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第三十三章
1066 人の手に余るモノ
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( マリオン )
「 ─────っなっ!! 」
《 なんだとっ!!!! 》
俺と父様が同時に叫び、その場で戦う者達全員に衝撃が走った。
「 えっ、Sランク……。 」
「 嘘だろう……? 」
ザワッ!とざわつくその場をものともせず、おぞましいまでに主張するゾッとするような魔力が、ドンドンとこちらに向かって近づいてくる。
地響きの様な足音により揺れる大地。
更にそれに合わせる様に何百もの赤子?の泣き声や笑い声……。
この場に似つかわしくないその声に、全員が震え上がっていると、やがて姿を現したのは─────……
「 な……何なんだ……あの不気味な姿は……。 」
「 あ、あんなやつ見たことないっすよ……。 」
モルトとニールがブルブルと震えながら後ずさりをすると、それが合図かの様にフリック達も僅かに後ずさりをした。
体長20mほどはありそうな、全体的にはどっしりと大きな木の形をしているその体には、まるでミイラの手の様な気味の悪い沢山の樹木の枝が生えていて、何かを掴もうとしているのか?バラバラに蠢いている。
そしてそれ以上にゾッとしたのは、本来葉がついている樹冠の部分に埋め尽くす程の大小様々な赤ん坊の首がくっついている事だ。
赤ん坊の鳴き声や笑い声はこの沢山の首がバラバラに口を開いているかららしい。
【 Sランクモンスター 】
< ダーク・ツリー・フェイス >
巨大な木の形をしている樹木型モンスター
樹冠部分を埋め尽くす程の数の赤子の顔がついており、それがそれぞれ別々の魔法の詠唱を歌い、全属性魔法を駆使して攻撃してくる
また樹体部分から生えている枯れた人の手の様な枝からは物理属性の強烈な攻撃を繰り出してくるため、近づくのは困難
更に物理、魔法共に耐性バリアを持っているため、殆どダメージは一切通らない
高火力、広範囲攻撃、多種多少の攻撃パターンが見られ、以前姿を現した時には、一瞬で一個体の大部隊が全滅した
( 人型種未討伐モンスター )
誰も彼もが言葉もなく立ち尽くしていると、赤ん坊達はスッ……と目を一斉に開ける。
そして大きな目で俺達を見回すと、突然大人の様にゲラゲラと笑い出し、そのまま魔法の詠唱を始めた。
《 ダーク・ツリー・フェイスの各顔面部位、魔法の詠唱に入りました!
全属性のランダム攻撃が来ます!! 》
解析班がそう告げた瞬間、防御スキルを持った盾班や前衛班が直ぐに前に出てスキルを展開。
父様も直ぐに魔法耐性シールドをその場に張ると、フリックの召喚獣が俺達の前に飛び出し、防御態勢をとった。
─────が……
──────────カッ!!!!
一瞬強い光が爆発したように辺りを照らすと、一瞬で凄まじい魔法の砲撃が周りを襲う。
「 ───クッ!コロちゃん!持ちこたえて! 」
「 キュ……キュ─────ッ!!! 」
後ろに飛ばされそうになったが、召喚獣のお陰でなんとか耐えきり、慌てて周囲の状況を確認したが、なんとたったそれだけで、ほぼ全員が吹き飛ばされて陣形が見事に崩されていた。
しかし流石は戦闘のプロ。
直ぐに立ち上がり形勢を立て直す。
「 ソフィア様のスキルで弱体化しているはずなのに……! 」
「 これがSランクですか……。 」
形勢が崩れそうになった事で、チャンスとばかりに襲ってくる小型モンスターを剣で倒しながらロダンが呟き、同時に弾かれそうになった盾を構えたルナリーが汗を掻きながらそう言った。
Sランク─────恐ろしいほどの圧倒的な力!
そもそもSランクモンスターは、基本は魔素が濃い場所から滅多に降りては来ず、お目にかかる事事態がないが、稀にフラッと人里に姿を現す事がある。
その主な目的は酸素によって生きている ” 人 ” や ” 動物 ” を食らう事であると言われていて、その際には沢山の犠牲者を出しながら、彼らを元いた場所に帰してきた。
─────では、何故酸素で生きる生き物達を捕食したがるのか?
そこで有力とされている説としては魔素の特性 ” 違う物質を取り入れる事によって新たな力を手に入れているのではないか? ” が有力な説になっている。
しかしそこで新たな疑問……。
‘ だったら何故、積極的に襲ってこないのか? ‘
これは全くの不明。
” 魔素が濃い場所から一定期間しか離れられないのでは? ”
そう考える学者もいるが、人里に降りてきた時ピンピンしている様子からそうとも思えないため、もしかしたら彼らなりのルールが存在しているかもしれない。
なんにせよ人型種は、そんな ” ルール ” に助けられ、今のところはフラリとたまにやって来るSランクモンスターが現れた際には、各名門貴族達や騎士団総出で出陣し、何とか魔素領域へ帰す……という処置をとってきた。
そんな幻に近い最強モンスターが今、前の前に……。
ジッと睨みつける様に、そのモンスターを観察すると、楽しんでいるのか、やはりゲラゲラと大人の様な声を上げて笑いながら俺達を見ている。
しかし目はギラギラと欲に塗れ、口からは絶えずよだれを垂らしている事から、完全な< 捕食モード >に突入している事が分かる。
「 ─────っなっ!! 」
《 なんだとっ!!!! 》
俺と父様が同時に叫び、その場で戦う者達全員に衝撃が走った。
「 えっ、Sランク……。 」
「 嘘だろう……? 」
ザワッ!とざわつくその場をものともせず、おぞましいまでに主張するゾッとするような魔力が、ドンドンとこちらに向かって近づいてくる。
地響きの様な足音により揺れる大地。
更にそれに合わせる様に何百もの赤子?の泣き声や笑い声……。
この場に似つかわしくないその声に、全員が震え上がっていると、やがて姿を現したのは─────……
「 な……何なんだ……あの不気味な姿は……。 」
「 あ、あんなやつ見たことないっすよ……。 」
モルトとニールがブルブルと震えながら後ずさりをすると、それが合図かの様にフリック達も僅かに後ずさりをした。
体長20mほどはありそうな、全体的にはどっしりと大きな木の形をしているその体には、まるでミイラの手の様な気味の悪い沢山の樹木の枝が生えていて、何かを掴もうとしているのか?バラバラに蠢いている。
そしてそれ以上にゾッとしたのは、本来葉がついている樹冠の部分に埋め尽くす程の大小様々な赤ん坊の首がくっついている事だ。
赤ん坊の鳴き声や笑い声はこの沢山の首がバラバラに口を開いているかららしい。
【 Sランクモンスター 】
< ダーク・ツリー・フェイス >
巨大な木の形をしている樹木型モンスター
樹冠部分を埋め尽くす程の数の赤子の顔がついており、それがそれぞれ別々の魔法の詠唱を歌い、全属性魔法を駆使して攻撃してくる
また樹体部分から生えている枯れた人の手の様な枝からは物理属性の強烈な攻撃を繰り出してくるため、近づくのは困難
更に物理、魔法共に耐性バリアを持っているため、殆どダメージは一切通らない
高火力、広範囲攻撃、多種多少の攻撃パターンが見られ、以前姿を現した時には、一瞬で一個体の大部隊が全滅した
( 人型種未討伐モンスター )
誰も彼もが言葉もなく立ち尽くしていると、赤ん坊達はスッ……と目を一斉に開ける。
そして大きな目で俺達を見回すと、突然大人の様にゲラゲラと笑い出し、そのまま魔法の詠唱を始めた。
《 ダーク・ツリー・フェイスの各顔面部位、魔法の詠唱に入りました!
全属性のランダム攻撃が来ます!! 》
解析班がそう告げた瞬間、防御スキルを持った盾班や前衛班が直ぐに前に出てスキルを展開。
父様も直ぐに魔法耐性シールドをその場に張ると、フリックの召喚獣が俺達の前に飛び出し、防御態勢をとった。
─────が……
──────────カッ!!!!
一瞬強い光が爆発したように辺りを照らすと、一瞬で凄まじい魔法の砲撃が周りを襲う。
「 ───クッ!コロちゃん!持ちこたえて! 」
「 キュ……キュ─────ッ!!! 」
後ろに飛ばされそうになったが、召喚獣のお陰でなんとか耐えきり、慌てて周囲の状況を確認したが、なんとたったそれだけで、ほぼ全員が吹き飛ばされて陣形が見事に崩されていた。
しかし流石は戦闘のプロ。
直ぐに立ち上がり形勢を立て直す。
「 ソフィア様のスキルで弱体化しているはずなのに……! 」
「 これがSランクですか……。 」
形勢が崩れそうになった事で、チャンスとばかりに襲ってくる小型モンスターを剣で倒しながらロダンが呟き、同時に弾かれそうになった盾を構えたルナリーが汗を掻きながらそう言った。
Sランク─────恐ろしいほどの圧倒的な力!
そもそもSランクモンスターは、基本は魔素が濃い場所から滅多に降りては来ず、お目にかかる事事態がないが、稀にフラッと人里に姿を現す事がある。
その主な目的は酸素によって生きている ” 人 ” や ” 動物 ” を食らう事であると言われていて、その際には沢山の犠牲者を出しながら、彼らを元いた場所に帰してきた。
─────では、何故酸素で生きる生き物達を捕食したがるのか?
そこで有力とされている説としては魔素の特性 ” 違う物質を取り入れる事によって新たな力を手に入れているのではないか? ” が有力な説になっている。
しかしそこで新たな疑問……。
‘ だったら何故、積極的に襲ってこないのか? ‘
これは全くの不明。
” 魔素が濃い場所から一定期間しか離れられないのでは? ”
そう考える学者もいるが、人里に降りてきた時ピンピンしている様子からそうとも思えないため、もしかしたら彼らなりのルールが存在しているかもしれない。
なんにせよ人型種は、そんな ” ルール ” に助けられ、今のところはフラリとたまにやって来るSランクモンスターが現れた際には、各名門貴族達や騎士団総出で出陣し、何とか魔素領域へ帰す……という処置をとってきた。
そんな幻に近い最強モンスターが今、前の前に……。
ジッと睨みつける様に、そのモンスターを観察すると、楽しんでいるのか、やはりゲラゲラと大人の様な声を上げて笑いながら俺達を見ている。
しかし目はギラギラと欲に塗れ、口からは絶えずよだれを垂らしている事から、完全な< 捕食モード >に突入している事が分かる。
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