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第三十三章
1082 選んだ者達
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( アゼリア )
相変わらず理解できぬめんどくさい性格に、今がチャンスと嫌味の一つでも言ってやろうと思ったが……まぁ、既に打ちのめされている奴にトドメを差すことはないだろうと、私はゆっくりと口を開いた。
「 私は難しい事を考えるのが苦手だ。 」
クラークは私の言葉に反応してピクリと肩を震わしたが、見ないふりをしてそのまま話を続ける。
「 だから物事はプラスマイナスゼロでいい。
・・・
あの日私が選ばれて、お前は選ばれなかった。
地に落ちたお前を見て思い切り笑ってやったから、それでゼロにしてやる。
それに加えてついこの間、思いっきりぶっ飛ばしてやったしな。 」
「 ……本気で言っているのか? 」
まだ下を向いたままのクラークを見て、私は今までのクラークとの思い出を思い出す。
多分幼い頃のクラークは私と同じ。
ひたすら両親の愛情を渇望し、必死にそれを手にしようとしていた。
その結果────やり方を間違えてしまったクラークは、ソフィア様に叩き潰された後、また同じやり方で ” 幸せ ” を得ようとはしなかった。
それがクラークの強さに繋がったのなら、私はクラークを、そしてクラークは私を使い、今の場所へと辿り着いたという事。
そうして共に高みへ登っていく私達のこの関係性は────────そんなに悪いモノでもないと私は思っている。
「 お前は私が強くなるための最高の道具だった。
そのお陰で私は世界一の幸せ者になれたのだから。
お前の様な小さな羽虫如きが目の前で飛び回ろうが、私には何の影響もないからな。
これからもせいぜい無駄に羽ばたいているといい。邪魔ならまたぶっ飛ばしてやる。
後はいかにお前のうっとおしい両親共をぶっ飛ばしてやるかを考え中だ。 」
モヤモヤと浮かび上がるクズ共にイラッ!としていると、突然クラークが吹き出し、大声で笑い出した。
急になんだと問おうとすると、いつも通り「 脳筋女。 」と悪口を言ってきたので、直ぐに「 陰険男。 」とかえしてやる。
そのまま悪口の応酬をしあっていると、そろそろ< テンペスト・モンキー >が消えた事を完全に察知した他のモンスター達が近づいてきたのが見えて刀を構えたが、クラークは最後にボソッと変な事を言った。
「 世界はなんて綺麗なんだろうな。 」
「 …………? 」
私は目の前に湧いている綺麗とは程遠いモンスター達を見つめながら、クラークの正気を疑ったが……クラークは目元をゴシゴシと擦り、憎たらしい程いつも通りの顔を上げる。
「 リーフ様は本当に神様かもしれないな。
これだという答えはくれないのに、いつの間にか俺は本当に選びたい答えを選んでいる。 」
「 ……???あ、あぁ。そうだな……。 」
またしても唐突な話に首を傾げたが、とりあえずリーフ様を褒めているなら否定はしない。
そのため肯定しておくと、突然空を舞う伝電鳥の数が増え、言葉を伝えてくる。
《 防壁は盾班で持たせます!!
こちらはクリアーです!! 》
《 こちらは攻撃魔法班で撃退可能!今から戦いを開始します! 》
《 空の敵は狙撃班でいけます!! 》
その声は幼く、更に聞いたことのある声も多数あったため、直ぐにその正体に気付いた。
「 ライトノア学院の……逃げたはずの貴族生徒たちか……! 」
「 あぁ。彼らも背負っていた重い荷を捨ててここに来たんだろう。
自分の持っていきたいモノだけ持って、リーフ様が邪魔する全てのモノを吹き飛ばした道へ。 」
にわかには信じられない状況に呆然としていると、クラークはパンパンッと身体についている泥を叩き落とし、近づいてきたモンスター達を睨みつけた。
「 さぁ、足掻いてやるか。この身が動く限り。 」
私は現状に今にも踊り出したい程興奮したが、それは必死に押さえてハンっと鼻で笑う。
「 それでは駄目だな。 」
「 ────は?? 」
出鼻を挫かれ、クラークがキョトンとした顔を見せたため、私はニヤリと誂う様に言ってやった。
「 目指すのは足掻いて足掻いて ” ハッピーエンド ” だろう。
足掻くだけではだめだ。
貴様は死にかけの虫の様にせいぜい私の後ろで足掻け。
蜂男の名に相応しい行動をしろ、いいな? 」
「 ……そうだったな。
では、お前も怪力ゴリラ女に相応しく、華麗に魔法を使うこの俺の盾になれ。
分かったな? 」
「 …………。 」
「 …………。 」
お互い無言になりギスギスした雰囲気が漂ったが、最前線からモンスターが飛び出してきたので、即座に動く。
突然そこら中に現れた< スレット・カメレオン >達のギョロギョロした目に向かい、まずは飛び出した私がその群れを軽く攻撃した。
< スレット・カメレオン >
体長20cm程のカメレオン型Eランクモンスター
周囲の景色と同化しながら鼻先についている鋭い刃を使い、獲物を切り刻む
よく目を凝らせばギョロギョロした目だけは確認する事ができ、そこを攻撃すれば擬態は解除してしまうので、まずは軽く攻撃した後、一気に叩くがセオリー
それにより姿を現した< スレット・カメレオン >達は、そのままクラークの攻撃範囲に入ったため魔法で一掃される。
そしてそれを目の端で確認した私は、そのまま次のモンスター達の群れに向かってダッ!と飛び込んでいった。
相変わらず理解できぬめんどくさい性格に、今がチャンスと嫌味の一つでも言ってやろうと思ったが……まぁ、既に打ちのめされている奴にトドメを差すことはないだろうと、私はゆっくりと口を開いた。
「 私は難しい事を考えるのが苦手だ。 」
クラークは私の言葉に反応してピクリと肩を震わしたが、見ないふりをしてそのまま話を続ける。
「 だから物事はプラスマイナスゼロでいい。
・・・
あの日私が選ばれて、お前は選ばれなかった。
地に落ちたお前を見て思い切り笑ってやったから、それでゼロにしてやる。
それに加えてついこの間、思いっきりぶっ飛ばしてやったしな。 」
「 ……本気で言っているのか? 」
まだ下を向いたままのクラークを見て、私は今までのクラークとの思い出を思い出す。
多分幼い頃のクラークは私と同じ。
ひたすら両親の愛情を渇望し、必死にそれを手にしようとしていた。
その結果────やり方を間違えてしまったクラークは、ソフィア様に叩き潰された後、また同じやり方で ” 幸せ ” を得ようとはしなかった。
それがクラークの強さに繋がったのなら、私はクラークを、そしてクラークは私を使い、今の場所へと辿り着いたという事。
そうして共に高みへ登っていく私達のこの関係性は────────そんなに悪いモノでもないと私は思っている。
「 お前は私が強くなるための最高の道具だった。
そのお陰で私は世界一の幸せ者になれたのだから。
お前の様な小さな羽虫如きが目の前で飛び回ろうが、私には何の影響もないからな。
これからもせいぜい無駄に羽ばたいているといい。邪魔ならまたぶっ飛ばしてやる。
後はいかにお前のうっとおしい両親共をぶっ飛ばしてやるかを考え中だ。 」
モヤモヤと浮かび上がるクズ共にイラッ!としていると、突然クラークが吹き出し、大声で笑い出した。
急になんだと問おうとすると、いつも通り「 脳筋女。 」と悪口を言ってきたので、直ぐに「 陰険男。 」とかえしてやる。
そのまま悪口の応酬をしあっていると、そろそろ< テンペスト・モンキー >が消えた事を完全に察知した他のモンスター達が近づいてきたのが見えて刀を構えたが、クラークは最後にボソッと変な事を言った。
「 世界はなんて綺麗なんだろうな。 」
「 …………? 」
私は目の前に湧いている綺麗とは程遠いモンスター達を見つめながら、クラークの正気を疑ったが……クラークは目元をゴシゴシと擦り、憎たらしい程いつも通りの顔を上げる。
「 リーフ様は本当に神様かもしれないな。
これだという答えはくれないのに、いつの間にか俺は本当に選びたい答えを選んでいる。 」
「 ……???あ、あぁ。そうだな……。 」
またしても唐突な話に首を傾げたが、とりあえずリーフ様を褒めているなら否定はしない。
そのため肯定しておくと、突然空を舞う伝電鳥の数が増え、言葉を伝えてくる。
《 防壁は盾班で持たせます!!
こちらはクリアーです!! 》
《 こちらは攻撃魔法班で撃退可能!今から戦いを開始します! 》
《 空の敵は狙撃班でいけます!! 》
その声は幼く、更に聞いたことのある声も多数あったため、直ぐにその正体に気付いた。
「 ライトノア学院の……逃げたはずの貴族生徒たちか……! 」
「 あぁ。彼らも背負っていた重い荷を捨ててここに来たんだろう。
自分の持っていきたいモノだけ持って、リーフ様が邪魔する全てのモノを吹き飛ばした道へ。 」
にわかには信じられない状況に呆然としていると、クラークはパンパンッと身体についている泥を叩き落とし、近づいてきたモンスター達を睨みつけた。
「 さぁ、足掻いてやるか。この身が動く限り。 」
私は現状に今にも踊り出したい程興奮したが、それは必死に押さえてハンっと鼻で笑う。
「 それでは駄目だな。 」
「 ────は?? 」
出鼻を挫かれ、クラークがキョトンとした顔を見せたため、私はニヤリと誂う様に言ってやった。
「 目指すのは足掻いて足掻いて ” ハッピーエンド ” だろう。
足掻くだけではだめだ。
貴様は死にかけの虫の様にせいぜい私の後ろで足掻け。
蜂男の名に相応しい行動をしろ、いいな? 」
「 ……そうだったな。
では、お前も怪力ゴリラ女に相応しく、華麗に魔法を使うこの俺の盾になれ。
分かったな? 」
「 …………。 」
「 …………。 」
お互い無言になりギスギスした雰囲気が漂ったが、最前線からモンスターが飛び出してきたので、即座に動く。
突然そこら中に現れた< スレット・カメレオン >達のギョロギョロした目に向かい、まずは飛び出した私がその群れを軽く攻撃した。
< スレット・カメレオン >
体長20cm程のカメレオン型Eランクモンスター
周囲の景色と同化しながら鼻先についている鋭い刃を使い、獲物を切り刻む
よく目を凝らせばギョロギョロした目だけは確認する事ができ、そこを攻撃すれば擬態は解除してしまうので、まずは軽く攻撃した後、一気に叩くがセオリー
それにより姿を現した< スレット・カメレオン >達は、そのままクラークの攻撃範囲に入ったため魔法で一掃される。
そしてそれを目の端で確認した私は、そのまま次のモンスター達の群れに向かってダッ!と飛び込んでいった。
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