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第三十三章

1068 俺の人生の形

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( マリオン )

最後の ” 死ぬ ” という言葉に青ざめた三人は、バシッ!とローリンの頭を一斉に叩き、縁起の悪いことを言うな!と怒る。

恥ずかしくてそんな四人を見ていられず「 勝手にしろ! 」とそっけなく言って顔を逸らすと、黙って見守っていた父様が珍しく大声で笑って言った。


《 ─────良き仲間を持ったな。

お前の今までの努力の結果だ。 》


こそばゆい気持ちでそれを黙ったまま聞いていたが、その時思い出したのはリーフ様に背負われて進んでいたあの真っ暗な道の事だ。

リーフ様と出会う前は、恐怖と不安、迷いなどを沢山を抱えながら、ただがむしゃらに歩き続けていた。


どこに向かえばいいのか?

本当にこれでいいのか?


そんな悩み、苦しみながらも必死に歩いていた俺の姿を見て、尊敬の念を抱きついてきてくれる仲間がいる。

それはそれまで歩んできた道に間違いなどなかったのだという何よりの証拠だと思った。


” 何が出てこようとも、それも含めて俺の人生だ。

無駄なモノは一つもない。 ”


リーフ様の言葉がフッと頭の中に浮かびあがり、俺の心の中をまた新たに照らしてくれる。


本当にそうだ。

無駄なモノは何一つなかった。


ストンっ……とその答えが心の中に落ちてくると、兄との事もいつか無駄なことではなかったと思える日がくるのだろうか?

そんな馬鹿な考えが振って湧いてきたが、今は分からない。


でも─────そうだといいな。そう思う事ができた。


自然と笑みが零れそうになって、慌てて口元を引き締めると、俺はフリック達に向かって言った。


「 フリック、ロダン、ルナリー、ローリン、だったら最後までこのマリオンについてこい。

モルトとニールはリーフ様のために今は俺に従え。

今から一つ大掛かりなスキルを使う。


─────全員時間を稼げ! 」


「「「「「 承知いたしました! 」」」」」


全員がワッ!とテンション高く返事を返し、そのままダッ!と前に飛び出すと、ルナリーとニールが最初に進み出て、それぞれ盾とゴーレムで創った< 大盾エレファント >で、物理攻撃から皆を守る。

その隙に横から飛び出し、前から飛んでくる小枝や葉の攻撃はフリックの召喚獣とロダンが、続く魔法攻撃はローリンの風と物理の強攻撃、モルトの魔法弾が叩き消した。

俺は仲間たちが戦ってくれている間に直ぐにスキルを発動し、地面に巨大な魔法陣を描いていく。

俺の選んできた答えが作る最強の魔道具、それを創り出すために。



<魔操技師の資質>(シークレット固有スキル)

< 軌跡の構築 >

自身の人生経験と記憶を元に一から世界でたった一つのオリジナル魔道具を創り出す事のできる創作系スキル

魔力、魔力操作が高い程緻密で高性能な魔道具が、そして人生経験と記憶、それに付随した様々な感情値が高く、多い程強く複雑な魔道具が出来上がる

その際、強さに直結した術者のイメージが色濃く出るため、その場道具は ” 個性 ” も取得し、術者と共に進化していく

( 進化型魔道具 )

(発現条件) 

スキル< マジックイリュージョン >と< 秘密の宝箱 >を持つこと

一定回数以上魔道具の作製に成功する事

一定以上の人生経験と記憶、それに付随した様々な感情値を持つこと、かつ自身に対する肯定感がある一定値を超え、現在持っている ‘ 疑問、葛藤 ‘ に対し答えを出す事




バチバチと音をたてて、俺の目の前で一から魔道具が組み立てられていく。


これが俺の人生の形─────これからの未来を邪魔するヤツを全て殲滅してくれる物理的な ” 強さ ” をイメージ化した魔道具だ。


スッキリしている全身真っ黒な鎧に黒いマント。

顔の左半分に白い仮面を被り、他の見えている顔の部分には時計の内部構造の様なたくさんの歯車がカチッ……カチッ……という音を立ててそれぞれ回っている様子が見える。


そして腰ベルトには細身のレイピアが差してあり、色といいその出で立ちといい、最高に気に入らないどっかの誰かさんそっくりに出来上がってしまったその魔道具を見て、複雑な気持ちに顔をゆがませた。


「 ………。 」


ムスッ!としながらその魔道具を見上げていると、フリック達は気まずそうに俺を見て黙っている!


「 ─────なんでこいつなんだ……よりにもよって何で……っ!

……後で全身茶色く染めるか。 」


ぶつぶつと文句を言ってやったが、そいつは主である俺の事を完全無視し、反応なしときた。

そういうふてぶてしい態度もそっくりだ。


「 心底腹が立つが今はそれどころではない。

お前の名前は……そうだな、< ゼロ >にしよう。

ゼロ、レイピアを抜け。 」



─────シ~~ン……。


無視。



フリック達の居たたまれない視線が痛いが、俺は余裕の笑みを浮かべ、マジシャンズ・ウッド達を指差す。


「 さぁ、行け!ゼロッ!目の前のモンスター達と戦え!

リーフ様のために!! 」


” リーフ ” という言葉に反応したゼロは、すぐにレイピアを抜き、近くにいたマジシャンズ・ウッドに突き刺した。


そのスピードと一撃でその胴体を貫通したパワーに全員が目を見開き、驚いた様子を見せたが、当の本人はそのまま何でもないかの様に片手で串刺しにしたモンスターを持ち上げ、もう一体別の場所にいたマジシャンズ・ウッドへ投げつける。


『 ギ……ギィィィィ──────────!!!!! 』


悲鳴を上げ倒れるマジシャンズ・ウッド達。


直ぐに起き上がろうとしたが、ゼロはトンっ───とそのモンスター達の上に着地し、そのまま一瞬でその体をバラバラに……。

そしてコロンっ…と足元に転がってきた瘴核をそのまま容赦なく踏みつぶした。
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