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第三十六章
1143 予想外の展開
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( マリナ )
「 くくっ。空いた時間にコソコソと何を作っているのかと思えば、あの ” バイク ” とかいう魔道具だったんだな。
凄い魔道具じゃないか。
これは事が終わったら色々聞かせてもらわねば。 」
「 マリオンは我がスタンティン家始まって以来の天才ですから。
この程度の事で倒されたりしないわ。 」
オルガノとアリシアがキッパリと言い切り、不敵に笑った。
スタンティン家の御子息マリオンは、初めに目をつけた高位貴族の子供だ。
元々スタンティン家の魔道具の技術は、我がエドワード派閥としては喉から手が出るほど欲しい存在で、そのために自分たちの拠点となる家はスタンティン家の領内にあるレガーノを最終的に選んだ。
そして長男を最初はターゲットにしたのだが、性格的に貴族として相応しくない部分が見えたので、断念し次に掛ける事にしたのだが、アレが生まれてきてしまい、その計画はパァ。
そのせいで、スタンティン家を上手く取り込めないまま今に至ってしまったのだ。
その事を思い出し、ギリッ……と唇を噛みしめると、スクリーンの中でマリオンが圧倒的な強さでモンスター達を倒していく。
おおお────!!!!
また歓声を上げて喜ぶ周りの者達を見て、怒りで視界が染まっていった。
クソっ!!クソっ!!!スタンティン家めぇぇぇぇ~っ!!!
怒りで扇子を持つ手に力が入り、ギシギシと音を立てる。
どこまで……どこまで私の邪魔をすれば気が済むのかっ!!
心の中で叫びながら、黒く染まった正面のスクリーンを睨みつけていると、他のスクリーンからも沢山のモンスター達の姿が確認できたため、一旦深呼吸して落ち着いた。
スタンティン家の子息が戦う場所以外にも、沢山のモンスター達が出現している。
まだ慌てる様な事態ではない。
私は直ぐにニコラ王に向かって叫んだ。
「 ニコラ王!!このままではいくら街に勇ましいスタンティン家の御子息が駆けつけたとしても、数が多すぎます!
街の人達が避難している教会に危険が迫っております! 」
「 ……!なんと!!マリナの言う通りです!!
このまま戦闘を開始すれば、多くの犠牲者が出るでしょう!! 」
私の言葉にカールは賛同し、教会付近に多数出現したモンスター達を映し出しているスクリーンを心配気に見つめる。
そしてエドワード様が嘆かわしいとばかりに頭を押さえて首を振った。
「 ここで無駄に犠牲者が出れば、大問題です。
父上……ご決断を。 」
高ランクのモンスター程、人を積極的に食らうため、直ぐに人を見つける。
そしてその予想通り、スクリーンに映るモンスター達は、ピクッ!と何かを発見した様子で、同じ方向へ向かって歩いていく。
人を見つけたのか!
思い通りの動きをしてくれたモンスターに対し、ニヤァァ~と口元を大きく歪めて笑った。
これで犠牲者が出れば、それを最大限に使い、ニコラ王の動きを封じることができる!
更にそれからは< 聖令浄化 >を使う時間が伸びれば伸びる程、無駄に国民を死なせた無能な王として断罪もできるはず!
考える時間など与えない。
一気にけりをつける。
私達が一つのスクリーンを見つめている事で、他の者たちが次々とそのスクリーンに注目すれば、もう目と鼻の先に教会が迫っている事に気づき、サァァァ~と青ざめていった。
そして教会の入口の正門が見えた所で、短い悲鳴が上がる中、ニコラ王は目を下に伏せる。
「 それでも……私はっ……。 」
ニコラ王がボソッと言った瞬間────……。
────────カッ!!!!
白い光がスクリーンから発し、あまりの眩しさに私は目を瞑った。
「 い……一体何……? 」
慌てて目を見開ければ、スクリーンの中、教会の正門の前に誰かが立っているのが見える。
あれは……まさかっ!!?
「 クラークっ!!!あいつっ!!あんな所にっ!!! 」
レイモンド家のロイドが、憤慨しながらその場で地団駄を踏む。
レイモンド家の正式な跡取り。
< クラーク・ベルジュ・レイモンド >
彼は一度不義の子に負けた出来損ないだと噂はされていたが、実力は最も優れていたとされる初代を思わせる様な素晴らしい魔法の才を持っていた。
更に貴族としてのマナーや教養、心得も完璧であったはずのクラークは、そんな自分を陥れた王女ソフィアと不義の子を憎んでいるはずなので、上手くエドワード派閥が使ってやろうと目論んでいたのだ。
可愛い可愛い人形としてこれから作り上げていこうと、そう思っていたのに……?
「 くくっ。空いた時間にコソコソと何を作っているのかと思えば、あの ” バイク ” とかいう魔道具だったんだな。
凄い魔道具じゃないか。
これは事が終わったら色々聞かせてもらわねば。 」
「 マリオンは我がスタンティン家始まって以来の天才ですから。
この程度の事で倒されたりしないわ。 」
オルガノとアリシアがキッパリと言い切り、不敵に笑った。
スタンティン家の御子息マリオンは、初めに目をつけた高位貴族の子供だ。
元々スタンティン家の魔道具の技術は、我がエドワード派閥としては喉から手が出るほど欲しい存在で、そのために自分たちの拠点となる家はスタンティン家の領内にあるレガーノを最終的に選んだ。
そして長男を最初はターゲットにしたのだが、性格的に貴族として相応しくない部分が見えたので、断念し次に掛ける事にしたのだが、アレが生まれてきてしまい、その計画はパァ。
そのせいで、スタンティン家を上手く取り込めないまま今に至ってしまったのだ。
その事を思い出し、ギリッ……と唇を噛みしめると、スクリーンの中でマリオンが圧倒的な強さでモンスター達を倒していく。
おおお────!!!!
また歓声を上げて喜ぶ周りの者達を見て、怒りで視界が染まっていった。
クソっ!!クソっ!!!スタンティン家めぇぇぇぇ~っ!!!
怒りで扇子を持つ手に力が入り、ギシギシと音を立てる。
どこまで……どこまで私の邪魔をすれば気が済むのかっ!!
心の中で叫びながら、黒く染まった正面のスクリーンを睨みつけていると、他のスクリーンからも沢山のモンスター達の姿が確認できたため、一旦深呼吸して落ち着いた。
スタンティン家の子息が戦う場所以外にも、沢山のモンスター達が出現している。
まだ慌てる様な事態ではない。
私は直ぐにニコラ王に向かって叫んだ。
「 ニコラ王!!このままではいくら街に勇ましいスタンティン家の御子息が駆けつけたとしても、数が多すぎます!
街の人達が避難している教会に危険が迫っております! 」
「 ……!なんと!!マリナの言う通りです!!
このまま戦闘を開始すれば、多くの犠牲者が出るでしょう!! 」
私の言葉にカールは賛同し、教会付近に多数出現したモンスター達を映し出しているスクリーンを心配気に見つめる。
そしてエドワード様が嘆かわしいとばかりに頭を押さえて首を振った。
「 ここで無駄に犠牲者が出れば、大問題です。
父上……ご決断を。 」
高ランクのモンスター程、人を積極的に食らうため、直ぐに人を見つける。
そしてその予想通り、スクリーンに映るモンスター達は、ピクッ!と何かを発見した様子で、同じ方向へ向かって歩いていく。
人を見つけたのか!
思い通りの動きをしてくれたモンスターに対し、ニヤァァ~と口元を大きく歪めて笑った。
これで犠牲者が出れば、それを最大限に使い、ニコラ王の動きを封じることができる!
更にそれからは< 聖令浄化 >を使う時間が伸びれば伸びる程、無駄に国民を死なせた無能な王として断罪もできるはず!
考える時間など与えない。
一気にけりをつける。
私達が一つのスクリーンを見つめている事で、他の者たちが次々とそのスクリーンに注目すれば、もう目と鼻の先に教会が迫っている事に気づき、サァァァ~と青ざめていった。
そして教会の入口の正門が見えた所で、短い悲鳴が上がる中、ニコラ王は目を下に伏せる。
「 それでも……私はっ……。 」
ニコラ王がボソッと言った瞬間────……。
────────カッ!!!!
白い光がスクリーンから発し、あまりの眩しさに私は目を瞑った。
「 い……一体何……? 」
慌てて目を見開ければ、スクリーンの中、教会の正門の前に誰かが立っているのが見える。
あれは……まさかっ!!?
「 クラークっ!!!あいつっ!!あんな所にっ!!! 」
レイモンド家のロイドが、憤慨しながらその場で地団駄を踏む。
レイモンド家の正式な跡取り。
< クラーク・ベルジュ・レイモンド >
彼は一度不義の子に負けた出来損ないだと噂はされていたが、実力は最も優れていたとされる初代を思わせる様な素晴らしい魔法の才を持っていた。
更に貴族としてのマナーや教養、心得も完璧であったはずのクラークは、そんな自分を陥れた王女ソフィアと不義の子を憎んでいるはずなので、上手くエドワード派閥が使ってやろうと目論んでいたのだ。
可愛い可愛い人形としてこれから作り上げていこうと、そう思っていたのに……?
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