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第三十一章

1028 最終決戦

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( カルパス )

< 蟲女人の資質 >(ユニーク固有スキル)

< 虫魂同化 >

自身の取り込んだ虫種の魂を生贄に捧げる事で、自分の身体の構造を変化させ驚異的なパワーUPを果たす特殊系強化系スキル

その際、生贄にした虫種の数が多いほど、強化するステータス値は大きく様々な能力も得る事ができる

( 発現条件 )

一定以上のステータス値、精神汚染度、冷酷、残忍、を持つこと

一定回数以上の虫類の命を奪い、それに愉快の感情を感じる事



巨大な蜘蛛に変化したレイナは、巨大な足を私に向かって振り下ろす。


────バキバキバキッ────────!!!!!


先ほど同様、物凄いパワーで振り下ろされた足は地面を抉り、攻撃を避けた私の頬に風による傷を作る。


直撃すれば即死だな……。


汗が額から顎に向かって伝い、初めて焦りを見せる私を見て、レイナがニヤついた顔のまま攻撃の乱舞を仕掛けてきた。

そのまま続く攻撃を何とか避け続けるが、凄まじいパワーとスピードのその攻撃により、全く反撃ができずに守りに徹する事しかできない。

それにより少しづつ身体に小さな傷ができ、じわじわと追い詰められていった。


「 ほらほら~♡避けているだけじゃ~体中刻まれちゃうわよ~?

あっはっは~!その姿、まるで無力な羽虫ね~。

そのまま逃げ回りながらバラバラになっちゃえ~♡ 」


クロとペロも即座に動いて戦いに参戦するも、レイナの勢いは止まらず攻撃に転じる事ができない。

防戦一方でレイナの攻撃を避け続けたが、とうとうギルドの建物の壁際に追い詰められた私は、脇腹を押さえて大きく口元を上に上げているレイナを見上げた。

すると、レイナは大声で高笑いをして私をビシッと指さす。


「 追い詰めたわよぉ~カルパスぅぅぅぅ~。

もう貴方は終わり。そのままバリバリと頭から食ってやるわ。

でもこれは嬉しい事なのよぉ?

より優れた種に取り込んで貰えるなんて、最高の終わり方じゃな~い♡

この美しく優秀なこの私の一部になれるのだから、光栄に思いなさいな。 」


その言葉に私は吹き出し、クックックッと笑い出すと、レイナは明らかに気分を害した様で、額に青筋がピキッ!!と走った。


「 ……な~に?

どうしようもできない現実に壊れちゃったのかしら? 」


「 いやはや……自分の事をそこまで分からないのも一つの才能だな。

今のお前の姿を美しいと思う者など誰もいないだろうよ。

少しは自身のそのおぞましい姿に目を向けたらどうだ?

綺羅びやかに見える上辺だけの現実しか見えなくなってしまったお前の目には……今の欲望に飲まれたその姿が綺麗に見えるのか。

それが欲に飲まれた人間の末路だ。 」


レイナはストンッと表情を失くし、私に向かって無言で巨大な足を振り下ろす。

そしてその足が私の頭に到達しようとした、その時────その足はギリギリの所で止まってそれ以上動かなくなった。


「 ────えっ……??

……やだ、嘘……?な、何で???何で身体が動かない……の?? 」


不思議そうに自分の動かぬ足と身体を見つめ、何とか動かそうとするレイナだったが、直ぐに振り下ろそうとしていた足はボロボロと砂の様に崩れ落ちてしまう。


「 ぎゃ、ぎゃああああぁぁぁぁぁぁ────────!!!!!

私のっ……私の美しい足があぁぁぁぁぁ────────!!!!

────な、何で??!何で??!!

い、痛いぃぃぃぃ~~っ痛い痛い痛いぃぃぃぃ────────!!!! 」


取れてしまった足を引っ込め痛みに絶叫を上げるレイナを眺めながら、私はゆっくりと服についた汚れをパッパッとはたいた。

すると痛みに大きく歪んだ顔でレイナが私を睨む。


「 クソ野郎がっ!!!私の身体に何をしやがったぁぁぁぁっ!!!! 」


「 …………。 」


私はその目を真正面から見据えながら、無言でパチンッと指を弾いた。

するとレイナの胸の穴から一匹の蜂に似たモンスターが飛び出してきて、私の指に止まると、その姿を徐々に変え小さな緑色のカブトムシ型モンスターへと形を変える。


「 カ……カメレオン……カブト…… 」


「 御名答。こいつは【 擬態 】が得意なGランクモンスターだ。

こいつの【 擬態 】は姿形は勿論、その魔力さえも隠してしまうため、それを見破るのは難しい。

そしてこいつのもう一つの特性は【 托卵 】だ。

擬態したモンスターや生物の巣に入り込み、少しずつその種を食べては自身の擬態させたモンスターをその巣の中で増やしていく。

そうして巣は最終的に乗っ取られるというわけだ。


────時間はかなり掛かるがな。 」



< カメレオン・カブト >

体長20cm程のカブト虫型Gランクモンスター

擬態が得意でターゲットに決めた虫種の姿形は勿論の事、その固有生態魔力さえも隠してしまうため、その正体を見破るのは非常に難しい

その擬態を生かして子孫繁栄時には、特殊な ” 托卵 ” をする特性を持っていて、あらかじめターゲットの虫種に擬態し、巣の中のターゲット種を捕食しながらあっという間に巣を乗っ取り、自身の生んだ子供達を擬態させその種に世話をさせる



「 ……そ、そんな……い、いつ──── 」


驚愕に目を見開くレイナに私はニヤッと笑った。


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