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第三十一章
1032 最終進化
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( リーフ )
「 な、何なんだ……あの形……。
────まさか……っ! 」
徐々に顕になっていくその形は、大きく丸に近い楕円形になっていき、凹凸ができていく。
そしてその凹凸から目、鼻、口らしきモノが出現すると、それが巨大な人の顔である事に気づき、ゾォォォ────……と背筋が凍りついた。
その顔は男か女かは分からないが人間の顔をしていて、何故か逆さまにくっついている。
つまり全体の形としては、巨大な逆さまの人の顔に沢山の手や目、口などがくっついた蝶の羽が、その左右から生えている様な形である。
更にその巨大な顔の頬や額、鼻や耳部分の方にも、まるで膨れた瘤の様に、沢山の小さな人間の顔がくっついているもんだから、目玉がポポ──ンッ!と飛び出す勢いで驚いてしまった。
それでもまだそのくっついている顔がニッコリ笑顔なら、恐怖が軽減されたかもしれないが、その全てが苦悶の表情をしていて、口からは《 あぁぁあ”あ”あ”~~~ 》という、うめき声が絶えず聞こえている状態だ。
「 ひ……人の顔がいっぱいついてる……。
それに…バラバラに喋っているし……もしかして、あれ全部に意思があるのか……? 」
そう呟くと、中央についている巨大な顔と他の小さな顔達、そして羽の部分に変わらずくっていている沢山の目達は、一斉に俺達の方を見た。
俺とあげ玉、黒みつの三人はそれにヒェぇぇ────っ!!!と悲鳴をあげるが────俺はその醜悪な姿に何となくデジャブを感じ、突然昔の思い出が頭にブワッと蘇る。
前世から変わらぬ俺の特性の一つ ” 手先が不器用 ”
それは工作などで遺憾なく発揮され、小さい頃からそれに対し良い評価を貰った事がない。
だが、孤児院で働くからにはその苦手な工作が必要とされる事が多くて困った自体になる事が多々あった。
” 放課後クラブ ” という先生達と子供たちが一緒に工作をする時間に、俺は粘土で子供たちや先生達の顔を作って飾る事にしたのだが、これが本当に酷い出来で……。
俺や先生たち、子供たちの顔をニッコリ笑顔にしたつもりが全て不気味なニヤケ顔。
見ようによっては苦悶の表情にも見え、それらの集合体となった粘土の塊はちょっとした地獄絵図となってしまった。
おっと、これはまずい!
そう焦った俺は、可愛いの代名詞である蝶の鮮やかな羽をその顔の集合体の左右につけて、更に拾ってきた沢山の花で飾り付けたが、それが不気味さを加速させ、周りに花を置くことでまるでお化けを祀る祭壇の様に……。
子供たちはそれを見て全員ギャン泣きだし、他の先生達は苦笑いしながらそれを撤去した。
そんな完全なる失敗作に眼の前のヤツはそっくり。
それが俺の心に余裕を生んだ。
「 フッフッフッ~。あげ玉、黒みつ、安心したまえ。
あいつは進化に失敗したようだ。
要は不完全体というヤツだよ。
つまりあいつは弱い!!俺達勝てるよ! 」
自信満々にそう宣言すると、あげ玉と黒みつはソロ~……と俺の方へ視線を向けて ” え~?本当に? ” という疑いの目を向けてくる。
俺は安心させるように大きく頷き、そのままギョロギョロと目を動かす蝶の化け物の顔部分を指さした。
「 見てご覧よ、あいつの顔を!
逆さまだし、とってつけたようにごっちゃりしているだろう?
あれはね、失敗作だからなんだ。
失敗したら全部ああなる。だから大丈夫だよ。良かった良かった~。 」
ホッと安堵の息を吐く俺を見て、二人は。ええ~────……とちょっと信じがたい様な様子でお互い顔を見合わせたが、結局最後は小さく頷く。
「 クピョピョピョ……。( まぁリーフさんがそう言うなら……。 ) 」
「 プルプルぷるるんッ……。( 明らかに強そうだけど、そうなのかな……? ) 」
二人は身体を震わせ納得しかけていた、その時────
《 《 ミ”ア”ぁ”あ”ああぁぁぁ”ぁ”ぁ”ぁ”────────ッッ”あ”あ”────!!!! 》 》
────────ブワッッ!!!!!
何千、何万にもの人間の悲鳴が重なった様な鳴き声と共に、凄まじい魔力が噴出し、俺達はその余波の風で揃って後方へ吹き飛ばされてしまった。
「 うわぁぁぁぁ────!!!! 」
「 クピョ────────ッ!!!!( リーフさんの嘘つき────!! ) 」
「 ぷるるるるんッ!!!!( リーフさん間違ってます────!! ) 」
三人で悲鳴をあげると、あげ玉がいち早く体勢を立て直し俺の襟首を掴み、更に黒みつは直ぐに上級風魔法を展開し、その風を中和してくれる。
そして風が止んだ後、あげ玉は俺を背に戻しブンブンと首を振って乱れた自身の毛を整えた。
「 つ、強いぞ!あいつ! 」
俺ははぁはぁと息を乱しながら驚きの声を上げると、その蝶の顔達はニィィィ……と一斉に笑いだした。
《 ギャは はは ハハハ ────ギャギャッ はははははは……
────ハハッ ぎゃっはハッ ハッハ──────── !!!!! 》
腹にズドンッ!とくる強者の気配!
俺が作った失敗作の様な外見のくせに強いなんてありか!?
笑い声がうるさくて耳を塞ぎ、キィィ~!!と悔しさに顔を顰めると、レオンが ” 終わった? ” とばかりにストンと後ろに帰ってきて、よしよしと頭を撫でてくる。
「 な、何なんだ……あの形……。
────まさか……っ! 」
徐々に顕になっていくその形は、大きく丸に近い楕円形になっていき、凹凸ができていく。
そしてその凹凸から目、鼻、口らしきモノが出現すると、それが巨大な人の顔である事に気づき、ゾォォォ────……と背筋が凍りついた。
その顔は男か女かは分からないが人間の顔をしていて、何故か逆さまにくっついている。
つまり全体の形としては、巨大な逆さまの人の顔に沢山の手や目、口などがくっついた蝶の羽が、その左右から生えている様な形である。
更にその巨大な顔の頬や額、鼻や耳部分の方にも、まるで膨れた瘤の様に、沢山の小さな人間の顔がくっついているもんだから、目玉がポポ──ンッ!と飛び出す勢いで驚いてしまった。
それでもまだそのくっついている顔がニッコリ笑顔なら、恐怖が軽減されたかもしれないが、その全てが苦悶の表情をしていて、口からは《 あぁぁあ”あ”あ”~~~ 》という、うめき声が絶えず聞こえている状態だ。
「 ひ……人の顔がいっぱいついてる……。
それに…バラバラに喋っているし……もしかして、あれ全部に意思があるのか……? 」
そう呟くと、中央についている巨大な顔と他の小さな顔達、そして羽の部分に変わらずくっていている沢山の目達は、一斉に俺達の方を見た。
俺とあげ玉、黒みつの三人はそれにヒェぇぇ────っ!!!と悲鳴をあげるが────俺はその醜悪な姿に何となくデジャブを感じ、突然昔の思い出が頭にブワッと蘇る。
前世から変わらぬ俺の特性の一つ ” 手先が不器用 ”
それは工作などで遺憾なく発揮され、小さい頃からそれに対し良い評価を貰った事がない。
だが、孤児院で働くからにはその苦手な工作が必要とされる事が多くて困った自体になる事が多々あった。
” 放課後クラブ ” という先生達と子供たちが一緒に工作をする時間に、俺は粘土で子供たちや先生達の顔を作って飾る事にしたのだが、これが本当に酷い出来で……。
俺や先生たち、子供たちの顔をニッコリ笑顔にしたつもりが全て不気味なニヤケ顔。
見ようによっては苦悶の表情にも見え、それらの集合体となった粘土の塊はちょっとした地獄絵図となってしまった。
おっと、これはまずい!
そう焦った俺は、可愛いの代名詞である蝶の鮮やかな羽をその顔の集合体の左右につけて、更に拾ってきた沢山の花で飾り付けたが、それが不気味さを加速させ、周りに花を置くことでまるでお化けを祀る祭壇の様に……。
子供たちはそれを見て全員ギャン泣きだし、他の先生達は苦笑いしながらそれを撤去した。
そんな完全なる失敗作に眼の前のヤツはそっくり。
それが俺の心に余裕を生んだ。
「 フッフッフッ~。あげ玉、黒みつ、安心したまえ。
あいつは進化に失敗したようだ。
要は不完全体というヤツだよ。
つまりあいつは弱い!!俺達勝てるよ! 」
自信満々にそう宣言すると、あげ玉と黒みつはソロ~……と俺の方へ視線を向けて ” え~?本当に? ” という疑いの目を向けてくる。
俺は安心させるように大きく頷き、そのままギョロギョロと目を動かす蝶の化け物の顔部分を指さした。
「 見てご覧よ、あいつの顔を!
逆さまだし、とってつけたようにごっちゃりしているだろう?
あれはね、失敗作だからなんだ。
失敗したら全部ああなる。だから大丈夫だよ。良かった良かった~。 」
ホッと安堵の息を吐く俺を見て、二人は。ええ~────……とちょっと信じがたい様な様子でお互い顔を見合わせたが、結局最後は小さく頷く。
「 クピョピョピョ……。( まぁリーフさんがそう言うなら……。 ) 」
「 プルプルぷるるんッ……。( 明らかに強そうだけど、そうなのかな……? ) 」
二人は身体を震わせ納得しかけていた、その時────
《 《 ミ”ア”ぁ”あ”ああぁぁぁ”ぁ”ぁ”ぁ”────────ッッ”あ”あ”────!!!! 》 》
────────ブワッッ!!!!!
何千、何万にもの人間の悲鳴が重なった様な鳴き声と共に、凄まじい魔力が噴出し、俺達はその余波の風で揃って後方へ吹き飛ばされてしまった。
「 うわぁぁぁぁ────!!!! 」
「 クピョ────────ッ!!!!( リーフさんの嘘つき────!! ) 」
「 ぷるるるるんッ!!!!( リーフさん間違ってます────!! ) 」
三人で悲鳴をあげると、あげ玉がいち早く体勢を立て直し俺の襟首を掴み、更に黒みつは直ぐに上級風魔法を展開し、その風を中和してくれる。
そして風が止んだ後、あげ玉は俺を背に戻しブンブンと首を振って乱れた自身の毛を整えた。
「 つ、強いぞ!あいつ! 」
俺ははぁはぁと息を乱しながら驚きの声を上げると、その蝶の顔達はニィィィ……と一斉に笑いだした。
《 ギャは はは ハハハ ────ギャギャッ はははははは……
────ハハッ ぎゃっはハッ ハッハ──────── !!!!! 》
腹にズドンッ!とくる強者の気配!
俺が作った失敗作の様な外見のくせに強いなんてありか!?
笑い声がうるさくて耳を塞ぎ、キィィ~!!と悔しさに顔を顰めると、レオンが ” 終わった? ” とばかりにストンと後ろに帰ってきて、よしよしと頭を撫でてくる。
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