事から、人ならざるものである事が分かる。
顔貌がはっきりしてくると、顔の上半分にはまるでピエロの仮面の様なモノを被っているのが見え、下半分からは白い頭蓋骨の顎が見えている事から、恐らくはスケルトン型。
< ピエロ・グリム・リーパー >────死霊系Sランクモンスターだ!
【 Sランクモンスター 】
< ピエロ・グリム・リーパー >
体長3~4m程の???型、死霊系 Sランクモンスター
身体に生えている6本の黒い腕にはそれぞれ別系統の武器が装備されており、物理、魔法の攻撃全てを扱い攻撃してくる
魔法は闇属性魔法、精神系魔法、幻影魔法など、攻撃魔法からデバフ魔法まで自在に操り、かつ防御面では、高い物理耐性と光属性系統の魔法以外に非常に強い耐性があるため、ダメージを与える事が難しい
迂闊に近づけば ” 生命ドレイン ” 効果により、あっという間に命を吸い取られてしまうため、最大限の注意が必要
「 ドロティア帝国だったら、Sランク襲撃のタイミングで一気に国に攻め込んでくるだろうから、多分違うと思うんだ。
だからこそ訳が分からないんだよね~。
だってSランクって討伐できずに基本は追い払うだけだろう?
だから素材は手に入らないし、本当にただ兵を失うだけだから。
アーサー陣営の主要戦力を削るにしては犠牲がランダム過ぎるし……現にエドワード派閥の者たちも沢山犠牲になったでしょ?
結局、調査も本格的に行えなかったから現在もその目的は不明のまま。
でも俺は、どうもそれが嵐の前の静けさのような気がしてさ……何だか嫌な予感がするんだ。 」
「 おい……止めろよ。
前から兄さんがそう言うと、大抵あんまり良くない事が起こる──── 」
────ドドド────ンッ!!!!!
俺の言葉を遮る様に、突然街中で響き渡る大きな爆発音。
それと同時に……頭の中には強大な魔力反応達と警告音の様な者が鳴り響いた。
「 ────こ……この反応は……っ!!! 」
ハッ!!と慌てて兄の方を見ると、兄は今まで見たことがないくらい青ざめた顔色をしていて、大量の汗を掻く。
「 ……本当に ” 悪 ” は常識に当てはまらないね。
────最悪のシナリオだ。 」
覚えがある団員達も俺達同様に、青ざめてゴクリと喉を鳴らした。
この気配はSランクモンスター!!
しかも複数体同時だと……!!??
俺は直ぐにその正確な位置を捉えようと、魔力感知の精度を上げる。
するとここから近い場所に一体、そして正門の方に近い場所にも一体。
そいつらは人を食うため、確実にこの教会を襲ってくるはずだ。
ゾッとしたその時、兄が怒り滲ませた様子で俺達に指示を出す。
「 Sランクモンスターが多数出現した!
恐らくはモンスターボックスか、それに類似したスキルによるものと推測される。
まず俺達はこちらへまっすぐ向かってくる一匹を確実に倒す!
……クソっ!他の場所が、何とかもてばいいが……。 」
「「「「 ────────はっ!!! 」」」」
いくらソフィア様のスキルで弱体化しているとはいえ、相手はSランク。
現在この場にいる聖兵士団員だけで一匹でも追い払うのは難しいというのに、それが複数体など正直絶望的だ。
それを知っている団員たちの顔色は全員青ざめているが、流石は数々の戦場を経験してきた戦闘のプロ。
全員覚悟を決めた者の目をして正面を睨みつける。
「 クラーク、アゼリア……なんとか持たせてくれよ。
援軍も到着したみたいだし、何とか時間稼ぎを……頼むぞ。
全くよぉ……本当に何でもありだな。
そんなに欲しいもんかね、権力ってやつが。 」
「 ” 悪 ” にとってはたまらなく魅力的なモノなんだろうね。
失った心を埋めるためには必要なモノらしい。 」
兄の軽口にフッ……と笑い、精一杯冷静なフリを見せた。
「 ハハッ。俺なんて安いエールでも飲みながら、ナイスバディなねぇちゃんに微笑んでもらうだけで十分だけどな。
お可哀そうな事で。 」
「 そうそう。結局心が満たされるか否かは、受け取る側の問題だからね。
俺はパン作りをしている時が一番満たされるかな。
生き残れたら、嫌というほどパン生地をこねてやる。 」
エイエイっ!と生地をこねる様にレイピアをくるくる回す兄を見て、団員たちも次々と声を上げる。
「 じゃあ、俺は釣りします。 」
「 私は欲しかったイヤリングを一括購入します。 」
「 山登りする。 」
ワイワイとこんな時だというのに、団員達はそれぞれの願望を口にする。
そのお陰で多少緊張が和らいだが、徐々に近づいてくるゾッとする様な魔力と、見えてきた姿に再びその場は緊張に包まれた。
体長は約3~4m程。
漆黒の鎧を身に纏い、ボロボロの黒いマントをつけている人間?の様な何か。
遠目から見れば人に見えなくもないが、人ではありえぬ真っ黒でミイラの様な手が6本生えており、それぞれ剣や魔導書、魔法の杖などを装備している事から、人ならざるものである事が分かる。
顔貌がはっきりしてくると、顔の上半分にはまるでピエロの仮面の様なモノを被っているのが見え、下半分からは白い頭蓋骨の顎が見えている事から、恐らくはスケルトン型。
< ピエロ・グリム・リーパー >────死霊系Sランクモンスターだ!
【 Sランクモンスター 】
< ピエロ・グリム・リーパー >
体長3~4m程の???型、死霊系 Sランクモンスター
身体に生えている6本の黒い腕にはそれぞれ別系統の武器が装備されており、物理、魔法の攻撃全てを扱い攻撃してくる
魔法は闇属性魔法、精神系魔法、幻影魔法など、攻撃魔法からデバフ魔法まで自在に操り、かつ防御面では、高い物理耐性と光属性系統の魔法以外に非常に強い耐性があるため、ダメージを与える事が難しい
迂闊に近づけば ” 生命ドレイン ” 効果により、あっという間に命を吸い取られてしまうため、最大限の注意が必要
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