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第三十章
1004 過去
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( レイナ )
「 レイナ、初めて会った時、君はとても強く美しかった。
情報によって自分と同じ目に合う人を失くしたいと、そんな正義を掲げて必死に努力する姿を尊敬していたよ。
良き友、そして良き同僚としてこれからも共に戦っていけるとそう思っていたが────君は変わってしまった。 」
「 はぁ~?何?
カルパスってあんな冴えなくて地味な感じが好きだったの?
趣味悪すぎでしょ~。 」
鼻で笑いながら馬鹿にしていると、カルパスは、はぁ~……とため息をついた。
「 外面的な美しさなど私にとっては重要なモノではない。
私が言っているのは内面的な美しさの事だ。
正直今の君には何一つ魅力を感じない。
そんな安い欲望に負けてしまった君にはね。 」
「 ──────っなっ!!! 」
私はカルパスの言葉を聞き、今までの自分の努力も苦労も全てを否定された様な気分になり、カァァァ~ッ!!と頭に血が昇っていく。
ワナワナと震える私をやはり無表情で見下ろしながら、カルパスは続けて言った。
「 ────レイナ、今ならギリギリ間に合う。
それ以上進めば待つのは破滅だぞ。
それでも君は、そんなまやかしの美しい世界を取るのか? 」
カッ!!となった私は、カルパスのすまし顔を思い切り叩き怒りの形相で怒鳴り散らす。
「 ふっざけんじゃねぇ──よっ!!!
今の私に魅力がない?
お前程度の男にそんな偉そうな事言われたくねぇんだよ!!
馬鹿みたいに正義感を振りかざして悦に入ってる変態野郎がっ!!! 」
「 …………。 」
カルパスはやはり無表情のまま、動じる様子がなくただ黙っていた。
それを見て更に怒りが湧いたが────
” こんな男に付き合わなくてももっともっといい男が私の周りには沢山いる ”
そう思えば波が引くように怒りの感情は消える。
「 ────あ~あっ!すっかり気分悪くなっちゃった。
この私がせっかく誘ってやったのに。
もういいわ。もっといい男なんて掃いて捨てるほどいるんだから。
バイバ~イ、不能男さん♡ 」
正義を振りかざすしか脳がない、こんなつまらない男に構う時間が勿体ない。
そう思い手を振りながら、カルパスに背を向ける。
そして出ていこうとしたのだが、私の背中に向かってカルパスは静かに言った。
「 ────次はないぞ。レイナ。 」
初めて聞くような真剣な声色であったが、既にカルパスに興味をなくしていた私の耳には一切入る事はなかった。
私を拒否する様な男は、私が創る完璧な世界には必要ない。
そのルールに基づき、私はその日から徹底的にカルパスを避けるようになっていった。
そしてコソコソと貴族に有利になる様な情報を流しては ” お小遣い ” を貰い、世界を輝かせてくれる沢山のアイテムを買い揃える。
キラキラ……。
キラキラ────……。
私の世界はお気に入りの宝石達の様にどんどんと美しく光り輝き、永遠にそれが続いていく────そう思っていたのに………
ある日、王都の商業街で、話題になっているお店のチェックをしにいった時の事。
「 ────レイナっ!!! 」
突然どこかで聞き覚えのある男性の声が聞こえ、後ろを振り返ると……
そこには、ヒョロヒョロの身体に薄汚い格好をした、特に記憶にも残らない様な平凡な顔をした男が立っていた。
更に左足は欠損している様で、一番安い木製の義足を嵌めている。
何こいつ……?
気持ち悪っ~。
” 嫌なものを見てしまった。 ”
そう思った私は顔を顰め直ぐに無視して行こうとしたが、それに全く気づかない男はボロボロと泣き始め、私に再度話しかけてきた。
「 レイナ!俺だよ!!君の婚約者のトマスだ!
ずっと……ずっと君を探していてっ……どんな姿になっていたって生きていてくれるならって……
本当に良かったっ……!! 」
そのまま泣きづつける男は、かつて婚約していた幼馴染のトマスであったらしい。
街が全滅した後、生存者はほぼゼロでトマスも死亡したと記録されていたのに……?
情報の食い違いに少々首を傾げたが、まぁ今となってはどうでも良いこと。
寧ろ死んでいると思われていたからこそ、今があるのだから感謝しないと。
フンッと鼻を鳴らし、自身の幸運を喜んだ。
そしてチラッともう一度トマスを上から下まで見つめ、げぇ~とその汚らしさに吐き気を催す。
私に話しかけてくるなんてなんて図々しい男なんだろう。
こんな男と知り合いなどと思われてしまえば私の格が下がってしまう。
そればかりが頭をグルグルと回っているのに、トマスは聞いてもない今までの経緯について詳しく話し出した。
「 レイナ、初めて会った時、君はとても強く美しかった。
情報によって自分と同じ目に合う人を失くしたいと、そんな正義を掲げて必死に努力する姿を尊敬していたよ。
良き友、そして良き同僚としてこれからも共に戦っていけるとそう思っていたが────君は変わってしまった。 」
「 はぁ~?何?
カルパスってあんな冴えなくて地味な感じが好きだったの?
趣味悪すぎでしょ~。 」
鼻で笑いながら馬鹿にしていると、カルパスは、はぁ~……とため息をついた。
「 外面的な美しさなど私にとっては重要なモノではない。
私が言っているのは内面的な美しさの事だ。
正直今の君には何一つ魅力を感じない。
そんな安い欲望に負けてしまった君にはね。 」
「 ──────っなっ!!! 」
私はカルパスの言葉を聞き、今までの自分の努力も苦労も全てを否定された様な気分になり、カァァァ~ッ!!と頭に血が昇っていく。
ワナワナと震える私をやはり無表情で見下ろしながら、カルパスは続けて言った。
「 ────レイナ、今ならギリギリ間に合う。
それ以上進めば待つのは破滅だぞ。
それでも君は、そんなまやかしの美しい世界を取るのか? 」
カッ!!となった私は、カルパスのすまし顔を思い切り叩き怒りの形相で怒鳴り散らす。
「 ふっざけんじゃねぇ──よっ!!!
今の私に魅力がない?
お前程度の男にそんな偉そうな事言われたくねぇんだよ!!
馬鹿みたいに正義感を振りかざして悦に入ってる変態野郎がっ!!! 」
「 …………。 」
カルパスはやはり無表情のまま、動じる様子がなくただ黙っていた。
それを見て更に怒りが湧いたが────
” こんな男に付き合わなくてももっともっといい男が私の周りには沢山いる ”
そう思えば波が引くように怒りの感情は消える。
「 ────あ~あっ!すっかり気分悪くなっちゃった。
この私がせっかく誘ってやったのに。
もういいわ。もっといい男なんて掃いて捨てるほどいるんだから。
バイバ~イ、不能男さん♡ 」
正義を振りかざすしか脳がない、こんなつまらない男に構う時間が勿体ない。
そう思い手を振りながら、カルパスに背を向ける。
そして出ていこうとしたのだが、私の背中に向かってカルパスは静かに言った。
「 ────次はないぞ。レイナ。 」
初めて聞くような真剣な声色であったが、既にカルパスに興味をなくしていた私の耳には一切入る事はなかった。
私を拒否する様な男は、私が創る完璧な世界には必要ない。
そのルールに基づき、私はその日から徹底的にカルパスを避けるようになっていった。
そしてコソコソと貴族に有利になる様な情報を流しては ” お小遣い ” を貰い、世界を輝かせてくれる沢山のアイテムを買い揃える。
キラキラ……。
キラキラ────……。
私の世界はお気に入りの宝石達の様にどんどんと美しく光り輝き、永遠にそれが続いていく────そう思っていたのに………
ある日、王都の商業街で、話題になっているお店のチェックをしにいった時の事。
「 ────レイナっ!!! 」
突然どこかで聞き覚えのある男性の声が聞こえ、後ろを振り返ると……
そこには、ヒョロヒョロの身体に薄汚い格好をした、特に記憶にも残らない様な平凡な顔をした男が立っていた。
更に左足は欠損している様で、一番安い木製の義足を嵌めている。
何こいつ……?
気持ち悪っ~。
” 嫌なものを見てしまった。 ”
そう思った私は顔を顰め直ぐに無視して行こうとしたが、それに全く気づかない男はボロボロと泣き始め、私に再度話しかけてきた。
「 レイナ!俺だよ!!君の婚約者のトマスだ!
ずっと……ずっと君を探していてっ……どんな姿になっていたって生きていてくれるならって……
本当に良かったっ……!! 」
そのまま泣きづつける男は、かつて婚約していた幼馴染のトマスであったらしい。
街が全滅した後、生存者はほぼゼロでトマスも死亡したと記録されていたのに……?
情報の食い違いに少々首を傾げたが、まぁ今となってはどうでも良いこと。
寧ろ死んでいると思われていたからこそ、今があるのだから感謝しないと。
フンッと鼻を鳴らし、自身の幸運を喜んだ。
そしてチラッともう一度トマスを上から下まで見つめ、げぇ~とその汚らしさに吐き気を催す。
私に話しかけてくるなんてなんて図々しい男なんだろう。
こんな男と知り合いなどと思われてしまえば私の格が下がってしまう。
そればかりが頭をグルグルと回っているのに、トマスは聞いてもない今までの経緯について詳しく話し出した。
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