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第三十三章

1069 第二形態

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( マリオン )


「 Aランクモンスターを一瞬……! 」


「 あんな魔道具見たことないぞ! 」


その圧倒的な強さを前に、周りの味方達は歓声をあげたが、ダーク・ツリー・フェイスはそれが気にくわなかったのか、直ぐに他のマジシャンズ・ウッドを使って魔法の総攻撃を繰り出した。

しかし、なんとゼロはそれを軽々と叩き切り、あっという間にダーク・ツリー・フェイスの真ん前へ。

マジシャンズ・ウッドで周りを固めていたため油断していたらしいダーク・ツリー・フェイスは、そのまま次の攻撃を繰り出そうとしたが、ゼロの方が早い!

樹冠部についている赤子の顔の一つにレイピアを突き刺すと、そのまま首を跳ねるようにポ────ンと空高くふっと飛ばした。


『 おぎゃあぁぁぁぁ────あぁぁぁ────────いぃぃぃあああ────!!!! 』


大音量のダーク・ツリー・フェイスの悲鳴と共に、跳ね飛ばされた首はゴロゴロと転がってやっと止まったと思ったら、憎々しげにゼロを睨みつけた後、溶けて消える。


「 く、首が……。 」


「 溶けちゃったっす! 」


モルトとニールが溶けて消えた首を見つめてつぶやくと、周りはまた歓声をあげたが、突然ドっ!!と禍々しい魔力がダーク・ツリー・フェイスから噴き出したため、直ぐにそちらへ視線を戻した。


《 ……気をつけろ、マリオン。

様子がおかしい。 》


「 えぇ、分かってます。 」


ビリビリと痛いくらいに刺激してくる攻撃的な魔力。

更に赤子の顔が肌色から血のように赤い顔へ色が変化し、沢山の青い血管が顔中を走る。


────────ギロッ!!!!


殺意に満ちた目をゼロへ向け、胴体部分はメキメキと音を立てて巨大化していった。



《 解析班より緊急伝達!!!

ダーク・ツリー・フェイスのステータス、大幅に上昇中!!!


おそらく ” 第二形態 ” に移行したと思われます。


攻撃パターンも変化するかもしれませんので、警戒レベルを最大限まであげてください! 》



「 第二形態────!?

まさか……まだ強くなるっていうのか! 」



< 第二形態 >

Aランク以上のモンスターに稀に見られる存在進化の事

姿形だけではなくステータスも強化されてしまうため、前のモンスターとは別物だと思った方が良い程変化する



「 ────くそっ!!前衛班一斉攻撃開始────!!! 」


「 後衛班もそれに続くぞ────!!! 」


ライトノア学院の生徒達と各兵団達は、ダーク・ツリー・フェイスに一斉攻撃を放つ。

すると風で舞い上がった砂ホコリのせいで視界が一瞬真っ白になり、ダーク・ツリー・フェイスの姿を隠してしまった。


「 流石にこれなら…… 」


「 少しくらいダメージが通った……よな? 」


フリックとロダンが腕を前に回しながらそう言ったが────……


「 そ…そんな……っ!! 」


「 なんてこと……! 」


ローリンとルナリーが震える声で叫ぶ。


視界が晴れて姿が見えてきたのは、まったくノーダメージのダーク・ツリー・フェイスの姿。

更に赤子の口角は全て大きく上に上がっていて、まるで満面の笑みを浮かべている様な顔をしていた。


《 ────クソッ!気持ち悪いわね!

なんて気味の悪いモンスターなのかしら! 》


母様の操る戦闘用魔道具が空を旋回しながら叫んだが、おそらく全員が同じ事を思っているはずだ。


ニタニタと笑う顔は本当に気味が悪い!


ゾっと背筋を凍らせながらその顔達を睨みつけると、突然赤子の顔達が一斉に魔法の詠唱を始めた。

すると────……


ドガ────ン!!!


突然噴火した火山の様に、勢いよく上空に向かってまっすぐ光の柱が伸び、空を埋めつくす程沢山の綿毛のついた種子の様な物が姿を現す。


「 なんなんだ?あれは……? 」


「 タンポポの綿毛みたい。」


その場の全員がザワザワしながらそれを見上げていると、焦った様子の解析班が怒鳴る様に叫んだ。


《 敵のスキル感知!!

あの種子は全て属性の違う魔法の爆弾です!

なんの属性かは爆発するまで分からない様ですが、一つ一つがかなり高火力、かつ広範囲に被害が広がる模様!

下に落下する前に何とか撃ち落としてください!! 》



( 第二形態先天スキル )

< レインボー・種子爆弾 >

様々な属性を持った種子の魔法爆弾を上空に打ち上げ地上に落とす、超高火力、広範囲スキル



「 なんだとっ!!?? 」


解析された敵のスキルの正体を知った俺たちは息を飲む。


属性には基本、『 有利属性 』と『 不利属性 』が存在していて、人型種は基本この関係性を上手く利用する事でモンスター相手にアドバンテージをとっている。

常に有利属性を取れる様に立ち回る事で、相手に与えるダメージは勿論、受けるダメージも大幅に減らす事ができるわけだが、それが分からないとなれば、逆にこちらが大ダメージを食らう可能性があるのだ。


爆発してからでないとそれが分からないというのは相当まずい!

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