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第二十八章
936 本当の才能
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( レイド )
《《 中途半端な80点男は、何をしても駄目。
それを直さない限り空っぽのままだ 》》
家族達の声が重なりながら俺にそう告げると、その空から次々と別の小さい手が生えてきては同様に俺を指差す。
” レイドはいいよな~ ”
《 空っぽで可哀想 》
” 恵まれていて羨ましい ”
《 程々で適当に生きるしかできなくて惨めだね 》
” 結局上に行き過ぎても苦労するしさ、レイドは実力もあるし要領もいいから幸せな人生送れそうだよな ”
《 一生上を見続けるだけなんて虚しいね。
嫌な事や興味がない事をすぐ投げ出して逃げ続ける事ができるなんて、本当にいい人生だな 》
次々と俺にぶつけられる言葉たちに、反論もできずにただ項垂れる。
そんな事は自分が一番よく分かってるんだ・・
目をギュッ!と閉じて、そのままゆっくり開けると、空から生えていた手達はすっかり消えていて、目の前には気合満々のメルがいた。
メルも俺も必死に理想を探している
納得できる自分の形を・・
俺たちは性格も気質も正反対なのに双子の様にそっくりだ。
何かを探して一つを極めるメル。
とにかく手当たり次第に手を伸ばして探す俺。
やり方は違えど目指す先は同じ。
ただその場所がどこなのかは、俺もメルも分からなかった。
そうしてライトノア学院を目指す事にした俺たちは、その目標に向かい切磋琢磨することになったわけだが、俺はこれから答えを探すための大冒険が始まると思っていたわけだ。
途方もなく長い時間の中、人生の全てを掛けて山あり谷あり・・・
行く手を阻む強敵との戦い、友の屍を越え、ありとあらゆる困難に足を取られ、その先にこそ答えがある、そう思っていたのだがーーーーなんともあっさり答えが見つかってしまう。
そのキッカケを持っていたのは、人族のリーフという同級生。
リーフは、最初に見たときから自分の勘にビシビシと引っかかる人物であったが、まさかこんなにあっさり自分の答えが見つかってしまうとは夢にも思わなかった。
ずっと駄目で変えないといけないと思っていた俺の性質も、リーフから見れば ” 個性 ”
自分とは全く違う目線で語られる自分の姿は、全然駄目じゃない!
アレもコレもソレも!
全部全部目についたモノは飛びついてもいいんだ。
それが ” 個性 ” で、俺の伸ばす能力なのだから。
それに気づくと、俺は沢山のモノをゴチャッ!と山積みにされている灰色の空間にいた。
” ここは何処だ?? ”
そんな疑問がわくより先に、目の前に山積みにされた面白そうなモノ達に俺の視線は釘付けに。
さっそく俺はワクワクしながらそれを手に取りーーー
” これとこれを繋げてみると楽しい! ”
” いやいや、あっちのとこっちのを合体させると面白いモノになりそうだ! ”
そんな事を考えながら、その場にある沢山のモノ達をあーでもないこーでもないと組み立てていき次々と色々なモノを形作っていく。
これが俺の本当の才能。
理想の自分の姿!
沢山のモノを集めて集めて、それを元に新たなモノを創り出していく。
それが俺の目指した先にあるモノで、なんとあんなにも探していた自分は今の自分だった・・な~んて、随分滑稽な話だと思った。
リーフに答えをあっさり見つけられた時、俺は情けない事に逆さまになって木にもたれかかっている状態で、更にリーフとメルに80点は取らせない!と宣戦布告され、レオンに0点を告げられて・・
クソー!俺だって~!!
そんな気持ちで起き上がろうとしたが、リーフは言いたいことだけ言ってあっという間に去っていってしまう。
ポカーーン・・としながらズルズルと下にズレて、よいしょっと上半身を起こすと、隣に座ったメルがボソッと話しかけてきた。
「 ・・メルの理想・・見つけてしまった・・
もうなってた。・・理想の自分・・ 」
「 お~・・奇遇だな。俺も見つかっちまった。
何か今の自分が理想だったみたいだ。 」
何だかその状況がおかしくて二人してプププッ・・と笑い合い、光り輝く< 星降り茸 >をを見上げながら、フッ・・と思い出す。
「 なんかよ~俺たちって【 星探しの双子 】みたいじゃね?
ベリーちゃんとキュイちゃんがお話してくれた絵本の。 」
「 ーーむむっ!・・確かに・・似ている・・ 」
” 剛腕ガールズカフェ ” の馴染みの店員さんの二人は、ちょっとマイナーな絵本シリーズが好きで集めているらしく、よくその絵本を持ってきては読み聞かせをしてくれた。
その中でついこの間、聞かせてくれた【 星探しの双子 】という話が今の俺たちにそっくりだったのだ。
《《 中途半端な80点男は、何をしても駄目。
それを直さない限り空っぽのままだ 》》
家族達の声が重なりながら俺にそう告げると、その空から次々と別の小さい手が生えてきては同様に俺を指差す。
” レイドはいいよな~ ”
《 空っぽで可哀想 》
” 恵まれていて羨ましい ”
《 程々で適当に生きるしかできなくて惨めだね 》
” 結局上に行き過ぎても苦労するしさ、レイドは実力もあるし要領もいいから幸せな人生送れそうだよな ”
《 一生上を見続けるだけなんて虚しいね。
嫌な事や興味がない事をすぐ投げ出して逃げ続ける事ができるなんて、本当にいい人生だな 》
次々と俺にぶつけられる言葉たちに、反論もできずにただ項垂れる。
そんな事は自分が一番よく分かってるんだ・・
目をギュッ!と閉じて、そのままゆっくり開けると、空から生えていた手達はすっかり消えていて、目の前には気合満々のメルがいた。
メルも俺も必死に理想を探している
納得できる自分の形を・・
俺たちは性格も気質も正反対なのに双子の様にそっくりだ。
何かを探して一つを極めるメル。
とにかく手当たり次第に手を伸ばして探す俺。
やり方は違えど目指す先は同じ。
ただその場所がどこなのかは、俺もメルも分からなかった。
そうしてライトノア学院を目指す事にした俺たちは、その目標に向かい切磋琢磨することになったわけだが、俺はこれから答えを探すための大冒険が始まると思っていたわけだ。
途方もなく長い時間の中、人生の全てを掛けて山あり谷あり・・・
行く手を阻む強敵との戦い、友の屍を越え、ありとあらゆる困難に足を取られ、その先にこそ答えがある、そう思っていたのだがーーーーなんともあっさり答えが見つかってしまう。
そのキッカケを持っていたのは、人族のリーフという同級生。
リーフは、最初に見たときから自分の勘にビシビシと引っかかる人物であったが、まさかこんなにあっさり自分の答えが見つかってしまうとは夢にも思わなかった。
ずっと駄目で変えないといけないと思っていた俺の性質も、リーフから見れば ” 個性 ”
自分とは全く違う目線で語られる自分の姿は、全然駄目じゃない!
アレもコレもソレも!
全部全部目についたモノは飛びついてもいいんだ。
それが ” 個性 ” で、俺の伸ばす能力なのだから。
それに気づくと、俺は沢山のモノをゴチャッ!と山積みにされている灰色の空間にいた。
” ここは何処だ?? ”
そんな疑問がわくより先に、目の前に山積みにされた面白そうなモノ達に俺の視線は釘付けに。
さっそく俺はワクワクしながらそれを手に取りーーー
” これとこれを繋げてみると楽しい! ”
” いやいや、あっちのとこっちのを合体させると面白いモノになりそうだ! ”
そんな事を考えながら、その場にある沢山のモノ達をあーでもないこーでもないと組み立てていき次々と色々なモノを形作っていく。
これが俺の本当の才能。
理想の自分の姿!
沢山のモノを集めて集めて、それを元に新たなモノを創り出していく。
それが俺の目指した先にあるモノで、なんとあんなにも探していた自分は今の自分だった・・な~んて、随分滑稽な話だと思った。
リーフに答えをあっさり見つけられた時、俺は情けない事に逆さまになって木にもたれかかっている状態で、更にリーフとメルに80点は取らせない!と宣戦布告され、レオンに0点を告げられて・・
クソー!俺だって~!!
そんな気持ちで起き上がろうとしたが、リーフは言いたいことだけ言ってあっという間に去っていってしまう。
ポカーーン・・としながらズルズルと下にズレて、よいしょっと上半身を起こすと、隣に座ったメルがボソッと話しかけてきた。
「 ・・メルの理想・・見つけてしまった・・
もうなってた。・・理想の自分・・ 」
「 お~・・奇遇だな。俺も見つかっちまった。
何か今の自分が理想だったみたいだ。 」
何だかその状況がおかしくて二人してプププッ・・と笑い合い、光り輝く< 星降り茸 >をを見上げながら、フッ・・と思い出す。
「 なんかよ~俺たちって【 星探しの双子 】みたいじゃね?
ベリーちゃんとキュイちゃんがお話してくれた絵本の。 」
「 ーーむむっ!・・確かに・・似ている・・ 」
” 剛腕ガールズカフェ ” の馴染みの店員さんの二人は、ちょっとマイナーな絵本シリーズが好きで集めているらしく、よくその絵本を持ってきては読み聞かせをしてくれた。
その中でついこの間、聞かせてくれた【 星探しの双子 】という話が今の俺たちにそっくりだったのだ。
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