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第二十六章
878 まずは情報から
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( サイモン )
「 サイモ~ン?貴方の好きな物と将来の夢は何だっけ? 」
「 はぁ~い!好きなモノは< お金 >
将来の夢は< 玉の輿 >でぇ~す。 」
「 NO・1中学院なら金持ちのいい女、いい男がゴロゴロいるよ~?
玉の輿にはまずは出会いから!そうでしょ? 」
ぐうの音も出ない言い分に僕はぐぬぬぬぬ・・と悔しげに黙ると、母は今度はリリアの方へチラッと視線を向ける。
「 リリア~?あなた本が大好きなんだよね?
街の図書館はコンプリート&更に10周はしているそうじゃないか。 」
「 そうだけど・・それが何? 」
ビクビク、おどおどするリリアに母はニッコリ笑う。
「 ライトノア学院には世界一の大きな図書館があったよね~。
世界中の本が集結しているんだとか?
その本が生徒になれば読み放題!そこでしか読めない本もあるんだってね~。 」
キラッ!と光るリリアの目を見てニヤリッと笑った母は、決まり!とばかりにその場で僕たちに受験申込表を書かせて、ルンルンと鼻歌を歌いながら即出しにいってしまった。
こうと決めた母は絶対に意見を変えない。
その事は分かっていたので、潔く僕たちは諦め、まずは今年受験するであろう貴族についての情報を集め始めた。
何事も情報からーーー
その重要性は良く知っていたため、特に相談し合わなくても真っ先に取り掛かったのだが、その最中一人の貴族の資料に目が止まり、二人揃って顔を顰める。
「 公爵家かぁ~。随分と大物が今年はライトノア学院を受験するんだね~。
< リーフ・フォン・メルンブルク >
ーーーげげっ!あのきな臭いメルンブルク家か~。
チョー要注意人物じゃん。 」
「 ・・でも兄さん、ちょっとおかしくない?
何だか容姿が似ても似つかない・・。
別人か、それとも・・ 」
リリアが訝しげにハエ猫ちゃんたちに書いてもらった絵を見て呟いた。
すると僕も改めてその絵を見て、大体の事情を察し、はぁ~・・とため息をつく。
「 あぁ ” 愛人の子供 ” って感じかな~?
田舎町に一人で住んでいる事と、従業員数人のガバガバセキュリティーなのを見ると、それで決まりみたいだね。
貴族にはよくある話だけど、ホント気が滅入るな~。 」
「 ・・そうね。子供に罪がない事は分かっているけど・・
ここまで冷遇されている子なら、多分、結構なひねくれた考え方を持っていると思った方が良いかもね。
あまりお近づきになりたくないわ。
それにーーーー 」
リリアはチラッと ” リーフ様 ” の横の欄に書かれていた< 所有奴隷あり >の文字を見て眉を潜める。
「 専属奴隷までお持ちなんて、少なくとも好感を持てる相手ではないわ。
兄さん、この奴隷ってどんな人物なの? 」
「 それが・・サッパリ分からないんだよねぇ~。
何だかハエ猫ちゃんが絶対近づこうとしないの。
それにそもそもリーフ様の情報も、この田舎町から出た所で入手したものしかないんだよね~。 」
「 ??どういう事?? 」
不思議そうに尋ねてくるリリアに僕は困った様に頭を掻いた。
” リーフ様 ” の情報は、情報を集めるために送ったハエ猫ちゃんが近づきたがらないせいであくまで公式に登録されているモノだけ。
そのため実際その確証を得るため、住んでいる場所へと様々な方法でアプローチしたのだが・・屋敷の中へは何らかのスキルが掛かっているのか、まず屋敷に辿り着けない。
庭をぐるぐる回って疲れてしまったハエ猫ちゃんはバタンキュ~。
更に何かの花??に食べられそうになったとピーピー泣きながら訴えてくる始末。
従業員の人数が少なくてもやはり公爵家、一筋縄ではいかないか・・
そう考え街で情報を得ようと思っても、何故かハエ猫ちゃんの天敵< バタフライ・大ねずみ >に追いかけ回され情報は得られなかった。
< バタフライ・大ねずみ >
体長2cmくらいの小さなねずみ型Gランクモンスター。
まるで蝶の様な鮮やかな羽がついていて、とても美しい姿だが、実は肉食であるこのモンスターは自身より小さな獲物を捕らえては捕食するが、大きい人型種には見向きもしない上に弱いため、危害を加えられる心配はない。
普段は森に住んでいる。
大好物は< ハエ猫 >
な、なんで街中にバタフライ・大ねずみがいるの~!!?
驚きながらもコソコソと必死で情報を集めようとしたが、まるで狙っている様に僕のハエ猫を追い回すそいつらに断念するしかなかった。
ええ~い!こうなったら本人に・・!
そう考えたが、ハエ猫ちゃんたちはその瞬間、シュンッ!とテレポートで逃げてしまい、どんなに美味しい花の密で釣っても出てきてくれさえしない。
そのため得られた情報は、そのリーフ様の周りから見た立ち位置と家庭環境のみ。
更にもう一つ、とんでもない情報がハエ猫ちゃんから判明した。
「 ハエ猫ちゃんが街から出た郵便屋さんの手紙を見て分かったんだけど、もう一つとんでもない情報が手に入ったんだ。
何とライトノアの受験をその専属奴隷にも受けさせるつもりらしいよ。 」
「 サイモ~ン?貴方の好きな物と将来の夢は何だっけ? 」
「 はぁ~い!好きなモノは< お金 >
将来の夢は< 玉の輿 >でぇ~す。 」
「 NO・1中学院なら金持ちのいい女、いい男がゴロゴロいるよ~?
玉の輿にはまずは出会いから!そうでしょ? 」
ぐうの音も出ない言い分に僕はぐぬぬぬぬ・・と悔しげに黙ると、母は今度はリリアの方へチラッと視線を向ける。
「 リリア~?あなた本が大好きなんだよね?
街の図書館はコンプリート&更に10周はしているそうじゃないか。 」
「 そうだけど・・それが何? 」
ビクビク、おどおどするリリアに母はニッコリ笑う。
「 ライトノア学院には世界一の大きな図書館があったよね~。
世界中の本が集結しているんだとか?
その本が生徒になれば読み放題!そこでしか読めない本もあるんだってね~。 」
キラッ!と光るリリアの目を見てニヤリッと笑った母は、決まり!とばかりにその場で僕たちに受験申込表を書かせて、ルンルンと鼻歌を歌いながら即出しにいってしまった。
こうと決めた母は絶対に意見を変えない。
その事は分かっていたので、潔く僕たちは諦め、まずは今年受験するであろう貴族についての情報を集め始めた。
何事も情報からーーー
その重要性は良く知っていたため、特に相談し合わなくても真っ先に取り掛かったのだが、その最中一人の貴族の資料に目が止まり、二人揃って顔を顰める。
「 公爵家かぁ~。随分と大物が今年はライトノア学院を受験するんだね~。
< リーフ・フォン・メルンブルク >
ーーーげげっ!あのきな臭いメルンブルク家か~。
チョー要注意人物じゃん。 」
「 ・・でも兄さん、ちょっとおかしくない?
何だか容姿が似ても似つかない・・。
別人か、それとも・・ 」
リリアが訝しげにハエ猫ちゃんたちに書いてもらった絵を見て呟いた。
すると僕も改めてその絵を見て、大体の事情を察し、はぁ~・・とため息をつく。
「 あぁ ” 愛人の子供 ” って感じかな~?
田舎町に一人で住んでいる事と、従業員数人のガバガバセキュリティーなのを見ると、それで決まりみたいだね。
貴族にはよくある話だけど、ホント気が滅入るな~。 」
「 ・・そうね。子供に罪がない事は分かっているけど・・
ここまで冷遇されている子なら、多分、結構なひねくれた考え方を持っていると思った方が良いかもね。
あまりお近づきになりたくないわ。
それにーーーー 」
リリアはチラッと ” リーフ様 ” の横の欄に書かれていた< 所有奴隷あり >の文字を見て眉を潜める。
「 専属奴隷までお持ちなんて、少なくとも好感を持てる相手ではないわ。
兄さん、この奴隷ってどんな人物なの? 」
「 それが・・サッパリ分からないんだよねぇ~。
何だかハエ猫ちゃんが絶対近づこうとしないの。
それにそもそもリーフ様の情報も、この田舎町から出た所で入手したものしかないんだよね~。 」
「 ??どういう事?? 」
不思議そうに尋ねてくるリリアに僕は困った様に頭を掻いた。
” リーフ様 ” の情報は、情報を集めるために送ったハエ猫ちゃんが近づきたがらないせいであくまで公式に登録されているモノだけ。
そのため実際その確証を得るため、住んでいる場所へと様々な方法でアプローチしたのだが・・屋敷の中へは何らかのスキルが掛かっているのか、まず屋敷に辿り着けない。
庭をぐるぐる回って疲れてしまったハエ猫ちゃんはバタンキュ~。
更に何かの花??に食べられそうになったとピーピー泣きながら訴えてくる始末。
従業員の人数が少なくてもやはり公爵家、一筋縄ではいかないか・・
そう考え街で情報を得ようと思っても、何故かハエ猫ちゃんの天敵< バタフライ・大ねずみ >に追いかけ回され情報は得られなかった。
< バタフライ・大ねずみ >
体長2cmくらいの小さなねずみ型Gランクモンスター。
まるで蝶の様な鮮やかな羽がついていて、とても美しい姿だが、実は肉食であるこのモンスターは自身より小さな獲物を捕らえては捕食するが、大きい人型種には見向きもしない上に弱いため、危害を加えられる心配はない。
普段は森に住んでいる。
大好物は< ハエ猫 >
な、なんで街中にバタフライ・大ねずみがいるの~!!?
驚きながらもコソコソと必死で情報を集めようとしたが、まるで狙っている様に僕のハエ猫を追い回すそいつらに断念するしかなかった。
ええ~い!こうなったら本人に・・!
そう考えたが、ハエ猫ちゃんたちはその瞬間、シュンッ!とテレポートで逃げてしまい、どんなに美味しい花の密で釣っても出てきてくれさえしない。
そのため得られた情報は、そのリーフ様の周りから見た立ち位置と家庭環境のみ。
更にもう一つ、とんでもない情報がハエ猫ちゃんから判明した。
「 ハエ猫ちゃんが街から出た郵便屋さんの手紙を見て分かったんだけど、もう一つとんでもない情報が手に入ったんだ。
何とライトノアの受験をその専属奴隷にも受けさせるつもりらしいよ。 」
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