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第三十二章
1053 四柱
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( ニコラ )
「 お父様っ!!どうかお力を貸して下さいませ!!
愛娘からのお願いでございます。
クラークだけは助けなければ、レイモンド家は途絶えてしまいますわ!
何卒よろしくお願いします! 」
「 その通りです!
ドルトン様にとってクラークは愛しい孫ではありませんかっ!!
それを見捨てるなど、人の道に反する行為であると私は思います!
貴方様の大事な孫をお助け下さい!! 」
自身の娘であるローズとロイドの鬼気迫る説得に、ドルトンは一度目を伏せた後、やっと柱にもたれかかっていた体を起こす。
そしてローズとロイドに視線を合わせたので、二人はこれで安心だとホッと安堵したのだが────ドルトンは突如ロイドを思い切り殴りつけた。
「 ────っふぐっ!!! 」
そのままふっ飛ばされたロイドは大きく飛んでいき、後方にあった柱に叩きつけられ地面に無様に倒れ込む。
そして大量の鼻血を出しながら痛みにうめき声を上げた。
「 ────────えっ……? 」
ローズはそんな夫の姿を見て一瞬呆けたが、続いてドルトンはそんなローズも同様に殴りつける。
勿論その体はロイドと同じく吹っ飛び、仲良く柱に叩きつけられ声もなく倒れ込んだ。
「 うううう~~~……。 」
「 う……あ……あああ……。 」
大きく腫れ上がった顔と滝の様に流れる鼻血。
二人はうめき声を上げながら血だらけの顔面を押さえ、ドルトンを呆然と見つめた。
それを見た周りの者達は、もう何度目か分からぬ驚いた様子で三人を注視していると、ドルトンはハァ……と心底ウンザリした様子で息を吐き出す。
「 本当になっさけないのぉ~。
お前たちは栄えあるレイモンド家を汚した害虫だな。
甘い言葉を囁く事と腰を振るだけが得意な無能男と、見てくれだけ着飾って頭が空っぽの毒女。
それがお前らだ。このゴミ虫どもめ。
クラークが大事な息子?────ふんっ、違うだろう?
大事な寄生先だろうが。 」
「「 ────────なっ!!!! 」」
今まで傍観しているだけだったドルトンのあまりに直接的な暴言の数々に、ローズとロイドは言葉を失ったが、ドルトンはそのまま続けて言った。
「 私はレイモンド家を引退した老骨……だからこそ現当主のやり方に口を挟む権限はないとずっと口を閉ざしてきたが、状況は悪くなるばかり。
何一つ努力せずに先祖たちが必死に築いてきた財や権力を使って遊ぶだけ。
更には旗色が悪くなれば自身の子供を矢面に立たせ、自分たちは安全な所に避難するなど、お前たちは恥というモノがないのか?
人の道に反するなど言うが、そもそも人の道に立ったことすらない者がそれを語るな!!! 」
怒気をはらませた強い言い方にローズとロイドは震え上がり、そしてそんな二人を見て蔑む様に鼻をならしたドルトンは、宙に浮かぶ街の様子へと視線を向けてニヤッと笑う。
そこにはグリモアを助けようと必死に抗おうとする沢山の人たちの姿が映し出されていた。
「 ……私はな、お前たちの代でレイモンド家は終わるだろうと思って諦めていたのだ。
だから最後は、子を育てそこねた己の責任と共にお前たちを道連れにして自害するつもりだった。
だが────────…… 」
青ざめるローズとロイドとは対照的に、ドルトンはスクリーンに一瞬映った、クラークとアゼリアを見つめ、嬉しそうに笑みを溢す。
「 こんなどうしようもない親の元、片や己の罪と向き合い努力し続けるクラーク。
そして虐げられながらも努力を忘れず抗き続けたアゼリア。
私はそんな二人に ” 希望 ” を見た。
従って ” 希望 ” を与えてくれた二人に最大限の敬意を払い、このドルトン、並びにレイモンド家を支えし【 四柱 】も、救世主 ” リーフ様 ” と共にグリモア戦に参戦したいと願います。
ニコラ王よ、お許しを…… 」
「「「「 ────────~~~っ!!!!!???? 」」」」
伝説的な功績を次々と上げてきたレイモンド家の元当主と魔法に特化したレイモンド家の最強私兵団【 四柱 】の参戦に、エドワード達は息を飲む。
私はフッと笑いながら「 許そう。」と答えると、ドルトンはポケットから、既に起動させていた< 完全版通信器 >を取り出した。
「 何か異論はあるか?【 四柱 】よ。 」
まるでイタズラが成功したかの様にワクワクした様子で話すドルトンに、向こうからは小さく吹き出す声が聞こえたが、直ぐにそれを止めてしっかりとした返事が返ってくる。
《 【 四柱 】が一つ、< 蒼の柱 >承知いたしました。 》
《 【 四柱 】が一つ、< 紅の柱 >勿論同意いたしますわ。 》
《 【 四柱 】が一つ、< 黄の柱 >大賛成で~っす♬ 》
《 【 四柱 】が一つ、< 緑の柱 >同意します~。 》
代々レイモンド家に忠誠を誓う4つの魔術師の私兵団【 四柱 】は、それぞれの得意属性魔法を極めた分家で、その当主がリーダーを務める特殊兵団だ。
その代に選ばれた当主はその時点で名を捨て、それぞれ< 蒼 >< 紅 >< 黄 >< 緑 >という新たな名が与えられる。
そして彼らはレイモンド家の当主にのみ従い、例え王命であっても命令には従わない権限を持つ独立した戦力である。
今までドルトンと共に沈黙を守っていた【 四柱 】がここにきて意を述べた事、そして自分に従わず思い通りにならない事に激怒したロイドは、【 四柱 】に向かって怒鳴りつけた。
「 お父様っ!!どうかお力を貸して下さいませ!!
愛娘からのお願いでございます。
クラークだけは助けなければ、レイモンド家は途絶えてしまいますわ!
何卒よろしくお願いします! 」
「 その通りです!
ドルトン様にとってクラークは愛しい孫ではありませんかっ!!
それを見捨てるなど、人の道に反する行為であると私は思います!
貴方様の大事な孫をお助け下さい!! 」
自身の娘であるローズとロイドの鬼気迫る説得に、ドルトンは一度目を伏せた後、やっと柱にもたれかかっていた体を起こす。
そしてローズとロイドに視線を合わせたので、二人はこれで安心だとホッと安堵したのだが────ドルトンは突如ロイドを思い切り殴りつけた。
「 ────っふぐっ!!! 」
そのままふっ飛ばされたロイドは大きく飛んでいき、後方にあった柱に叩きつけられ地面に無様に倒れ込む。
そして大量の鼻血を出しながら痛みにうめき声を上げた。
「 ────────えっ……? 」
ローズはそんな夫の姿を見て一瞬呆けたが、続いてドルトンはそんなローズも同様に殴りつける。
勿論その体はロイドと同じく吹っ飛び、仲良く柱に叩きつけられ声もなく倒れ込んだ。
「 うううう~~~……。 」
「 う……あ……あああ……。 」
大きく腫れ上がった顔と滝の様に流れる鼻血。
二人はうめき声を上げながら血だらけの顔面を押さえ、ドルトンを呆然と見つめた。
それを見た周りの者達は、もう何度目か分からぬ驚いた様子で三人を注視していると、ドルトンはハァ……と心底ウンザリした様子で息を吐き出す。
「 本当になっさけないのぉ~。
お前たちは栄えあるレイモンド家を汚した害虫だな。
甘い言葉を囁く事と腰を振るだけが得意な無能男と、見てくれだけ着飾って頭が空っぽの毒女。
それがお前らだ。このゴミ虫どもめ。
クラークが大事な息子?────ふんっ、違うだろう?
大事な寄生先だろうが。 」
「「 ────────なっ!!!! 」」
今まで傍観しているだけだったドルトンのあまりに直接的な暴言の数々に、ローズとロイドは言葉を失ったが、ドルトンはそのまま続けて言った。
「 私はレイモンド家を引退した老骨……だからこそ現当主のやり方に口を挟む権限はないとずっと口を閉ざしてきたが、状況は悪くなるばかり。
何一つ努力せずに先祖たちが必死に築いてきた財や権力を使って遊ぶだけ。
更には旗色が悪くなれば自身の子供を矢面に立たせ、自分たちは安全な所に避難するなど、お前たちは恥というモノがないのか?
人の道に反するなど言うが、そもそも人の道に立ったことすらない者がそれを語るな!!! 」
怒気をはらませた強い言い方にローズとロイドは震え上がり、そしてそんな二人を見て蔑む様に鼻をならしたドルトンは、宙に浮かぶ街の様子へと視線を向けてニヤッと笑う。
そこにはグリモアを助けようと必死に抗おうとする沢山の人たちの姿が映し出されていた。
「 ……私はな、お前たちの代でレイモンド家は終わるだろうと思って諦めていたのだ。
だから最後は、子を育てそこねた己の責任と共にお前たちを道連れにして自害するつもりだった。
だが────────…… 」
青ざめるローズとロイドとは対照的に、ドルトンはスクリーンに一瞬映った、クラークとアゼリアを見つめ、嬉しそうに笑みを溢す。
「 こんなどうしようもない親の元、片や己の罪と向き合い努力し続けるクラーク。
そして虐げられながらも努力を忘れず抗き続けたアゼリア。
私はそんな二人に ” 希望 ” を見た。
従って ” 希望 ” を与えてくれた二人に最大限の敬意を払い、このドルトン、並びにレイモンド家を支えし【 四柱 】も、救世主 ” リーフ様 ” と共にグリモア戦に参戦したいと願います。
ニコラ王よ、お許しを…… 」
「「「「 ────────~~~っ!!!!!???? 」」」」
伝説的な功績を次々と上げてきたレイモンド家の元当主と魔法に特化したレイモンド家の最強私兵団【 四柱 】の参戦に、エドワード達は息を飲む。
私はフッと笑いながら「 許そう。」と答えると、ドルトンはポケットから、既に起動させていた< 完全版通信器 >を取り出した。
「 何か異論はあるか?【 四柱 】よ。 」
まるでイタズラが成功したかの様にワクワクした様子で話すドルトンに、向こうからは小さく吹き出す声が聞こえたが、直ぐにそれを止めてしっかりとした返事が返ってくる。
《 【 四柱 】が一つ、< 蒼の柱 >承知いたしました。 》
《 【 四柱 】が一つ、< 紅の柱 >勿論同意いたしますわ。 》
《 【 四柱 】が一つ、< 黄の柱 >大賛成で~っす♬ 》
《 【 四柱 】が一つ、< 緑の柱 >同意します~。 》
代々レイモンド家に忠誠を誓う4つの魔術師の私兵団【 四柱 】は、それぞれの得意属性魔法を極めた分家で、その当主がリーダーを務める特殊兵団だ。
その代に選ばれた当主はその時点で名を捨て、それぞれ< 蒼 >< 紅 >< 黄 >< 緑 >という新たな名が与えられる。
そして彼らはレイモンド家の当主にのみ従い、例え王命であっても命令には従わない権限を持つ独立した戦力である。
今までドルトンと共に沈黙を守っていた【 四柱 】がここにきて意を述べた事、そして自分に従わず思い通りにならない事に激怒したロイドは、【 四柱 】に向かって怒鳴りつけた。
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