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第三十五章
1121 【 空っぽの王様 】
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( マービン )
何なんだ??
何なんだよ!!あの化け物達は……!!
パニックになりながらもその化け物を凝視していると、なんとその化け物達の胴体部分には巨大な大穴が空いている事に気づく。
そのせいで次々と飲み込んでいる金貨や宝石達は、全てその穴から全て落ちていき、地面でお互いぶつかり合ってチャリンチャリンと音を立てている様だった。
そのまま恐怖でガタガタと震えていると、その中の一枚の金貨がこちら側にコロコロと転がってきて、俺の足のつま先にチョンッとぶつかって止まる。
そのため反射的にその金貨に目を向けると────大量の血がべったりとついていた。
「 う……うわあぁぁぁぁぁぁぁ────────!!!!! 」
大きな悲鳴を上げて這うように後ろへと後退したが、なぜかその化け物たちと俺の距離は変わらず、ずっと同じ位置にそいつらがいる。
はぁ……っ!はぁ……っ!!
落ち着こうと息を短く吐き出しながら、前方に見えるその肉の塊達を凝視していると、やつらの足元にある金貨や宝石達は全て血でべっとりと濡れていて、もはや元の色が何色だったのかも分からないくらい真っ赤になっていた。
それに気づくと恐怖心は益々強くなり、ドコドコと強く鼓動し始めた心臓部分を抑えようとしたのだが、そこで自分の身体の違和感に気づく。
「 ……あ……あれ……?? 」
なぜか胸元に小さなカーテンが掛かっていて、俺の胸の部分が隠れている。
さっきまではなかったのに……??
不思議に思い、そのカーテンを左右にバッ!と開けると……そこには真っ黒な穴が空いていた。
「 ぎゃ……ぎゃああああぁぁぁぁぁぁ──────っ!!!!! 」
あまりの恐怖に大声で叫ぶと、まるでそれに答える様に肉の化け物達は、上部についている口の様な穴をパクパクと動かし喋りだす。
《 あ”あ”あ”ぁぁぁ~~……あぁ”ぁ”~~も”っどぉぉぉ~も”っど欲じぃぃぃぃ~~っ!
足り”なぃぃぃぃ~~……足りぃな”いのよぉぉぉぉぉぉ────!!
もっどぉぉ……もっぉぉぉ~ど~お金ぇぇ地位ぃぃ~名誉ぉぉぉ~。
宝石ぃぃぃドレスぅぅぅぅ~~ワ”ダシをもっど幸せにじでぇぇぇぇぇ~~。 》
《 あ”あ”~~なんて楽しぃぃぃんだろ”ぉぉな~?
人が苦しむ姿ぁぁぁ~悔しがる顔ぉぉぉ~絶望ずる”時の”顔はずんばらしぃぃぃぃぃ────────!!!!
俺のじあわ”ぜのため”にぃぃぃぃ~~もっど~もっどぉぉぉ~見せろぉぉぉぉ~~。 》
ペラペラとそこから紡ぎ出される声は母と兄のモノ。
まさか……あれは母と兄……???
────────ゾォォォォォ~~~っ!!!!!
俺は両手で自分の口元を抑え、湧き上がる恐怖に耐える。
あれは本当に母と兄なのだろうか?
あんな空っぽな身体で、必死に血まみれの金貨や宝石を喰らおうとしている化け物が……?
チャリン……チャリンッ……。
目の前で、金貨を飲み込みポロポロと腹の巨大な穴から全て落ちていくその姿を見て、俺は焦って自分の胸に空いた穴に手を突っ込み、中に何かないかと必死になって探す。
「 何かないのかっ……!!
何でもいいから、俺の中には何か……!! 」
大きくかき回しながら中を探ったが……やはり中身は空っぽ。
何一つ見つける事はできなかった。
「 そ……そんな……。 」
愕然としながら、俺は探っていた手を抜き、そのままガクッ……とうなだれる。
俺は母と兄と……あの空っぽの化け物と同じ。
これではまるで、俺は【 空っぽの王様 】の様ではないか!!
【 空っぽの王様 】
これはとある国を治めていた王様の話。
その国は広大な土地に豊かな大地を持つ平和な国であったため、王様である主人公の男は、有り余る富に食べきれぬ程の贅を尽くした食事、各地から集められた極上の女達に囲まれ、望めば何でも手に入り、指の一つも動かさずとも周りの者達が何でも差し出してくれる……そんな夢の様な生活を送っていた。
しかし王様には一つだけ悩みがあった。
それは食べても食べてもお腹が減って仕方がない事だ。
目の前に置かれた贅沢な食事をどれだけ食べようとも、王の腹はグーッグーッと音を立ててなり続ける。
” 一体これはどうした鳴り止むのだろう? ”
悩みに悩んだ王は、臣下の一人に相談する事にしたのだ。
” どうすれば腹が空かなくなるのか? ”
するとその臣下はニコニコと笑いながら言った。
” お腹が空くのはまだまだ足りないからですよ。 ” ────と。
” そうだったのか! ”
臣下の言葉に納得した王は、直ぐに侵略行為を始める。
自らの欲望を叶えるため、王は次々と他国の街や、それだけでは飽き足らず自国の街へも進軍を開始し、全てを奪い尽くしていった。
そうして多くの臣下達が見守る中、王は目の前に山の様に積まれた沢山の金銀財宝を見てゴクリッと喉を鳴らす。
そして────……。
パクパク……。
ムシャムシャ……。
キラキラと輝く金銀財宝を片っ端から食べ始めた。
しかし……依然王の腹は減ったまま満たされる事はない。
何なんだ??
何なんだよ!!あの化け物達は……!!
パニックになりながらもその化け物を凝視していると、なんとその化け物達の胴体部分には巨大な大穴が空いている事に気づく。
そのせいで次々と飲み込んでいる金貨や宝石達は、全てその穴から全て落ちていき、地面でお互いぶつかり合ってチャリンチャリンと音を立てている様だった。
そのまま恐怖でガタガタと震えていると、その中の一枚の金貨がこちら側にコロコロと転がってきて、俺の足のつま先にチョンッとぶつかって止まる。
そのため反射的にその金貨に目を向けると────大量の血がべったりとついていた。
「 う……うわあぁぁぁぁぁぁぁ────────!!!!! 」
大きな悲鳴を上げて這うように後ろへと後退したが、なぜかその化け物たちと俺の距離は変わらず、ずっと同じ位置にそいつらがいる。
はぁ……っ!はぁ……っ!!
落ち着こうと息を短く吐き出しながら、前方に見えるその肉の塊達を凝視していると、やつらの足元にある金貨や宝石達は全て血でべっとりと濡れていて、もはや元の色が何色だったのかも分からないくらい真っ赤になっていた。
それに気づくと恐怖心は益々強くなり、ドコドコと強く鼓動し始めた心臓部分を抑えようとしたのだが、そこで自分の身体の違和感に気づく。
「 ……あ……あれ……?? 」
なぜか胸元に小さなカーテンが掛かっていて、俺の胸の部分が隠れている。
さっきまではなかったのに……??
不思議に思い、そのカーテンを左右にバッ!と開けると……そこには真っ黒な穴が空いていた。
「 ぎゃ……ぎゃああああぁぁぁぁぁぁ──────っ!!!!! 」
あまりの恐怖に大声で叫ぶと、まるでそれに答える様に肉の化け物達は、上部についている口の様な穴をパクパクと動かし喋りだす。
《 あ”あ”あ”ぁぁぁ~~……あぁ”ぁ”~~も”っどぉぉぉ~も”っど欲じぃぃぃぃ~~っ!
足り”なぃぃぃぃ~~……足りぃな”いのよぉぉぉぉぉぉ────!!
もっどぉぉ……もっぉぉぉ~ど~お金ぇぇ地位ぃぃ~名誉ぉぉぉ~。
宝石ぃぃぃドレスぅぅぅぅ~~ワ”ダシをもっど幸せにじでぇぇぇぇぇ~~。 》
《 あ”あ”~~なんて楽しぃぃぃんだろ”ぉぉな~?
人が苦しむ姿ぁぁぁ~悔しがる顔ぉぉぉ~絶望ずる”時の”顔はずんばらしぃぃぃぃぃ────────!!!!
俺のじあわ”ぜのため”にぃぃぃぃ~~もっど~もっどぉぉぉ~見せろぉぉぉぉ~~。 》
ペラペラとそこから紡ぎ出される声は母と兄のモノ。
まさか……あれは母と兄……???
────────ゾォォォォォ~~~っ!!!!!
俺は両手で自分の口元を抑え、湧き上がる恐怖に耐える。
あれは本当に母と兄なのだろうか?
あんな空っぽな身体で、必死に血まみれの金貨や宝石を喰らおうとしている化け物が……?
チャリン……チャリンッ……。
目の前で、金貨を飲み込みポロポロと腹の巨大な穴から全て落ちていくその姿を見て、俺は焦って自分の胸に空いた穴に手を突っ込み、中に何かないかと必死になって探す。
「 何かないのかっ……!!
何でもいいから、俺の中には何か……!! 」
大きくかき回しながら中を探ったが……やはり中身は空っぽ。
何一つ見つける事はできなかった。
「 そ……そんな……。 」
愕然としながら、俺は探っていた手を抜き、そのままガクッ……とうなだれる。
俺は母と兄と……あの空っぽの化け物と同じ。
これではまるで、俺は【 空っぽの王様 】の様ではないか!!
【 空っぽの王様 】
これはとある国を治めていた王様の話。
その国は広大な土地に豊かな大地を持つ平和な国であったため、王様である主人公の男は、有り余る富に食べきれぬ程の贅を尽くした食事、各地から集められた極上の女達に囲まれ、望めば何でも手に入り、指の一つも動かさずとも周りの者達が何でも差し出してくれる……そんな夢の様な生活を送っていた。
しかし王様には一つだけ悩みがあった。
それは食べても食べてもお腹が減って仕方がない事だ。
目の前に置かれた贅沢な食事をどれだけ食べようとも、王の腹はグーッグーッと音を立ててなり続ける。
” 一体これはどうした鳴り止むのだろう? ”
悩みに悩んだ王は、臣下の一人に相談する事にしたのだ。
” どうすれば腹が空かなくなるのか? ”
するとその臣下はニコニコと笑いながら言った。
” お腹が空くのはまだまだ足りないからですよ。 ” ────と。
” そうだったのか! ”
臣下の言葉に納得した王は、直ぐに侵略行為を始める。
自らの欲望を叶えるため、王は次々と他国の街や、それだけでは飽き足らず自国の街へも進軍を開始し、全てを奪い尽くしていった。
そうして多くの臣下達が見守る中、王は目の前に山の様に積まれた沢山の金銀財宝を見てゴクリッと喉を鳴らす。
そして────……。
パクパク……。
ムシャムシャ……。
キラキラと輝く金銀財宝を片っ端から食べ始めた。
しかし……依然王の腹は減ったまま満たされる事はない。
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