1,009 / 1,315
第三十章
994 めでたしめでたし
しおりを挟む
( 冒険者の男 )
「 俺だって今直ぐそんなモノ捨ててやりますから!!任せて下さい!!
それに聖職者様達はよく言ってるじゃないですかぁぁ~。
” 人は皆平等で、己の罪は善行をもって償うべき ” ってぇぇ~。 」
「 俺達心の底から反省してるんで!
これからは真っ当に生き、弱き人々のため、身を粉にして働きますぅぅ~。
その方が世のため人のため………だろぉ~? 」
そうして更にボロボロと泣いて同情を誘う俺達に対し、ヨセフ司教はもう一度ため息をつき、そんな俺達に言った。
・・
「 やれやれ。貴方達の誠意とやらは理解しました。
いいでしょう。これからは必ず弱き者達のため必死に善行を行い、己の大きすぎる罪を償ってごらんなさい。
では、今直ぐその移転リングでこの街から避難して下さいね。
────くれぐれもこれ以上悪事を働いてはいけませんよ。 」
念を押す言葉に俺達は「「「「 はいっ!! 」」」」と大きく頷き、そのままペコペコと頭を下げて< 移転リング >を発動させる。
すると一瞬で着いたのは、安全で平和な辺境の田舎街。
直ぐに人気のない裏路地に避難し、俺達は同時に、ほぉ~~………と息を吐き出した。
「 クソっ!あおのヨセフ司教を雑魚野郎って言ってた奴、誰だよ。
あんなつえぇなんて聞いてねぇぞ! 」
「 諜報担当の奴だろ。……まぁ、よく考えればそもそも司教に上り詰めるくらいだ。
そりゃ~やべぇ能力の一つや二つ、持ってても不思議じゃねぇ。
しくじったな。 」
仲間達は助かったと同時に吹き出る不満をブツブツと呟くと、一人の仲間が腕を擦りながらフルっ……と体を震わせる。
「 ………まだ体の震えが収まらねぇよ。
あの痛み………幻なんかじゃなかった。
神経に直にくるあの痛み……もう二度と味わいたくねぇ。 」
「 何の能力かは知らねぇが、前もってモンスターの一匹でも連れて行きゃ良かったな。
あのすました顔、ホントにムカつくぜ。
今直ぐモンスターを連れてリベンジに……と言いたい所だが────どうせこのまま奴はグリモアでおさらばだろう。
────ちっ!!イライラすんな、畜生がっ!! 」
────ガンッ!!
最後は怒鳴る様にそう言った仲間の一人が、イライラをぶつける様に近くにあった鉄製のゴミ箱を蹴飛ばすと、突然遠くの空が────カッ!!!と光り輝いた。
「 なっ、なんだ!! 」
ざわつく俺達と街の住人達が光る空を見上げると、その光はどんどんと空に広がっていき、やがて静かに消えていく。
一体何が……??!
仲間たちが動揺している中、俺はハッ!とある事に気づき大声で叫んだ。
「 もしかしてあれが【 聖令浄化 】ってやつじゃねぇの?!
……って事は──── 」
「 あの化け物もクソ司教も死んだって事かっ!!! 」
俺の言葉を遮り一人の仲間が叫ぶと、ワッ!!と一斉に歓声が上がる。
これで俺達を脅かすモノはなくなった!
それを理解して喜んだが、フッとナックルの旦那の事を思い出す。
「 ────あ~……でもよぉ、ナックルの旦那は?
見当たらなくね? 」
「 逃げ遅れたんじゃね~の?
────まっ、それなりに楽しく稼がせて貰ったしボチボチ潮時か~って所だったからいっか~。
それによぉ~もしかしたら、ナックルの旦那がいない分、分け前増えるかもしれねぇじゃん。ラッキー♡ 」
ハハハッ!!と笑い合う俺達は、それぞれが腹黒い思いに内心ほくそ笑んだ。
仲間など、その時自身が楽をするためのただの手段。
特を得るために使う便利な道具でしかないため、それが失くなればまた新たな ” 仲間 ” を見つけて甘い汁を吸えばいい。
俺達は平和ボケしている様子の街民達を見渡し、ニヤリッと笑う。
これから報酬として巨額の金が手に入る予定だが、今手元に金がない。
ならどうするか?
それはいつも通りに手に入れればいいだけだ。
俺達はお互い目配せしながら比較的裕福そうな男を見つけると、人気のない道に入った所を狙い、俺は背後から口を塞ぎ喉を掻っ切った。
そして倒れた男のポーチから金の入った袋を取り出すと、そのまま酒が飲める店へ向かう。
そしてこの街で一番の金持ちの家を聞き出すと、夜中にその家を襲い……家族ごと全員始末した。
「 さぁ~これからどうするか? 」
家に溜め込んであった金目のモノを集めながらそう言えば、他の仲間たちから様々な意見が飛び交う。
そして最終的に決定したのは────
” とりあえずこの集めた金は山分け ”
” 後は散り散りになって逃亡、潜伏 ”
散り散りになってしまえば足がつきにくく、みつかった所で捕まえるのは難しい。
その後は巨額の金が手に入っているはずなので、そうすればこんな田舎町の殺人など、上役にいくらか握らせれば直ぐに無罪放免となるはずだ。
仲間同士目を合わせて笑い合い、その場で解散した。
俺達の人生はその後も相変わらずの ” いつも通り ”
その時その時に虐げた人々、自身の快楽のために命を奪ってきた人々、自身の得のために犠牲にしてきた人々、その全てを過去のモノにしながら俺達は生きていく。
そうして新たな犠牲者を生み出してはその全てを忘れ────
悪逆非道の手下達はいつまでもいつまでも幸せに暮らしましたとさ。
「 俺だって今直ぐそんなモノ捨ててやりますから!!任せて下さい!!
それに聖職者様達はよく言ってるじゃないですかぁぁ~。
” 人は皆平等で、己の罪は善行をもって償うべき ” ってぇぇ~。 」
「 俺達心の底から反省してるんで!
これからは真っ当に生き、弱き人々のため、身を粉にして働きますぅぅ~。
その方が世のため人のため………だろぉ~? 」
そうして更にボロボロと泣いて同情を誘う俺達に対し、ヨセフ司教はもう一度ため息をつき、そんな俺達に言った。
・・
「 やれやれ。貴方達の誠意とやらは理解しました。
いいでしょう。これからは必ず弱き者達のため必死に善行を行い、己の大きすぎる罪を償ってごらんなさい。
では、今直ぐその移転リングでこの街から避難して下さいね。
────くれぐれもこれ以上悪事を働いてはいけませんよ。 」
念を押す言葉に俺達は「「「「 はいっ!! 」」」」と大きく頷き、そのままペコペコと頭を下げて< 移転リング >を発動させる。
すると一瞬で着いたのは、安全で平和な辺境の田舎街。
直ぐに人気のない裏路地に避難し、俺達は同時に、ほぉ~~………と息を吐き出した。
「 クソっ!あおのヨセフ司教を雑魚野郎って言ってた奴、誰だよ。
あんなつえぇなんて聞いてねぇぞ! 」
「 諜報担当の奴だろ。……まぁ、よく考えればそもそも司教に上り詰めるくらいだ。
そりゃ~やべぇ能力の一つや二つ、持ってても不思議じゃねぇ。
しくじったな。 」
仲間達は助かったと同時に吹き出る不満をブツブツと呟くと、一人の仲間が腕を擦りながらフルっ……と体を震わせる。
「 ………まだ体の震えが収まらねぇよ。
あの痛み………幻なんかじゃなかった。
神経に直にくるあの痛み……もう二度と味わいたくねぇ。 」
「 何の能力かは知らねぇが、前もってモンスターの一匹でも連れて行きゃ良かったな。
あのすました顔、ホントにムカつくぜ。
今直ぐモンスターを連れてリベンジに……と言いたい所だが────どうせこのまま奴はグリモアでおさらばだろう。
────ちっ!!イライラすんな、畜生がっ!! 」
────ガンッ!!
最後は怒鳴る様にそう言った仲間の一人が、イライラをぶつける様に近くにあった鉄製のゴミ箱を蹴飛ばすと、突然遠くの空が────カッ!!!と光り輝いた。
「 なっ、なんだ!! 」
ざわつく俺達と街の住人達が光る空を見上げると、その光はどんどんと空に広がっていき、やがて静かに消えていく。
一体何が……??!
仲間たちが動揺している中、俺はハッ!とある事に気づき大声で叫んだ。
「 もしかしてあれが【 聖令浄化 】ってやつじゃねぇの?!
……って事は──── 」
「 あの化け物もクソ司教も死んだって事かっ!!! 」
俺の言葉を遮り一人の仲間が叫ぶと、ワッ!!と一斉に歓声が上がる。
これで俺達を脅かすモノはなくなった!
それを理解して喜んだが、フッとナックルの旦那の事を思い出す。
「 ────あ~……でもよぉ、ナックルの旦那は?
見当たらなくね? 」
「 逃げ遅れたんじゃね~の?
────まっ、それなりに楽しく稼がせて貰ったしボチボチ潮時か~って所だったからいっか~。
それによぉ~もしかしたら、ナックルの旦那がいない分、分け前増えるかもしれねぇじゃん。ラッキー♡ 」
ハハハッ!!と笑い合う俺達は、それぞれが腹黒い思いに内心ほくそ笑んだ。
仲間など、その時自身が楽をするためのただの手段。
特を得るために使う便利な道具でしかないため、それが失くなればまた新たな ” 仲間 ” を見つけて甘い汁を吸えばいい。
俺達は平和ボケしている様子の街民達を見渡し、ニヤリッと笑う。
これから報酬として巨額の金が手に入る予定だが、今手元に金がない。
ならどうするか?
それはいつも通りに手に入れればいいだけだ。
俺達はお互い目配せしながら比較的裕福そうな男を見つけると、人気のない道に入った所を狙い、俺は背後から口を塞ぎ喉を掻っ切った。
そして倒れた男のポーチから金の入った袋を取り出すと、そのまま酒が飲める店へ向かう。
そしてこの街で一番の金持ちの家を聞き出すと、夜中にその家を襲い……家族ごと全員始末した。
「 さぁ~これからどうするか? 」
家に溜め込んであった金目のモノを集めながらそう言えば、他の仲間たちから様々な意見が飛び交う。
そして最終的に決定したのは────
” とりあえずこの集めた金は山分け ”
” 後は散り散りになって逃亡、潜伏 ”
散り散りになってしまえば足がつきにくく、みつかった所で捕まえるのは難しい。
その後は巨額の金が手に入っているはずなので、そうすればこんな田舎町の殺人など、上役にいくらか握らせれば直ぐに無罪放免となるはずだ。
仲間同士目を合わせて笑い合い、その場で解散した。
俺達の人生はその後も相変わらずの ” いつも通り ”
その時その時に虐げた人々、自身の快楽のために命を奪ってきた人々、自身の得のために犠牲にしてきた人々、その全てを過去のモノにしながら俺達は生きていく。
そうして新たな犠牲者を生み出してはその全てを忘れ────
悪逆非道の手下達はいつまでもいつまでも幸せに暮らしましたとさ。
205
お気に入りに追加
1,993
あなたにおすすめの小説
聖女召喚!……って俺、男〜しかも兵士なんだけど?
バナナ男さん
BL
主人公の現在暮らす世界は化け物に蹂躙された地獄の様な世界であった。
嘘か誠かむかしむかしのお話、世界中を黒い雲が覆い赤い雨が降って生物を化け物に変えたのだとか。
そんな世界で兵士として暮らす大樹は突然見知らぬ場所に召喚され「 世界を救って下さい、聖女様 」と言われるが、俺男〜しかも兵士なんだけど??
異世界の王子様( 最初結構なクズ、後に溺愛、執着 )✕ 強化された平凡兵士( ノンケ、チート )
途中少々無理やり的な表現ありなので注意して下さいませm(。≧Д≦。)m
名前はどうか気にしないで下さい・・
勇者パーティーハーレム!…の荷物番の俺の話
バナナ男さん
BL
突然異世界に召喚された普通の平凡アラサーおじさん< 山野 石郎 >改め【 イシ 】
世界を救う勇者とそれを支えし美少女戦士達の勇者パーティーの中・・俺の能力、ゼロ!あるのは訳の分からない< 覗く >という能力だけ。
これは、ちょっとしたおじさんイジメを受けながらもマイペースに旅に同行する荷物番のおじさんと、世界最強の力を持った勇者様のお話。
無気力、性格破綻勇者様 ✕ 平凡荷物番のおじさんのBLです。
不憫受けが書きたくて書いてみたのですが、少々意地悪な場面がありますので、どうかそういった表現が苦手なお方はご注意ください_○/|_ 土下座!
【完結済】(無自覚)妖精に転生した僕は、騎士の溺愛に気づかない。
キノア9g
BL
完結済。騎士エリオット視点を含め全10話(エリオット視点2話と主人公視点8話構成)
エロなし。騎士×妖精
※主人公が傷つけられるシーンがありますので、苦手な方はご注意ください。
気がつくと、僕は見知らぬ不思議な森にいた。
木や草花どれもやけに大きく見えるし、自分の体も妙に華奢だった。
色々疑問に思いながらも、1人は寂しくて人間に会うために森をさまよい歩く。
ようやく出会えた初めての人間に思わず話しかけたものの、言葉は通じず、なぜか捕らえられてしまい、無残な目に遭うことに。
捨てられ、意識が薄れる中、僕を助けてくれたのは、優しい騎士だった。
彼の献身的な看病に心が癒される僕だけれど、彼がどんな思いで僕を守っているのかは、まだ気づかないまま。
少しずつ深まっていくこの絆が、僕にどんな運命をもたらすのか──?
いいねありがとうございます!励みになります。
大好きなBLゲームの世界に転生したので、最推しの隣に居座り続けます。 〜名も無き君への献身〜
7ズ
BL
異世界BLゲーム『救済のマリアージュ』。通称:Qマリには、普通のBLゲームには無い闇堕ちルートと言うものが存在していた。
攻略対象の為に手を汚す事さえ厭わない主人公闇堕ちルートは、闇の腐女子の心を掴み、大ヒットした。
そして、そのゲームにハートを打ち抜かれた光の腐女子の中にも闇堕ちルートに最推しを持つ者が居た。
しかし、大規模なファンコミュニティであっても彼女の推しについて好意的に話す者は居ない。
彼女の推しは、攻略対象の養父。ろくでなしで飲んだくれ。表ルートでは事故で命を落とし、闇堕ちルートで主人公によって殺されてしまう。
どのルートでも死の運命が確約されている名も無きキャラクターへ異常な執着と愛情をたった一人で注いでいる孤独な彼女。
ある日、眠りから目覚めたら、彼女はQマリの世界へ幼い少年の姿で転生してしまった。
異常な執着と愛情を現実へと持ち出した彼女は、最推しである養父の設定に秘められた真実を知る事となった。
果たして彼女は、死の運命から彼を救い出す事が出来るのか──?
ーーーーーーーーーーーー
狂気的なまでに一途な男(in腐女子)×名無しの訳あり飲兵衛
【 完結 】お嫁取りに行ったのにキラキラ幼馴染にお嫁に取られちゃった俺のお話
バナナ男さん
BL
剣や魔法、モンスターが存在する《 女神様の箱庭 》と呼ばれる世界の中、主人公の< チリル >は、最弱と呼べる男だった。 そんな力なき者には厳しいこの世界では【 嫁取り 】という儀式がある。 そこで男たちはお嫁さんを貰う事ができるのだが……その儀式は非常に過酷なモノ。死人だって出ることもある。 しかし、どうしてもお嫁が欲しいチリルは参加を決めるが、同時にキラキラ幼馴染も参加して……? 完全無欠の美形幼馴染 ✕ 最弱主人公 世界観が独特で、男性にかなり厳しい世界、一夫多妻、卵で人類が産まれるなどなどのぶっ飛び設定がありますのでご注意してくださいm(__)m
奴隷商人は紛れ込んだ皇太子に溺愛される。
拍羅
BL
転生したら奴隷商人?!いや、いやそんなことしたらダメでしょ
親の跡を継いで奴隷商人にはなったけど、両親のような残虐な行いはしません!俺は皆んなが行きたい家族の元へと送り出します。
え、新しく来た彼が全く理想の家族像を教えてくれないんだけど…。ちょっと、待ってその貴族の格好した人たち誰でしょうか
※独自の世界線
精霊の港 飛ばされたリーマン、体格のいい男たちに囲まれる
風見鶏ーKazamidoriー
BL
秋津ミナトは、うだつのあがらないサラリーマン。これといった特徴もなく、体力の衰えを感じてスポーツジムへ通うお年ごろ。
ある日帰り道で奇妙な精霊と出会い、追いかけた先は見たこともない場所。湊(ミナト)の前へ現れたのは黄金色にかがやく瞳をした美しい男だった。ロマス帝国という古代ローマに似た巨大な国が支配する世界で妖精に出会い、帝国の片鱗に触れてさらにはドラゴンまで、サラリーマンだった湊の人生は激変し異なる世界の動乱へ巻きこまれてゆく物語。
※この物語に登場する人物、名、団体、場所はすべてフィクションです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる