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第二十八章
935 決意
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( レイド )
そうしてメルを連れてその話題のペリカンの場所に行ったわけだが・・まぁ、一言でいうとーーー ” 凄かった ”
俺とメルは他にもわらわら見学に来ている奴らにポイッとされてしまったが、転がされた先で、名残惜しそうにクンクンと匂いを嗅ぐ。
父が言っていたのだが、犬を祖に持つ獣人は特に人族に魅かれやすいらしく、両親はお互い愛し合っているにも関わらず、物凄く好みの人族に会ってしまうと、二人揃って腹を出して撫でて~とひっくり返ってしまうそう。
あの真面目な両親が・・?
それを聞いた時は、にわかには信じられなくてゴクリ・・とツバを飲み込んだが、二人はウットリとした顔で「「 あれはやばかった・・ 」」と言って尻尾をビタンビタン!と振っていた。
更に兄も、両親に付いてアルバード王国に入国した時、強烈に惹かれる人族に会ってしまい、仕事の事を忘れてフラフラとついて行ってしまったそうだ。
ハッ!と気がつけばムキムキの戦闘職の男に抱きついて尻尾を振っていたらしく、仕方ないな・・という様子で頭を撫でられていたと言っていた。
あのクソがつくくらい真面目で穏やかな兄が・・?
疑惑の目で見つめてしまったが、本人はキュンキュンと鳴きながら、その人に貰ったハンカチの匂いを嗅いでいた。
今回キーキー悔しがっていた姉の夢である守備隊も、実はこの人族が絡んでいて、守備隊は人族の守備隊との合同練習が定期的に行われているため、獣人国の守備隊はその貴重な出会いを沢山ゲットできる夢の職業なのだ。
そのため姉や守備隊のヤツらはそれを最大のモチベーションにしていると聞いた。
クンクン。
クンクンクン・・・。
宙に漂うこのいい匂い
確かにこれは皆夢中になるはずだと、俺は理由を理解する。
チラッと視線を上げれば、パン屋の窓に張り付いて ” いいな~いいな~ ” と尻尾をブンブン振っている獣人の大人たち。
それを見て俺はピンッ!ときた。
皆が夢中になれるモノ。
自分の心を掴んで離さないモノ。
それはもしかして俺の心もずっとずーーっと離さないでいてくれるだろうか・・?
俺にとって恋愛や結婚は遥か遠くにある未知なるもので、それが自分にどういった変化をもたらすのかは分からない。
可能性は無限大!
つまりそこに俺の100点があるのかもしれない。
そう考えた俺はがバッ!!と勢いよく立ち上がってメルに宣言した。
「 俺も人族のお嫁さん貰う!!
これからお嫁さん探すぞ!! 」
そう決意した俺はその後はメルと ” どうすれば人族のお嫁さんを貰えるか? ” について議論したのだが、やはり絶対に必要なのは ” 力 ” と ” 出会い ” だろうという結論に至る。
” 力 ” に至ってはとにかく鍛錬あるのみ。
だからこれはこれから頑張ればいいとして、次にポイントとなるのは ” 出会い ” だ。
法律的に仕事などの理由がなければ人族の国へは入れない。
しかし俺たちには非常にナイスタイミングな機会が一つだけあった。
ずばり!【 進学 】である。
人族の街にある中学院に合格すれば、晴れて人族の街に在住してよい許可が降りるのだ。
ただ、これにも厳しい法律が存在していて、受験するのが許されているのは現在三校のみ。
No.1中学院の【 ライトノア学院 】
そしてNo.2が王都にある【 ウィッチア学院 】
最後がNo.3の【 レゼプト学院 】
なぜこの三校か?という理由としては、この国が実力主義を掲げる国だからである。
要はーーーー
” 恋愛を求めて弱いヤツが進学なんざもっての外!
力を求めての進学のみ許してやる & 強いヤツは何しても、まぁいいよ! ”
ーーーって事。
非常にシンプルなその考えに則って、実力上位からトップ3の学院のみOKという法律が決められているというわけだ。
確かに学業そっちのけで弱いヤツが運良く人族の嫁をゲットしても、卒業後にその嫁を食わしていく事ができない。
獣人たるもの、それは最も恥ずべき行為であるため、メルと共にギラッ!と決意を込めた目でにらみ合った。
ならば目指せ!No.1!
俺たちが目指すのは【 ライトノア学院 】だ!!
言葉にせずともその想いを確かめあった、その時ーーーー突然頭の中に ” 声 ” が鳴り響いた。
” 一つの事を完璧にしてから次にいかないと全てが中途半端になる。
それは駄目だろう ”
” 集中して持続する事が大事なの。
そうしなければ何一つ自分のためにはならないわ。
何でもいいからこれだ!というモノを一つでいいから作ってみなさい ”
” 苦労した分だけそれに愛着が沸くからね。
あれもこれもだと全部簡単に捨てられる軽いモノになってしまうよ ”
” あんたって本当にムカつく!!
人が必死に努力していることをあっさりやってのけて、直ぐにそれをほっぽって他に行かれるとぶっ飛ばしたくなるわ!!
そんなにひょいひょい目に入るモノに飛びつくなんて、レイドは何も大切じゃないって事でしょ!
中身が空っぽ!
ちょっとは自分を変える努力したらどう?! ”
父、母、兄、姉ーーーー
家族達の声が聞こえると、フッと気づけば空に巨大な4人の手がニョキッと生えてきて、罪人を指差す様に俺を一斉に差した。
そうしてメルを連れてその話題のペリカンの場所に行ったわけだが・・まぁ、一言でいうとーーー ” 凄かった ”
俺とメルは他にもわらわら見学に来ている奴らにポイッとされてしまったが、転がされた先で、名残惜しそうにクンクンと匂いを嗅ぐ。
父が言っていたのだが、犬を祖に持つ獣人は特に人族に魅かれやすいらしく、両親はお互い愛し合っているにも関わらず、物凄く好みの人族に会ってしまうと、二人揃って腹を出して撫でて~とひっくり返ってしまうそう。
あの真面目な両親が・・?
それを聞いた時は、にわかには信じられなくてゴクリ・・とツバを飲み込んだが、二人はウットリとした顔で「「 あれはやばかった・・ 」」と言って尻尾をビタンビタン!と振っていた。
更に兄も、両親に付いてアルバード王国に入国した時、強烈に惹かれる人族に会ってしまい、仕事の事を忘れてフラフラとついて行ってしまったそうだ。
ハッ!と気がつけばムキムキの戦闘職の男に抱きついて尻尾を振っていたらしく、仕方ないな・・という様子で頭を撫でられていたと言っていた。
あのクソがつくくらい真面目で穏やかな兄が・・?
疑惑の目で見つめてしまったが、本人はキュンキュンと鳴きながら、その人に貰ったハンカチの匂いを嗅いでいた。
今回キーキー悔しがっていた姉の夢である守備隊も、実はこの人族が絡んでいて、守備隊は人族の守備隊との合同練習が定期的に行われているため、獣人国の守備隊はその貴重な出会いを沢山ゲットできる夢の職業なのだ。
そのため姉や守備隊のヤツらはそれを最大のモチベーションにしていると聞いた。
クンクン。
クンクンクン・・・。
宙に漂うこのいい匂い
確かにこれは皆夢中になるはずだと、俺は理由を理解する。
チラッと視線を上げれば、パン屋の窓に張り付いて ” いいな~いいな~ ” と尻尾をブンブン振っている獣人の大人たち。
それを見て俺はピンッ!ときた。
皆が夢中になれるモノ。
自分の心を掴んで離さないモノ。
それはもしかして俺の心もずっとずーーっと離さないでいてくれるだろうか・・?
俺にとって恋愛や結婚は遥か遠くにある未知なるもので、それが自分にどういった変化をもたらすのかは分からない。
可能性は無限大!
つまりそこに俺の100点があるのかもしれない。
そう考えた俺はがバッ!!と勢いよく立ち上がってメルに宣言した。
「 俺も人族のお嫁さん貰う!!
これからお嫁さん探すぞ!! 」
そう決意した俺はその後はメルと ” どうすれば人族のお嫁さんを貰えるか? ” について議論したのだが、やはり絶対に必要なのは ” 力 ” と ” 出会い ” だろうという結論に至る。
” 力 ” に至ってはとにかく鍛錬あるのみ。
だからこれはこれから頑張ればいいとして、次にポイントとなるのは ” 出会い ” だ。
法律的に仕事などの理由がなければ人族の国へは入れない。
しかし俺たちには非常にナイスタイミングな機会が一つだけあった。
ずばり!【 進学 】である。
人族の街にある中学院に合格すれば、晴れて人族の街に在住してよい許可が降りるのだ。
ただ、これにも厳しい法律が存在していて、受験するのが許されているのは現在三校のみ。
No.1中学院の【 ライトノア学院 】
そしてNo.2が王都にある【 ウィッチア学院 】
最後がNo.3の【 レゼプト学院 】
なぜこの三校か?という理由としては、この国が実力主義を掲げる国だからである。
要はーーーー
” 恋愛を求めて弱いヤツが進学なんざもっての外!
力を求めての進学のみ許してやる & 強いヤツは何しても、まぁいいよ! ”
ーーーって事。
非常にシンプルなその考えに則って、実力上位からトップ3の学院のみOKという法律が決められているというわけだ。
確かに学業そっちのけで弱いヤツが運良く人族の嫁をゲットしても、卒業後にその嫁を食わしていく事ができない。
獣人たるもの、それは最も恥ずべき行為であるため、メルと共にギラッ!と決意を込めた目でにらみ合った。
ならば目指せ!No.1!
俺たちが目指すのは【 ライトノア学院 】だ!!
言葉にせずともその想いを確かめあった、その時ーーーー突然頭の中に ” 声 ” が鳴り響いた。
” 一つの事を完璧にしてから次にいかないと全てが中途半端になる。
それは駄目だろう ”
” 集中して持続する事が大事なの。
そうしなければ何一つ自分のためにはならないわ。
何でもいいからこれだ!というモノを一つでいいから作ってみなさい ”
” 苦労した分だけそれに愛着が沸くからね。
あれもこれもだと全部簡単に捨てられる軽いモノになってしまうよ ”
” あんたって本当にムカつく!!
人が必死に努力していることをあっさりやってのけて、直ぐにそれをほっぽって他に行かれるとぶっ飛ばしたくなるわ!!
そんなにひょいひょい目に入るモノに飛びつくなんて、レイドは何も大切じゃないって事でしょ!
中身が空っぽ!
ちょっとは自分を変える努力したらどう?! ”
父、母、兄、姉ーーーー
家族達の声が聞こえると、フッと気づけば空に巨大な4人の手がニョキッと生えてきて、罪人を指差す様に俺を一斉に差した。
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