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第三十三章

1063 援軍到着

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( マリオン )

「 飛行型のモンスターがこんなに……!

これも全てモンスターボックスに似たスキルから飛び出た分なのでしょうか? 」


ルナリーが雨の様に一斉に落ちてきた< シャドー・コンバット >達を盾で防ぎながら言うと、盾に弾かれたモンスター達を剣で切り刻みながらロダンが妙な事を言う。


「 そういえばここにくる途中、道の至る所に正体不明の黒い固まりの様なモノが浮かんでいました。

もしかしてそれが何か関係しているかもしれません。

ドロドロと黒い泥水の様なモノが垂れてましたので、十中八九その化け物の能力だろう思われます。 」


「 なんだと? 」


至る所に存在する黒い固まり……一体それは……?

その正体は考える間もなく、空を旋回する伝電鳥から聞かされた。


《 解析班より緊急伝達!!

呪いの化け物が出した正体不明の黒い固りから、モンスターが続々と出現!

各所警戒せよっ!! 》


《 謎の黒い固まりが広範囲に被弾っ!!

モンスター創作系のスキルである様!!無限に増殖しますっ!! 》


《 各所、救世主様があの化け物を倒すまで耐久戦の準備をっ!!

人が死ぬことで呪いの化け物は力を増します!

犠牲者を出さぬよう最大限の注意をして下さい!! 》



「 モンスターを無限に創り出す能力……。 」


フリックが汗を一筋掻きながらポツリと言うと、全員がゴクリとツバを飲み込む。

顔には出さずとも俺も内心動揺はしていて、思わず舌打ちをしてしまった。


敵を倒しても倒してもそれに限りはない。

化け物のまさに無敵とも言える能力で、外はモンスター達で溢れかえり、限界がある ” 人 ” の方が絶対に先に倒れる事は言うまでもない。


「 やっぱりあの化け物の能力でしたか……しかもなんて反則級の能力なんでしょうね。

呪いに加えて無限に湧き出るモンスター達……国が滅ぼされるのも納得です。 」


「 わ~ん!こんなの一方的過ぎます~!

インチキ!卑怯者!おたんこなす~!! 」


ロダンとローリンが陣形が乱れた< シャドー・コンバット >にトドメをさしながら言うと、全員が嫌な予感に支配された。


そんなめちゃくちゃな能力は広範囲に分布したと言っていたが、それでは被害はグリモアだけに留まらない。


恐らく周辺の小さな街などは─────……。


最悪な未来を想像しブルッ!と体を震わせたが、ここでも手一杯な俺達にはどうすることもできない。


「 ─────クソっ! 」


思わず口汚く怒りを吐き出すと、突然ピリッ!とした感覚が肌を襲う。


「 空に何かいます!! 」


「 < ホタル・ボンボン >!明かりを照らすっす─────! 」


モルトが空を指差すと、ニールが直ぐに< ホタル・ボンボン >のゴーレムを創り出し、空に散らばせた。


< ホタル・ボンボン >

体長20cm程のホタル型Gランクモンスター

認識阻害能力を持っていて、光るお尻を振って相手にそれをかける。

その能力のせいで討伐は難しい。

害がまったくない共生モンスターとして人と共存している


パッパッ!と空で光る光によって空が照らされ、そのお陰でシャドーコンバットに紛れて飛んでいるモンスターに気づいた。


「 < ビリビリ・バタフライ >か!

全員俺の周りに集まれ! 」



< ビリビリ・バタフライ >

体長10cm程の蝶型Eランクモンスター

集団で現れ他のモンスターに便乗して人を攻撃してくるため少々面倒なモンスターで、痺れ効果のある鱗粉をそこら中に散布してくる

また周りの背景に溶け込む擬態能力も持っているため、混戦時には真っ先に見つけて倒しておかないといつの間にか痺れて動けなくなってしまう



そう叫ぶと、全員が直ぐに俺の周りに集まったので、直ぐにスキル< マジック・イリュージョン >で出した【 麻痺直し薬 】を全員に散布する。



< 麻痺直し薬 >

麻痺系の状態異常を治す薬

一定時間麻痺を受け付けない効果もあるため、事前準備として振りかける事も可能


そして周りで戦う生徒達の元に行かない様、【 ナイト 】に命じて倒していくが、とにかく数が多く、全ては倒しきれない!


「 コロちゃんの風魔法で【 麻痺直し薬 】を広げますか? 」


フリックの提案に乗ろうとした、その時─────突然空からものすごいスピードで小さな飛行型魔道具が飛んできて、そこら中に【 麻痺直し薬 】を振り巻いた。


それは次から次へとやってきては、更に他の状態異常に対する薬まで散布し始めたではないか。


「 こ……この高性能なサポート用魔道具は……まさかっ! 」


俺が驚き、その飛び回る魔道具を視線で追いかけると、そのサポート用の飛行魔道具達は、更に強化魔法や防御系魔法まで使い始めたため確信した。


「 これは父様のサポート用魔道具だ! 」


飛び回る飛行型魔道具を見上げそう叫ぶと、フリック達はワッ!と喜びを顕にする。


「 全てスタンティン家の家紋が彫られています!

マリオン様のお父様ですね! 」


「 こんな沢山の飛行魔道具見たことがありません。

本当に凄い……っ! 」


ロダンとルナリーが飛行型魔道具達を指差し笑うと、モルトとニールがやっほ~!!と主人のリーフ様そっくりに飛び上がる。


「 スタンティン家の飛行魔道具だ!! 」


「 うそっ……こんな数見たことないわ。 」


「 これで戦いが楽になるぞ!! 」


やがて周りで戦う生徒達も、飛行型魔道具達に気づいたらしく、一斉に ” わぁぁぁぁぁ─────!!! ” と歓声を上げた。

そして更に突然至る所で ” 魔道路 ” の穴が開き、そこから人形や動物の形をした戦闘用魔道具達が出てきて戦いに参戦し始める。


「 スタンティン家の【 魔道具部隊 】だ!! 」


「 スタンティン家は全勢力を投下するつもりらしいですね。

これは負けられません。 」


ローリンがキャ───!とテンション高く叫ぶと、フリックが俺に向かってニコッと笑い喜びを表す。


父様が勝手に飛び出した俺のために、ここまでしてくれたのか?

全く想像していなかったため、思わず目元が熱くなった。

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